CULTURE & LIFE
連載「週末アジア」は、”週末にふらっと気軽に行きたい旅行先=アジア”に精通している女性たちが、おしゃれなショップやカフェ、おすすめスポット、旬のニュースなどをピックアップして、まだまだ知られていないアジアの魅力をお伝えしていきます。今回はスペシャル企画として編集部がレポートする、最旬のシンガポールトピックス「パステルカラーの街、カトンでしたいこと」をお届け。

Index
次に行きたい旅行先、「シンガポール」ってどんなところ?
シンガポールといって思い浮かべるのは、マーライオン・パーク、マリーナベイ・サンズ、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ、ラッフルズ・ホテル……という方が多いのでは? もちろん押さえておきたい観光名所だけれど、そこから更新されていないのならもったいない!
シンガポールは東京23区と同じくらいの小さな都市国家ながら、様々な民族が暮らす多民族国家。中国系の雑貨屋やレストランが軒を連ねる「チャイナタウン」や、モスクを中心にマレー系・中東系のショップや若者注目のストリートがある「カンポン・ギラム」、香辛料や花の香りが街中に漂い異国情緒あふれる「リトル・インディア」など、エリアを少し移動するだけで全く違う顔を見せてくれたり。イギリス統治時代の名残としてコロニアル調の歴史的建造物が街の中に見られ、パステルカラーの色使いが美しい「カトン」のように、民族が交わることで独特のカルチャー(プラナカン)が生まれていたり。
そうかと思えば、お洒落で洗練されたショップやスポットも多くあり、知れば知るほど奥深くハマってゆく、ぎゅぎゅっと魅力が詰まった場所なのです。

色鮮やかな世界で魅了する「カトン」ってどんな街?
マーライオン・パークやマリーナベイ・サンズがある中心地の東側。やや離れていることもあって、意外と知られていないけれどFUDGE GIRLに今一番おすすめしたい街が、パステルカラーで彩られた「カトン」。ここはプラナカンと呼ばれる民族が多く住むエリアで、ショップハウスといった建物、食器や雑貨、お菓子まで、とにかくカラフルで可愛らしい…!
最寄り駅から徒歩15分くらい、中心地からは車で20〜30分ほどかかるエリアなので、タクシー(アプリがあれば楽々)に乗って向かいましょう!

カトンと切っても切り離せない「プラナカン文化」とは?
「プラナカン」とは、その土地で生まれた子供という意味で、狭義では15世紀に新天地を目指して移住した中国人と、現地のマレー女性による子孫のこと。彼らによる、中国やマレー、ヨーロッパ調を融合し生み出した華やかで独特な文化が、今もカトンには色濃く残っています。街で見かける鮮やかな色使いはもちろん、繊細なビーズ刺繍も美しいのでぜひご注目を!


パステルカラーの街、カトンでしたい4つのこと
カトンでは、アートを見るように街歩きを楽しめるし、そこかしこで写真が撮りたくなっちゃうこと間違いなし! この街を訪れたら必ずやっておきたい4つのこととは?
1. カラフルで美しいショップハウスを鑑賞したい!

カトンの街でよく見かけるのが、この可愛らしいパステルカラーの「ショップハウス」。昔は1階が店舗、2階以上が住居になっていたことが多かったため、その名前がついているのだそう。プラナカンのショップハウスは、コリント様式(古代ギリシャ風)の柱に、地中海風の窓や雨戸、中華風のタイルや漆喰、マレー建築らしい木製の鼻隠し板が特徴的。
こちらは必ず押さえておきたいフォトスポット!「KOON SENG ROAD HOUSES」で検索して場所を調べてみて。

多民族国家ならでは、ショップハウスによって装飾が異なるのがユニーク。

大通り「EAST COAST ROAD」にあるショップハウス。ここは今でもショップハウスとしての機能を果たしているので、ショッピングを兼ねてお散歩しよう!

ガーリーな色使いと装飾のショップハウス。それぞれ趣向が異なるので一つ一つゆっくりと鑑賞したくなります。

「テラスハウス」と呼ばれるプラナカン様式の高床式住居。なんと建築当時は海岸だったため、満潮時の浸水を考慮して高床式になったのだとか。見ているだけでハッピーになる色使いのこちらは、「CONSERVED TERRACE HOUSES」とマップ検索してエリアを確かめてみましょ。

フラワーモチーフの鉄格子がとってもキュート!
2. プラナカンの衣装や雑貨、お菓子が揃うショップでお買い物したい!

プラナカン文化を体感するのにぴったりなショップがここ〈Kim Choo Kueh Chang(キム・チュー・クエ・チャン)〉。1階には、プラナカンの民族衣装である刺繍入りのチュニックやバティック(ろうけつ染め)のサロン(腰布)、ビーズ刺繍のミュール、鳳凰や花が描かれた陶器、ローカルフードの中華ちまきやお菓子が販売されています。そして2階では、プラナカンの伝統的な作品展示もされていて見どころ満載!

プラナカン女性=ニョニャの正装である、華やかな刺繍が入った透け感のあるチュニックがずらり。昔はこれにバティックサロンと、富の象徴として数えきれないほどの宝石やアクセサリーで着飾っていたそう。こちらのチュニックはショップスタッフのハンドメイドによるもの。
多民族国家であるシンガポールは、国を代表する衣装が定まっておらず、時折この華やかなプラナカンの民族衣装が、イベントやパーティーの場で採用されています。

ニョニャの足元にはこの伝統アイテムが欠かせない! ニョニャ自身が得意とするビーズ刺繍を施したシューズ、カソ・マネ。レトロなデザインが乙女心をくすぐります。

可愛らしいティータイムを演出するなら、プラナカンのティーポット&カップはいかが?

天井から吊るされているのは、中華ちまき。中国をルーツに持つプラナカンの大好物。

目に鮮やかなお菓子たち。プラナカンのスイーツには南国らしくココナッツが使われていることが多いよう。パンダンリーフを練り込んだものは、現地でないとなかなか味わえないのでトライして。

2階の展示室に飾られている、贅沢な装飾を施したウエディングベッド。新天地であるシンガポールで財を成したプラナカンは、その象徴として鳳凰や神様、ライオン、牡丹の花などのおめでたいモチーフをたっぷりと施しています。

その昔、ニョニャたちは花嫁修行の一環で刺繍を身につけていました。
キム・チュー・クエ・チャン
住所:111 East Coast Road, Singapore 428801
アクセス:中心地からタクシーで20〜30分
営業時間:9:00〜21:00 無休
TEL:+65 6741 2125
Instagram:@KimChooKuehChang
3. かわいいカフェで、朝食の定番・カヤトーストを食べたい!

せっかくなら朝からカトンに出かけて、シンガポール定番の朝食、カヤトーストを食べるのはいかが?〈CHIN MEE CHIN CONFECTIONARY(チンミーチン コンフェクショナリー)〉は、100年近く前から営業している老舗カフェで、リニューアルオープンした現在は、赤と水色がイメージカラーのノスタルジーが漂う可愛らしいお店に。

ここはテラス席。南国のシンガポールでは朝の時間帯が外で過ごしやすいため、お店には朝早くから地元の常連さんがたくさん。

ここで必ずオーダーしたいメニューは、シンガポールのソウルフードである「カヤトースト」。

このカヤトーストとは、カヤジャムというココナッツミルクと砂糖、卵、パンダンリーフを煮詰めたものと、バターを挟んだトーストのこと。食パンが一般的ですが、このお店のように丸パンを使ったお店もあるのだそう。

そのまま食べたらフレンチトーストみたいに甘くておいしいところ、シンガポールっ子はさらに温泉卵と醤油、胡椒を混ぜ、つけて食べるのがお決まり。「パンに醤油?」と思うことなかれ、甘じょっぱい風味で意外にもクセになります。
シンガポールのコーヒーや紅茶は基本、コンデンスミルク入りで甘めのフレーバーなので覚えておいて。伝統的なカップ&ソーサーに入れてくれるから、昔ながらのシンガポール流カフェタイムを楽しみましょう!

コンフェクショナリーという名前の通り、グラメラカシフォン(やし砂糖のシフォンケーキ)のようなお菓子類、オタバン(魚のすり身を野菜やスパイスで味つけしたオタオタを中に挟んだもの)といった軽食も取り揃えています。
チンミーチン コンフェクショナリー
住所:204 East Coast Rd, Singapore 428903
アクセス:MRT Marine Parade駅から徒歩6分
営業時間:8:00〜16:00 月曜休
TEL:+65 6345 0419
Instagram:@chinmeechin.sg
4. おしゃれなウォールアートの写真を撮りたい!

まるで絵本に出てくるような色とりどりな建物が続くカトン。この街を歩いていると様々な場所で出会えるのが、ウォールアート。
CONSERVED TERRACE HOUSESの近くにあるのは、ウミガメが悠々と泳いでいる姿を描いた「TURTLE CAPE」という作品。カトンという街の名前は、絶滅したウミガメの一種、オサガメを意味するジャワ語に由来していることから、かつて海岸でオサガメが生息していたこの地に描かれているそう。

キャラクターやフラワーモチーフなどがポップに、タイル状に描かれた若手クリエイターによる作品「Medley Alley」。一つ一つも可愛いけれど、人が中央に立って写真を撮ると翼が授けされたように…!

歩いている途中、ふと振り返ってみるとカラフルなネコたちが闊歩するウォールアートに出会えました。
作品名は「ジャラン・ジャラン」で、散歩という意味。マレー系のペットといえば猫なのだそうですが、作者はプラナカンの陶器からインスピレーションを得てこの猫たちを描く色を決めたのだとか。

この記事の上部にある写真、プラナカン女性=ニョニャたちがにぎやかに描かれたウォールアートのすぐ近くにあった作品。
この建物の表が「2. プラナカンの衣装や雑貨〜」で紹介した〈キム・チュー・クエ・チャン〉。お店の成り立ちが中華ちまき(バッツァン)を売ったことだそうで、プラナカンの衣装を着た女の子が、中華ちまきの風船を持っているイラストに。
ほかにもいろいろな場所に点在しているので、街をぐるぐると歩き回ってすてきなウォールアートを写真におさめましょう!
シンガポール旅をおすすめしたいFUDGE GIRLはこちら
▶︎ひさびさの海外旅行 or あまり海外に行ったことがない
これまで出かけていなかった方にとって、日本とギャップがありすぎるとドキドキしてしまうことも。シンガポールは清潔な国で、例えば、ゴミのポイ捨て禁止のため街が清潔で、水道水は飲料水として飲むことができ、トイレは日本と同じ水洗トイレなので利用しやすい。
時差はマイナス1時間(日本が1時間早い)で時差ボケの心配なし。公用語のひとつが英語のため、基本的に観光地では英語が通じ、飲食店などで英語のメニューが用意されています。
▶︎女子旅や一人旅を検討している
シンガポールは治安の良い国として知られていて、女性が夜遅くに出歩いていても大丈夫(もちろん日本と同様に、全く危険が無いわけではないので気は抜かないで! 人の多く集まるところではスリや置き引きに注意)。
見どころがコンパクトにまとまっていて、MRT(地下鉄)が主要エリアを網羅しているので移動しやすい。タクシーは事前に配車アプリを入れておくのがおすすめです。
▶︎おしゃれなカフェに行ったり、おいしいものをたくさん食べたい
カフェ好きさんが多いファッジガールに朗報! シンガポールは、イギリス統治時代の流れからアフタヌーンティーやハイティーといった”ティータイム(カフェタイム)”を楽しむ文化が続いています。街を歩いていると様々なお店が見つかるので、カフェ巡りを楽しもう☺︎
また、チキンライスやバクテーといった代表的な料理はもちろん、中国系民族が多いことから中華料理をベースにしたレストランも多数あり、日本人の舌にも合うはず。こんなに様々な料理があったとは、と思うほどバラエティ豊かなので今まで知らなかったグルメにも出会えます。
▶︎短期間でいろんなスポットをまわりたい
シンガポールは直行便で約7時間かかるものの、着いてしまえばこちらのもの! 行きたい場所がコンパクトにまとまっているから、短時間で効率的に回ることができます。時間が無ければ2泊4日で、金曜夜に向かって月曜朝に戻ってくるといったスケジュールも可能。そして、エリアごとに特徴が異なるので1カ国訪れるだけで様々な国に旅したような気分に! まさに、”週末アジア”するのにおすすめなのです。
関連記事:次に行きたい旅行先、シンガポールのおすすめカフェ 6選|朝食に楽しみたいパンからおしゃれなスイーツまで 【週末アジア:シンガポール編】

photograph_Takakura Yume
text_Oguchi Eiko
cooperation_Singapore Tourism Board, Singapore Airlines
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