連載「週末アジア」は、アジアに精通している女性たちが、おしゃれなショップやカフェ、おすすめスポット、旬のニュースなどをピックアップして、まだまだ知られていないアジアの魅力をお伝えしていきます。いますぐに旅立つことはできないけれど、また旅ができる日々を楽しみに。

 

 

ローカルフード店から、日本食、韓国料理、カフェなど、多くの飲食店がしのぎを削るエリア、Tanjong Pagarに、4月、朝早くから行列をなすお店ができたと聞きました。

 

 

Tanjong Pagar通り沿いに歩みを進めると、たしかに、午前中だというのに列を発見。なんのお店だろう？ と調べてみたところ、「Champion Bolo Bun」という、ボロバンの専門店だというではないですか。

ボロバンとは、簡単に説明すると香港発のメロンパン。表面が格子模様のクッキー生地になっている甘いパンで、シンガポールではパイナップルに似ていることからパイナップルパンと呼ばれています。

 

 

ルーツを中華系にもつ人が多く暮らす国ゆえ、ボロバンにも馴染みがあり、さほど珍しい存在ではないはず。にもかかわらず、この注目されっぷりはどういうこと⁇ と興味をそそられ、お店へ入ってみることに。

列に加わり、待つこと20分。カウンターで、Classic with butterというバターを挟んだタイプをオーダー。「時間がかかるけどよいですか？」と確認されたため、ほんのり怯むも「ぜひに！」と答え、2階のテーブル席へ。

 

……たしかに待ちました。なんと40分。でもでも、です。待った甲斐があった
ほんのりとした甘さと、ミルクの芳醇な香りを放つバターの塩味とのバランスのよさたるや。手に持っていると、溶けたバターが腕につたってくるほどで、つまりこれはカロリー爆弾。ああ、なんという背徳感

 

 

ボロバンというと、もぎゅっとした重量感のある生地が一般的なのですが、こちらのものはサクサクほろほろのクッキー部分と、ほんわりした中の生地の食感が小気味よく、とても軽い印象。

オーナーのホー・ローイ（なんと21歳）によれば「修行した香港の老舗ボロバン店のレシピを再現しているのだけれど、食感に関しては、シンガポール人の好みに合わせて、ふわっと軽くしたの」とのこと。

 

ちなみに彼女、「ベイキングが大好き！」という熱い想いから、高校卒業し、台湾の製菓学校へ留学して基礎を学んだのち、香港の老舗店で修行を積みました。工房が男社会だったこともあり、弟子入りを断られるも、何度も頼み込んで弟子入りを果たしたのだそう。
そんなストーリーを耳にしたら、腕をつたうバターは、ローイの溢れ出る情熱かも！ なんて感じられてしまい、カロリー爆弾、ためらうことなくたいらげました。

 

ちなみにボロバンのお供には、ぜひ、ミルクティーを合わせてください。かなり渋みが強いのですが、ボロバンの甘みと脂肪分を、ピッと締めてくれますので。

 

Champion Bolo Bun
92 Tanjong Pagar Road, Singapore 088513

 

 

text：Ayako Tada

編集＆ライター。2006年、マガジンハウスに入社。雑誌『Hanako』『GINZA』編集部に勤務し、ビューティ、ファッション、グルメなどを担当。結婚を機に2016年よりシンガポールに移住。現在はフリーランスとして｢Hanako.tokyo｣やシンガポールのローカル誌などで活動中。

Instagram : @tadaayako

 

 

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