FASHION
今季から新たにクリエイティブ・ディレクター、ナタリー・マーシャルを迎えた、パリ発のブランド、《コントワー・デ・コトニエ》。ブランドのアイコンである、トレンチコートやテーラリングなど上質で機能的なワードローブに、新たなエッセンスを加えてアップデート。トレンドよりも着る人がもつスタイルを大切にしたコレクションが完成しました。飾らず、自分らしく自然体でいられる服……フランス流のフェミニンを体現したラインナップは、すべての女性の個性を引き立てます。
今回、イベントのため来日したクリエイティブ・ディレクター・ナタリーに、新生《コントワー・デ・コトニエ》から伝えるメッセージ、日本人のファッションについてなどインタビュー。パリジェンヌが語る、洋服が主体ではなく、その人のスタイルを尊重したファッションについて。
着る人の個性を尊重して、さらに魅力的に見えるように
——–今シーズンはクリエイティブ・ディレクターに就任して、初のコレクションです。従来は”母と娘”をアイコンにしたブランドイメージでしたが、そこから変化させた点はありますか?
ナタリー:《コントワー・デ・コトニエ》のイメージである、”母と娘”というのは充分に理解しています。その中で私がやりたいと思ったのは、それを進化させること。あらゆる女性に開かれたものにしたいと考えました。それを象徴する言葉として、広告やキャンペーンに”NOUS=私たち”とうたっています。特定の社会的地位に限ったものではなく、すべての女性に着てもらえるようなものにしたい。娘であっても、独身の人であっても、すべての女性たちに開かれたブランドにしたい思っています。
——–デザインはシンプルでありながら、凛としたフランスの女性をコレクションから彷彿とさせます。イメージする女性像はあるのでしょうか?
ナタリー:ひとりの女性に限ったことではなく、多くの女性に向けて発信をしています。ひとり、ひとりの独自性を生かし、様々な女性に着てもらえることが目標です。ですが強いて挙げるなら、カトリーヌ・ドヌーブやフランソワーズ・サガンなど、60年代のフランスの女性を意識しているかもしれません。彼女たちはナチュラルに、自身の個性を活かして洋服を着こなしています。そんな素敵な女性たちに私は憧れます。
——–その背景にはどんなメッセージが込められているのでしょうか?
ナタリー:新生《コントワー・デ・コトニエ》では、女性たちが理想とするワードローブがつくれるように、タイムレスなものを提案したいと思っています。象徴的なアイテムに新たなエッセンスを加えて、シンプルだけれどミックスしやすい服。それを自分のものにして、個性を活かしながら着こなして貰いたいと思っています。これは今季に限ったことではなく、次回の秋冬コレクションでも、それを基本の理念としたいと考えています。
そのために大切なのは、特別なオケージョンではなく、日常生活の中で彼女たちが自信を持って着たいと思って貰えること。例えば、恋人とのデート、子供のお迎えに行くときなど……《コントワー・デ・コトニエ》の服を纏うことで、その人の魅力が引き立つようなものを提案していきたいです。
——–メンズからインスパイアされた、テーラリングシリーズについて教えてください。
ナタリー:シックに着こなせるテーラリングは貴重なアイテムだと思っています。色やディテールにも凝ることできる。そして何より、きちんとした仕立てが重要になります。私にとってテーラリングが美しいジャケットというのは、ワードローブに欠かせないもの。だからこそ、それに新たなエッセンスとして、特別な色を取り入れました。テーラリングは普遍的でエッセンシャルなアイテムだと思っているので。
——–象徴的な色のひとつに、トリコロールカラーがあげられると思います。なぜ、その色合いを基調としたのでしょうか?
ナタリー:コレクションをデザインする上で、毎シーズン繰り返し取り入れたい色は何だろう?と考えました。ファブリックもそうですが、結局は自分が気に入るものって色も同じで変わらない。私が色を選ぶ上で一番重要なのは、エッセンシャルで、強い印象を感じられること。それが鮮やかなレッドだったり、フランス国旗のようなブルーやさまざまなトーンのブルー。そしてタイムレスなホワイト。その3色は明るく楽しい気分にさせてくれます。それに春らしい明るさを加えて、今回のコレクションに落とし込みました。
——–コレクション全体を通して感じたのは、ブラウン×ブルー、ネイビー×レッドなど色の掛け算が絶妙だと思いました。ご自身のスタイルを例に挙げるケースでも良いのですが、色使いについてのルールはあったりするのでしょうか?
ナタリー:自分では意識的にルールというのはつくってはいません。その時の気分や状況によって常に変化しながら、色のコーディネートを考えています。ですが、ちょっとサプライズがあるものが好きですね。例えば、ネイビー×ブルーの同じトーンのルックも好きですし、オレンジよりのレッド×ネイビーのジャケットなど、ちょっと意外性のある組み合わせが好きです。今季のコレクションでは、エメラルドグリーンが良いアクセントになっていると思います。同系色のアイテムで見せるルックは自分の個性を尊重するのにとても役立つと思います。
日本の人はボリュームのあるシルエットをうまく取り入れてる
——–今まで何度か日本に訪れていると伺いましたが、日本のファッションについてどのような印象をもたれていますか?フランスと比べて、異なる点はどこでしょうか。
ナタリー:日本のファッションはすごく大好きです。特にボリュームのあるシルエットをうまく着こなしていて、その感覚がとても好き。モード、カジュアル問わずに取り入れていると思いました。これはフランスではあまり見られない、大胆さ、思い切りの良さをすごく感じられます。フランス人はボリューミーなものが苦手。だからこそ、それをうまく取りれているスタイルがすごく素敵だなと思いました。
——–日本のアパレル業界でも、新しい働き方やショッピングバッグの廃止などサスティナビリティについて本格的に始動しています。ブランドとして、何か取り組んでいることはありますか?
ナタリー:フランスでもすごく重要なテーマになっているので、ブランドでももちろん考えています。サスティナビリティの考え方のひとつとして、まず長く着られる服をつくる、というのがあると思います。それは縫製の良さやクオリティが大切。今まさに中心的に取り組んでいるテーマのひとつです。
——–今後ブランドとしてやりたいこと、目標はありますか?
ナタリー:冒頭でも掲げていますが、すべての女性に語りかけることができるブランドになることです。服を着たときに、コスプレをしているようにならない、その人に馴染むもの。日常生活を楽にしてくれて、着た時に自信を持って貰えるもの。それには、クオリティの高さも重要だと感じています。理想はお客様とブランドが互いに尊重し合う関係性。それが《コントワー・デ・コトニエ》らしさに繋がったら嬉しいです。極端ですが、例えば目を瞑っていても、探しているものが見つかるような、そんな関係性が着る人たちと築けたら素敵なこと。ブランドとして最高のサービスを提供して、着る人たちに寄り添っていくことが大切なことだと思っています。
——–最後に。ナタリーさんにとって、《コントワー・デ・コトニエ》”らしさ”とは何でしょうか?
ナタリー:いわゆる、紋切型のフェミニティとは異なるもの。そこから成長して、自分の能力や個性に対して自信を持つこと。そう思って貰えるようなものを、洋服を通して表現したいと思っています。例えば、従来フェミニンなものとして扱わないハンサムなパンツを、フェミニティなアイテムとして新たな視点を取り入れていきたい。
個人的にはフェミニティとシンプルというのは、結びついています。自分と他人との間に壁をつくらないこと。ブランドの洋服を着ることで、自分が美しいと思って貰えること。でもだからといって、服だけが目立ってしまってはだめ。あくまで着る人が主体。
なので、素敵な服を着ているわねって褒められるよりも、その人自身が素敵だと感じられるコレクションをこれからも発信し続けたいです。ひとり、ひとりの女性が纏うことで、ナチュラルな自身のままでいられること、それがコントワー・デ・コトニエ”らしさ”だと思います。
Nathalie Marchal
ナタリー・マーシャル
フランス生まれ。Vogue Paris、Marie Claire、Technikart誌などでファッションエディター、スタイリストとして活躍した後、 2020年春夏コレクションからコントワー・デ・コトニエのクリエイティブ・ディレクターに就任。
コントワー・デ・コトニエ・ジャパン
TEL:03-6805-0205
www.comptoirdescotonniers.co.jp/
text:Takehara Shizuka
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