FASHION

出典:お洒落心を刺激するドレッシーなジャージの着こなし6選

 

連載『お洒落さんのためのファッション用語辞典』では、トラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。第24回目は「セットアップ」について。どこで生まれ、どのようにして世界じゅうに広まっていったか、その歴史をひも解きます。この連載を読んでファッション用語の背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし!

 

【用語解説】

まずは「セットアップ」を知ろう。

出典:ゆったりと余裕のある着こなし。肩肘張らないセットアップ【本日のFUDGE GIRL-2月12日】

 

「セットアップ」とはジャケットとボトムが別々に購入でき、それでいてそれぞれ体に合ったサイズで組み合わせられる、いわゆる「スーツ」のことをさします。本来ジャケット&パンツ、あるいはスカートを同じ生地でそろえた服のことをさしますが、最近ではシャツ&パンツやブランス&スカートなどを上下同じ生地か同じ柄で組み合わせられる一式も含めて呼ぶことが多いです。

 

【歴史】

19世紀に誕生した「スーツ」から時代に合わせて進化

出典:秋から冬が一番映える!アメリカンカジュアルなセットアップスタイル

 

当時は主に男性用でしたが、ヨーロッパで1860年ごろから上下ひと揃えになった、いわゆるスーツ形式の衣類が登場したと言われています。今でこそ「スーツ」はオフィシャルな場へ着ていく服ととらえられていますが、そのころの「スーツ」はそれまでのフロックコートやテールコート(燕尾服)にかわる、少しリラックスしたい時に着るための服として作られ、着られるようになったのだとか。その着心地のよさが広く浸透していくにつれ、いつしか一般的なものとなっていったようです。

とはいえ女性がスーツ形式の衣類を着用するようになるのはもっと後でした。きっかけは女性の社会進出です。ウーマンリブが唱えられ、女性が社会に出て働くようになったころ20世紀以降、女性の中にも「スーツ」に袖を通す人があらわれるようになりました。当時は通勤時にスーツ(日本では背広と呼ばれることが多かった)を着用する男性が多く、それが彼らと同じように社会で活躍したい、性別で差をつけられまいという意思表示をするための一手という意味もあったのかも。男性が着用していた「スーツ(背広)」がジャケット&パンツだったのに対して、女性が着用したのはジャケット&スカートの「スーツ」がほとんどだったようです。

現代に至るまでに通勤時であっても服装はカジュアル化し、身に着けるものを性差で区別しないようになりましたが、そんな経緯から「スーツ」もだんだんと自由度を増していき、かわって認知度が上がったのが、「セットアップ」という概念、着方です。上下でサイズまで揃った「スーツ」の雰囲気は生きているけれど、上下別々のサイズで選択できるより自由な「セットアップ」。上下同じ生地のだけれど別の柄だったり、上下色は揃っているけれど別の生地だったり……。そういった「セットアップ」のほうがいまやポピュラーとなりつつあるのも時代の流れと言えるのではないでしょうか。

 

【雑学】

今の時代、「セットアップ」は一張羅になり得る

出典:真面目でクラシカルに決める正統派セットアップスタイル【本日のFUDGE GIRL-1月22日】

 

「セットアップ」は「スーツ」よりも自由度が高いとはいえ、そもそもオフィシャルな場で着られることが多い「スーツ」のDNAは息づいています。そこに現代的な解釈を加えた「セットアップ」の着こなしを2つの映画の中で見ることができます。

ひとつは1995年にアメリカで公開された、アリシア・シルバーストーン主演の『クルーレス』。女子高生の日常を描いたこの映画は当時大ヒットしましたが、いまだに主人公たちのファッションが各メディアで取り上げられることがあるほど、彼女たちのスタイリングは印象的。中でもメインビジュアルにもなっていたアリシアのプレッピー風なチェックのセットアップは、彼女の通学時の制服がわり。一見するとまじめには見えない感じの彼女ですが、通学時にジャケットをはおり、そろいのスカートをはく「きちんとマインド」があるのをこの「セットアップ」に見てとれるのではないでしょうか。

 

もうひとつは、2019年にアメリカで公開された、エル・ファニング主演の『ティーンスピリット』です。歌うことが大好きな田舎の高校生がアーティストとして成功するまでを描く内容で、彼女がオーディションなどで着ているステージ衣装(いわゆるここぞというときの‟一張羅”)のいくつかがセットアップでした。

 

最近では、例えばヒップホップアーティストがよく着ているジャージーの上下を差して「セットアップ」と呼ぶ人も少なくありませんが、もしかすると現代においては、ジャージーであろうと上下揃っていれば(「セットアップ」と呼べるものなら何でも)は時に「ドレス」になり得るということなのかもしれませんね。

 

 

監修:朝日 真(あさひ しん)

文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。

 

illustration_Sakai Maori
edit & text_Koba.A

 

 

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