FASHION
『お洒落さんのためのファッション用語辞典』では、トラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでお馴染みのファッション用語についてわかりやすく解説します。記念すべき第一回目は、みんな大好き「バスクシャツ」について。ワークウエアからミリタリーウエアを経て、ファッションアイテムへと発展した「バスクシャツ」の意外な歴史を紐解きます。この連載を読んでファッション用語の背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし!
「バスクシャツ(basque shirt)」
【用語解説】
フランスとスペインの国境にまたがる海辺のバスク地方で船乗りが着ていた作業着。左右に大きく開いたボートネックに、少し短めの袖が特徴。ちなみに本国フランスでは「バスクシャツ」と言っても通じないそう。これは、アーネスト・ヘミングウェイの『海流のなかの島々』の和訳の中に、”古びたバスクシャツ”という呼称があり、それが日本で広まったからではないかという説も。
フランスではバスクシャツのことを女性用のセーラー服を意味する「マリニエール(marinière)」と呼んだり、ブルターニュ出身の船員が多かったことから「ブルトンマリン(breton marine)」と呼ぶことが一般的。
【バスクシャツの歴史】
Index
船乗りのワークウエアからフランス海軍のミリタリーウエアへ
バスクシャツは、もともと16世紀頃に漁師や船乗りが着ていたコットン素材の手編みのセーターが起源と言われています。耐久性抜群のヘビーウェイトなコットン素材、船上での作業中に計器に引っかからないための七分袖、水に濡れても着脱しやすいボートネック、海に転落したときに発見されやすいボーダー柄と、まさに船上で働く船乗りのワークウエアとしてうってつけでした。ボーダーには”海が荒れない凪”という意味もあるのだとか。
その後、ナポレオン3世がフランス皇帝となった1850年代に、伝統的な海の作業着だったボーダー柄シャツやデッキパンツなど、現代でもお馴染みのファッションアイテムがフランス海軍の制服として採用されました。
ファッショニスタからの支持を得て、広く世界に知られるように
1850年代以降ミリタリーウエアとして発展したバスクシャツがファッションアイテムとして認知されるようになったのは、1920年代にアメリカの画家ジェラルド・マーフィーがいち早くリゾートファッションに取り入れたのがきっかけ。その後、ココ・シャネルが普段着として愛用したことから、女性のファッションアイテムとしても人気になりました。海軍の兵士が着ていたユニフォームに触発されて、ココ・シャネルがマリンファッションのコレクションを発表したのは有名な話。パブロ・ピカソ、アーネスト・ヘミングウェイ、ジャン=ポール・ゴルチエも自身のトレードマークになるほど、バスクシャツを愛用していました。
バスクシャツにパンタロンを合わせたココ・シャネル。リラクシーなスタイリングが素敵。
パブロ・ピカソが愛用していたのは《セントジェームス》と《オーシバル》の逸品。作品製作中もバスクシャツを愛用していたという逸話がさまざまな文献に残っている。
【バスクシャツの雑学】
バスクシャツの御三家《セントジェームス》《オーシバル》《ルミノア》が名品な理由
名品バスクとしてFUDGEガールにおなじみの《セントジェームス》、《オーシバル》、《ルミノア》は、いずれも由緒ある伝統的なブランド。フランス海軍に制服としてバスクシャツを提供していた実績があるので、質の高さもお墨付きです。それぞれの歴史と特徴を知って、お気に入りのバスクシャツを見つけてみては?
《セントジェームス》のバスクシャツの詳細はこちら
《オーシバル》のバスクシャツの詳細はこちら
《ルミノア》のバスクシャツの詳細はこちら
フランス映画「なまいきシャルロット」は永遠のファッションアイコン
バスクシャツが印象的に登場するフレンチシネマと言えば1985年に公開された「なまいきシャルロット」。日本でもシャルロット・ゲンズブール演じる主人公が着ていたボーダー×デニムのベーシックな着こなしに憧れる女性が続出しました。
《オーシバル》のバスクシャツが当時メンズサイズのみの展開だったこともあり、カラダが泳ぐほどぶかぶかなバスクシャツをラフに纏ったシャルロットは、今でも色褪せない永久不滅の可愛さ!
オーバーサイズのバスクシャツをパンツインしたシャルロットの着こなしは、公開から35年たった今も根強い人気を誇る。
監修:朝日 真(あさひ しん)
文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。
illustration_Sakai Maori
text_Akiyama Taori
※写真はFUDGE.jp「着まわし30days」「Me&Standard」「アクセサリークリップス」より
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