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出典:着こなしのバランスを整えるハイカットスニーカーカタログ着こなしのバランスを整えるハイカットスニーカーカタログ
連載『お洒落さんのためのファッション用語辞典』では、トラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。第13回目は「キャンバス(帆布)」について。どこで生まれ、どのようにして世界じゅうに広まっていったか、その歴史をひも解きます。この連載を読んでファッション用語の背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし!
Index
【用語解説】
まずは「キャンバス」の意味を知ろう
一般的には太番手のコットン、あるいは亜麻(リネン)糸を織った、みっちりと目のつまった厚手で丈夫な平織物のことを言い、ダックやズック、セイルクロス(船の帆に使われる布という意味)と呼ばれる生地と同じもので、日本では帆布(はんぷ)と呼ばれます。文字どおり、船の帆や油彩画の画布、テント、スニーカー、バッグなどに様々なものに使われます。
【歴史】
ルーツはエジプト。江戸時代には日本の繁栄、国際化に寄与
「キャンバス」は古代エジプトで使われるようになったのがすべての始まりと言われています(たとえばミイラを巻く布として!)。当初は麻で織られた「キャンバス」が主流で、それがエジプトから世界へと広がっていき、室町時代には日本にも伝わえられたという記録が残っています。織田信長がそれに魅了されたことから、日本でも船の帆として使われるようになり、徐々に市井に浸透していきました。「キャンバス」が船の帆という漢字を当てて「帆布(はんぷ)」と呼ばれるようになったゆえんはそこにあるのだと思われます。
江戸時代に入ると日本国内ではますます「キャンバス(帆布)」の需要が高まり、いっそうの質のよさが追求されるようになりました。それにひと役買ったのが工楽松右衛門という人物。工楽松右衛門の貢献によって、麻に代わって綿で織られた「キャンバス(帆布)」が誕生します。綿製の「キャンバス」は麻製よりずっと丈夫。強度を増した帆を立てたおかげで船はスピードを増し、貿易がさかんとなったそうですから、「キャンバス」が日本の繁栄に影響をもたらしたといっても過言ではないのかもしれません。
またこの頃から「キャンバス(帆布)」は船の帆と言わず、ほかの様々な用途で使われるようになります。明治時代には貨物列車のシートやテント、職人などが道具を入れるための袋、学生かばんなどに。戦時中には軍服に。今ではトートバッグやスニーカー、帽子など、FUDGE GIRLが日常的に使うファッションアイテムにも使われるようになっています。
【特徴】
ダメージに負けない強さは布帛のなかで上位に入る
「キャンバス(帆布)」は丈夫、耐久性がある、厚くても通気性がいい、ハリがある、使い込んでも破れやほつれなどのダメージが少ないといった点が特徴として挙げられます。これは多少薄手の「キャンバス(帆布)」でもほとんど変わりませんから、いかに布帛のなかではトップに君臨する勢いで丈夫な生地と言えるでしょう。
「キャンバス」の厚みを表わすのに、日本では「号」、海外では「オンス(oz)」という重さの単位が使われています。「号」は1~11号まであり、数字が大きくなるほど薄手になります。「オンス」は数字が大きいほど重さがある、つまりは厚手であるということになります。
【雑学】
トラッドアイテムや、ある種、過酷(!)な現場での出番が多い
「キャンバス」のさまざまな特徴を知ると、日々繰り返し使い、丈夫さが問われるアイテムに使われる理由がわかりますね。たとえばトートバッグやベースボールキャップ、スニーカー……などは、なかでも長く使い続けたいベーシック。トレンドを超えて愛されるトラッドスタイルのマストアイテムが多く含まれるのには納得です。
それ以外にも、ユニークなところでは、お相撲さんの「まわし」にも使われているようですよ。
またその耐久性の高さから、近年は不要となったヨットのセイルクロス(帆の布)をアップサイクルしてバッグなどのファッションアイテムをリリースするブランドなども登場しています。
丈夫さゆえにこんなアイテムも!
出典:人気のベーカリーのベーカーは制服のエプロンも個性的に着こなす
そういえば……なところでは、エプロンにも「キャンバス」はよく使われています。台所仕事や職人さんの作業の際などに水や洗剤、油や薬剤のハネや汚れなどから衣類をガードするのはもちろんのこと、厚地であればあるほど時に工具などでケガをしないためのプロテクターとしての役割も担ってくれます。
そう考えると「キャンバス」って私たちの生活に欠かせない、相棒のような存在とも言えそうです。
監修:朝日 真(あさひ しん)
文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。
illustration_Sakai Maori
edit & text_Koba.A
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