FASHION

1894年、イギリス北東部・サウスシールズにて漁師や港湾労働者のためのアウターとしてスタートした《バブアー》が、2024年に130周年を迎えました。時を同じくして、現会長・マーガレット氏がワックスジャケットに続く、新たなアイコンとして生み出したキルティングジャケット「LIDDESDALE(リデスデイル)」が誕生から30周年。

この記念すべきタイミングをお祝いするべく、FUDGE FRIEND・UMIが本国イギリスに出向き、キルティングのPOP UPとニールストリートの新店舗をレポート!また特別にディレクター2名に《バブアー》の魅力をインタビュー。現地に行った気分でぜひ楽しんで。

 

「リデスデイル」30周年!《バブアー》の歴史とRE-LOVEDコレクション

ロンドンの中心部にある、コヴェント・ガーデンの広場に突如現れた、キルティング柄のキューブ!《バブアー》のワックスジャケットに続くアイコン・キルティングジャケット「リデスデイル」 の30周年を記念したポップアップ。キューブのサイドにある金の突起は、ジャケットのサイドベンツに施された金ボタンをイメージ。ちょっとした遊び心も忘れません。

 

コの字に3つのスクリーンがあり、130周年を迎えた《バブアー》の歴史、30周年を迎えた「リデスデイル」について現会長・マーガレット氏からのメッセージ、「リデスデイル」30周年記念の特別映像が各所で投影。中心にはブランド縁のアーティスト13名による、「リデスデイル」を再解釈した「RE-LOVED」コレクションを展示。《ポールスミス》や《ガニ》、日本から《エンジニアド ガーメンツ》も参加。キューブ内には6体のみが展示され、日替わりで様々なコレクションを楽しめるようになっていました。

 

UMIちゃんが中でも注目したのは、《ガニ》のコレクション。現行品と同じくコーデュロイの襟ですが、大きなフリルカラーにすることで《ガニ》のシグネチャーを感じさせます。ちなみに隠しジッパーがついており、裾のフリルは取り外しが可能。

 

他にも「ひつじのショーン」とコラボもしており、ボアに覆われたキルティングにショーンがしっかりと鎮座。会場では皆そろって「かわいい〜」と注目の的でした。《ブロンプトン》は、ケープのようなシルエットのジャケットで、ブランドのアイコンである折りたたみ自転車と一緒に楽しめるように提案。コラボしたオリジナルのパッチもユニーク。

 

たっぷりとブランドの世界観に触れた後はカフェタイム。キューブの外には、キルティングでラッピングされた《バブアー》のランドローバーが!コーヒーショップとコラボして、少し肌寒くなってきた会場を温めてくれました。スパイスが効いた、チャイを選んでご満悦のUMIちゃん。

世界でただ一つの13コレクションは、後日行われるオークションに出品され、その収益はすべて自然保護活動の団体に寄付されます。これはフィッシングや乗馬など自然と共に歩んできた《バブアー》だからこそ、意味のある取り組み。

全コレクションはこちらからチェック →https://www.barbour.com/re-loved-quilts

 

伝統そして現代へと続く、ニューヘリテージショップ

ポップアップが行われていたコヴェント・ガーデンからほど近い、ニールストリートに「NEW HERITAGE」をブランドコンセプトに掲げた新しいショップをオープン。「NEW HERITAGE」とは、アーカイブを着想源に、現代へと昇華させたコレクションのこと。

 

2フロアからなる新店舗。一階はブランドの伝統に大切にしながらカントリースタイルをアップデートさせた「Re-Engineered」のラインが中心。プレミアムなコレクションが一堂に会するのはここのショップだけ。マニア必須なので、細部までチェックしたい。

 

またここのショップの特徴として、「Wax for Life」というリワックスやリペア、そして古着を回収して新たなピースとして生まれ変わらせるRE-LOVEDのサービスも行っていること。限定版のRE-LOVEDアイテムも見ることができ、アーカイブが現代へと続いていく過程を感じることができる。

 

そして階段を降りて地下へ。壁面には130周年を時系列で代表的なビジュアルと共に振り返ることができる。1894年に創業した、サウスシールズのマーケットの様子がわかる当時の写真もある。

地下はウィメンズウェアの他、ユニセックスの「HERITAGE +」や「HERITAGE select」も展開。アレクサチャンがディレクションしたウィメンズコレクション“THE SDIT BY ALEXA”はもちろん、日本では展開のないフラワーマウンテンとコラボしたジャケットやシューズも揃う。

 

特にUMI ちゃんが気になったのはフラワーマウンテンとコラボしたTransportワックスジャケット。オレンジのパイピングの袖をめくると、ヴィヴィッドなオレンジのリブがドッキングされているアイコニックなウェア。サイズは少しオーバーなものを選んで。他にもスニーカーを展開しており、配色が異なる幾つものラインナップに興奮!色選びに迷っていました。帽子なども試着して、すっかり買い物気分。

 

伝統を継承しつつ、現代の解釈でブランドを物語るニールストリートの新しいショップはまさに現在進行形の《バブアー》のエッセンスを感じることができるスペース。独自のコンセプトストアが立ち並ぶ通りだからこそ実現した、今後も期待したいショップ。ロンドンに訪れた際は、ぜひ立ち寄ってみて。

 

ディレクター・イアンとニコラにインタビュー!長く愛される続ける理由とは?

メンズ&ウィメンズのディレクターのイアン氏とニコラ氏に、《バブアー》の魅力について特別にインタビュー。ニューヘリテージへの想い、伝統を繋いでいくことの大切さ、ディレクターが思う《バブアー》の楽しみ方など、さらにブランドの虜になってしまうこと間違いなし。UMIちゃんからの質問もあるのでお見逃しなく。

(左)メンズディレクター イアン・バーギン氏、(右)ウィメンズディレクター ニコラ・ブラウン。

Q:130周年を迎え、時代をこえて愛されるのはなぜだと思いますか?

イアン:ディレクターとして携わって16年経つけれど、《バブアー》はブランドのストーリーや目的がしっかりと考えられてブランディングをしているので、例えばタグがついてないとしても《バブアー》のものだとわかるんです。それが他ブランドとの差。

またワークウェアというのが大前提なので、それを必要とする人たちに提供できるプライスレンジにするのが大切だと思っています。”ハンドグリップ”=お客さまと握手をするような気持ちで作るというのが創業者であるジョン・バブアー氏の考えなんです。だからこそ、プライスは極力あげずにお客さんが買いやすい値段で提供することに努力しており、そのことも長く愛してもらえる理由だと思います。

ニコラ:私は2020年に就任して4年ほどですが、130周年という築かれた歴史を守っていくことに誇りをもっています。アウトドアやワークウェアとして使うだけでなく、今はタウンユースできるものとして、ワイドレンジで愛されているブランド。ウィメンズコレクションは新しいものと思われがちだけれど、1934年にはすでにスタートしています。変わらず作り続けている型もあって、歴史を守りながら進めていくことは挑戦だと感じています。《バブアー》らしいプロダクトを作っていくことがすごく楽しいです。

 

Q:ニコラ氏が思う、《バブアー》らしいディテールとは何ですか?

ニコラ:コーデュロイのディテールやリングジッパー、そしてハウスチェックのクラシックなタータン柄。それがあるから遠くからみても、《バブアー》のものだとわかります。このずっと守れているアイコン的なものを、デザイン加えていくことがすごく楽しい工程なんです。

 

Q:キューブ型のポップアップについて教えてください。

イアン:私たち二人のコネクションによって実現したのがこの限定のRE-LOVED QUILTコレクション。ブランド同士のコラボレーションだけれど、結局は人と人とのコミュニケーション。そして互いのファンに向けて贈るものでもある。そのプロセスを知りながら出来が上がったアイテムを見るだけでもすごく楽しめると思います。ちなみに僕のお気に入りは《エンジニアド ガーメンツ》。

ニコラ:全て一点もので、一から作ったものではなく、もともとあったキルティングジャケット(リデスデイル)をベースにして、定期的に話し合いながら決めていきました。

例えば《ガニ》は4つのリデスデイルを組み合わせてるんです。また最初のサンプルの時から、中にあるものを表に見せるというテクニックをやって欲しいとリクエストがあって、ラベルを表にだすというのが実現しました。時には実際にジャケットを持ってきて、ペプラムをジップに変えたり、徐々にアレンジを加えていって現在の形になりました。

 

Q:13ブランドとコラボレーションして如何でしたか?

イアン:異なるブランド同士が、一つの作品を一緒に作っていくことがすごく勉強になりました。「リデスデイル」のベースに従って作っていく過程がすごく楽しかったです。ちなみに「ひつじのショーン」は日本好きなディレクターが担当したから、好評だときいたらきっと喜ぶよ。

キューブのPOPUPはブランドの面白さを感じて欲しくて、あえてカーテンで隠れた作りに。会場に入ることで楽しさ感じて欲しいと思ったし、イギリスらしいユニークさも一緒に体験できるすてきなキューブ(箱)になったと思う。

 

Q:キルティングジャケットの「リデスデイル」が、ワックスジャケットと同じく長く愛されている理由は何だと思いますか?

イアン:「リデスデイル」は1979年に発表された、「カントリーマン」というモデルをベースに現会長のマーガレット氏が1994年にリモデルしたもの。 もともとは馬小屋の掃除をする人用に作られたものだった。そのため、作業しているときに暑すぎないちょうど良い生地にしたり、汚れたら洗濯機で洗えるようしている。《バブアー》の特徴である大きいポケットによって、作業に必要な工具とか何でも入るようにしてあったり、サイドベンツは馬に乗ったときに邪魔にならないようにするための名残。
今述べたような機能性がありながら、みんなが手に取りやすい価格帯だっだというのも要因かも。シャツと同じくらいシンプルな作りだけれど、少し大きめなシルエットでいろんなものに合わせやすいデザインだから、長く愛してもらえてるんだと思う。

ニコラ:着込むことで自分の体にフィットしていくので、自分と共に年月を重ねていき、リペアして味を加えていくことが《バブアー》を着る楽しみ方のひとつ。それはワックスジャケットと同様にキルティングでも言えることだと思うんです。だから愛着をもって長く着てもらうことにつながる。

 

Q:お気に入りのジャケットを教えて!

ニコラ:19歳のときに古着屋さんではじめて購入したのが「BEDALE」。なのでこれが一番のお気に入り。当時のものは、ワックスも落ちてライトブラウンになっていて、大きいサイズをわざと選んで着ていました。

イアン:ちなみに「BEDALE」は乗馬用だから斜めのポケットだけれど、「BEAUFORT」はハンティングジャケットだからものを出し入れしやすいようにポケットを真っ直ぐに配置しているんだ。本来の機能を知ることで、さらに愛着が湧くよね。

 

イアン:いっぱいお気に入りがありすぎるけれど、最近はハンティングジャケットをベースにしながら、よりファッション好きな人に向けてカスタマイズしている「Heritage+」コレクションがお気に入り。ミリタリーのスタッズやドローストリング、プリーツを入れたり……。ちなみにライナー(裏地)が下半分だけ付いているのは、馬に乗っていると、馬の汗が裾にかかってくるので、半分だけライナーをつけることで、汗が上がってこないように工夫したため。「ドリップストップ」という名前で、昔はライナーが付いてなかったんだ。そういったディテールを大切しているのも、このコレクションの特色でもある。

 

Q:ニールストリートの新しいお店が他と異なる点は?

ニコラ:ヘリテージにこだわって商品を選んでいて、より《バブアー》らしく、アーカイブの商品を忠実にした商品選びをしています。ここに来たことで、《バブアー》の歴史を感じて欲しいですね。

イアン:「Heritage+」、「Heritage select」、「Re-Engineered」の3コレクションがあって、それぞれにフィットした名前がついていて、シルエットでどのコレクションかわかるんだ。
このお店のターゲットは、古くからのお客さんはもちろん、やっぱり若い世代も取り込んでいきたい。その中でも、よりバブアーらしいものが好きな人たちにアピールできる商品を選びにこだわっている。ユニセックスの3つのラインを軸に、ブランドのディテールを感じられる商品のラインナップがここのお店の特色。これらはすべて僕たちだけが決めたわけではなく、チーム全体で考えて、ここに着地したんだ。

 

 

Q:RE-LOVEDについて教えてください。

イアン:リペアは昔からやっていて、ジャケットの持ち主から修理の依頼があったものはリペアしてお戻しするけれど、RE-LOVEDとして譲り受けた場合は古いジャケットと引き換えにを送ると新しいジャケットが買えるバウチャー(引換券)を貰えるようになっている。工場にRE-LOVEDを作るスペシャルなセクションがあって、古いジャケットのまだ使える部分を組み合わせたりして、新しい一着として生まれ変わらせたものをRE-LOVEDジャケットとして展開。
ときに状態がよくなくて、RE-LOVEDとしても修復が不可能なものはパーツを切り取って、別のものに使ったり、今回のコラボに使ったりしているんだ。このプロジェクトはサスティナブルという視点がコンセプトにあるから、新しく生まれ変わることでまたより長く着てもらうための取り組み。
《バブアー》のジャケットは着倒して着ることも美学だけれど、これは新しくバブアーを愛していくための手段のひとつ。「Quilt For Life」という、キルティングを RE-LOVEDするプロジェクトも実は計画中。

 

Q:今後の《バブアー》について教えてください

ニコラ:今後は1シーズンごとにジャケットをひとつピックアップして、よりフォーカスしてアプローチしていきたいと思っています。

イアン:1961年に誕生したソルウェイジャケットをリモデルしたデザインが発表される予定。昔からの顧客の人にも改めてアーカイブの良さを伝えるアプローチもするし、新しい人にも同様に培ってきたものの良さを伝えていきたい。だからこそ、ひとつひとつのジャケットにフォーカスして、丁寧に伝えていくことを今後は大事にしてい行きたいと思っているんだ。

 

ーUMIから質問!ー

Q:なぜ13ブランドとコラボしたんですか?
イアン:ブランドの数は130周年にかけて、13ブランドにしたわけじゃなくて、実は偶然。けれど、ブランドの特色が被らないように、テイストの異なるラインナップにするように心掛けました。

ニコラ:ちなみにロクサンダは自ら作りたいと手をあげてくれて、スカート部分は元々彼女のパーティドレスをドッキングしているんだ。

 

Q:日本のファッションについてどう思いますか?

イアン:銀座にある文具専門店の伊東屋みたいに、一つのことに対してコンセプトを絞ったお店があるのと同じように、ディテールにフォーカスするという点でファッションに対してもそういうところを感じられる。他の人よりも一歩先のものを取り入れることが、日本市場全体においてすごく上手だと思う。伝統工芸の仕上げなど見ても、ディテールを大切にする誇りを感じますね。

ニコラ:スタイリングがすごくユニークだと思う。全体のバランスやシルエットなどがすごく新鮮。特定の誰か、というわけじゃなくて、例えば道で見かけた人の服装でも感じる。だからこそ仕事で日本に行ったときは、写真に撮って記録しています。

 

最後に3名で記念写真。ますます、今回の話をきいて《バブアー》の虜になってしまったUMIちゃん。ちなみに着用してるジャケットは私物。これからもたくさん着て、自分なりの味にしていきたいそう。

 

現在開催中!バブアー創業130周年を記念したコンセプトストアが表参道に!

南青山・骨董通りにある「THE PLAYHOUSE」1階をバブアーがジャックして、Barbour 130th Anniversary Concept Storeがオープン中!バブアー創業から現在までの歴史を紹介するヒストリーボードを設置して、本国に保管されている希少なアーカイブジャケットも展示。130周年の歴史を振り返ることができます。

周年モデルを含む、今季のメンズ&ウィメンズコレクションのほか、キルティングジャケットの世界観も演出。まるでキルティングボックスの中に入り込んだような空間には、今年誕生から30周年を迎えるアイコンジャケットLIDDESDALEの記念モデルをはじめ、今シーズン新たに登場したモデルを幅広く展開。また特別展示として、通常ワックスジャケットのみに対応しているアップサイクルプログラムRE-LOVED(リラブド)のキルティングジャケットバージョンとして「RE-LOVED QUILT(リラブドキルト)」をご用意。

期間中、バブアーを着用してご来店頂いたお客様には、店内のバブアーカフェにてコーヒー1杯をプレゼント。キルティングジャケットをイメージしたスペシャルカップにてご提供いたします。

■Barbour 130th Anniversary Concept Store
期間:開催中~10/30(水)
場所:THE PLAYHOUSE 1F
住所:東京都港区南青山5-8-5
営業時間:11:00 〜 19:00

 

 

photograph_Yanagida Aiko
interpreter _Koike Shiho
text&edit_Takehara Shizuka

 

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