CULTURE & LIFE
毎週テーマに合わせて、「アーティスト」が選曲したプレイリスト、いつの時代も色褪せない「名盤」、そして注目の「新曲」をお届けする、連載《火曜日のプレイリスト》。
今週はちょっとシュールで、可笑しくて、キュンとさせる、シンガー・ソングライター柴田聡子のインタビューをお届け!そして、「ハロウィン気分になれる曲」もセレクトしているので、お見逃しなく!
シンガー・ソングライターとして活動する一方で、詩集「さばーく」が現代詩の賞を受賞。文芸誌に詩やエッセイを寄稿するなど、多彩な活動で注目を集める柴田聡子。そんななか、新作『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』は、今年3月にリリースされたアルバム『がんばれ!メロディー』のツアー・ファイナルの模様を収録。柴田が信頼を寄せるバンド、inFIREとの息が合った演奏がたっぷり楽しめるライヴ盤。アルバムの話を中心に、ちょっとシュールで、可笑しくて、キュンとさせる、柴田聡子の不思議な歌の秘密を探ってみた。
Index
年をとるほど、踊りたいし、リズムをビシバシ感じたい
ーー今回の新作は、バンドとしては初めてのライヴ・アルバムですが、inFIREの良さってどんなところでしょう。
「全員の演奏がいい音を出してくれるというのはもちろんですけど、いろんな人がいるっていうのが一番好きです。性格とか年齢とかプレイスタイルとかライフスタイルとか様々で。音楽に限らず、いろんな人と話が出来るっていうのが嬉しいんです。最近、いろんな歳の友達に出会うようになって」
ーー何かきっかけがあったんですか?
「これまでより、〈面白いなあ〉と思えることが増えてきたというか。物事も人も、いろんなことを面白いなあと思うようになってきたんですよね」
ーーいま、おいくつでしたっけ?
「32です。入っちゃいましたね。30代に(笑)」
ーー30代に入ったことと心境の変化は関係あります?
「あるのかもしれない。みんな言いますからね。〈30手前までが辛くて入ったらめちゃくちゃ楽しいよ〉とか〈30代が一番モテるよ〉とか。これまで女であることをそんなに意識してこなかったし、30代に入ることにプレッシャーを感じたこともなかったんですけど、最近はビッグママみたいな気持ちになれるんですよ。歳下はすごく可愛くなってくるし、歳上はもっと尊敬できるようになるし、同世代はめちゃくちゃ楽しくなる」
ーーinFIREは、歳下も歳上もいるから楽しいでしょうね。その楽しさがバンド・サウンドにも反映されている気がします。グルーヴが強化されてダンサブルなナンバーが増えましたね。
「年をとればとるほど、踊りたいとかリズムをビシバシ感じたいって思うようになってきたんです。普通だったら逆で、若い頃のほうがそうなのかもしれないけど。ひとりでも充分グルーヴを出していけるんですけど、バンドでやることで賑やかなグルーヴになってきたって感じですね。真面目にギュッとやりつつ、〈楽しい~!〉みたいな感じに身を任せるというか。演奏しながら〈いま死のう!〉みたいな気持ちでやってます」
ーーメロディーもますますポップになってきましたね。
「最近、〈なんでうちのおばあちゃんは紫に髪を染めるのか?〉っていうことが、急に理解できるようになってきたんですよ。勇気が出るというか、私のポップ願望はそういう面があります。〈キラキラッてしたいな〉って思ったり〈たくさん音を入れたいな〉って思うのも、自分を励ますためにやってる気がします」
ーーバンドとやるようになったり、グルーヴを意識するようになってから曲作りのアプローチは変わりました?
「とりあえず自分でグッと固めて、〈もうダメだ。ほんとにダメかもしれない〉ってなってから、みんなに相談しに行くと、〈あ、そんなことが!〉っていう気付きがあったりして。バンドが助けてくれることで面白くなることが多いですね」
書く仕事は真面目な自分を取り繕ってしまう
ーー柴田さんは詩やエッセイなど執筆の仕事もされていますが、執筆の難しさ、楽しさはどんなところでしょう。
「まだ書く仕事ではバカになれないというか、真面目になっちゃうんですよね。本当はバカなのに、取り繕って真面目に書こうとする。いい感じに見られたいと思ってシリアスになったり、オセンチになったりしがちなんですよ。そんなこと考えてもしようがないのに。音楽のほうは、最近、取り繕わずにバカなところが出せるようになってきました」
ーー音楽の方が素の自分を出せるようになってきたんですね。ミュージシャンとしてデビューする前は美大に通われていたそうですね。何かを表現したい、という気持ちは子供の頃からあったのでしょうか。
「何かを表現したい、というより、何かやってるのが好きな子供だったかもしれないですね。小さい頃、〈スケッチブックを一冊使った!〉って言いたいがために、1ページずつグシャッ、グシャッと適当に描いて、保育園の先生に〈全部描いた〉って言って怒られたりしてました(笑)」
ーーそんななかで、音楽を続けてこられたというのは、音楽には特別な何かがあるんでしょうね。
「かもしれない。いろんなラッキーが重なって、だと思いますけど、はっきりした理由はわからないですね。ただ楽しいからとか、向いてそうだからとか、いろんな理由があるような気がするけど」
ーーこれだけ絶好調なのに、まだ天職だとは思えない?
「まだ何とも言えないですね。自分の性根が良くて、これまでの人生を頑張って歩んできたのならそう言えるんですけど、怠け者としての面が強過ぎるから、まだ油断出来ない。朝起きた瞬間に〈なんで今、これをしてるんだろう〉って思ったりするし。音楽が自分の天職なのか、その答えは一生わからない気がしますね」
柴田聡子『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』
ハロウィン気分になれる曲
柴田聡子さんが「ハロウィン気分になれる曲」をテーマにプレイリストを教えてくれました!
select: Michael Jackson『Thriller』
もし、仮装するならチューバッカとか?【choose:柴田聡子】
「《スリラー》っていう曲のタイトルからハロウィンっぽいですよね。〈ジャンジャーン!〉っていう派手なイントロもホラー映画みたいだし。でも、ダンサブルで、カラフルで、お化け屋敷みたいな曲。ミュージックビデオの変なダンスも面白いですよね。マイケル・ジャクソンは今回のツアー中によく聴いてたんですよ。すごくシンプルだけど時代を問わない格好良さがあるんですよね。マイケルは常に新しいものを求めながらも、変に考え過ぎない無邪気なところがあって、やっぱり天才だ!って思いました。ハロウィンの仮装って、したことがないんですよ。もし、仮装するならチューバッカとか? 身体は異世界だけど、顔はちょっと人間が残ってる感じのものが良いですね。『猿の惑星』とか毛むくじゃら系(笑)。」
《柴田聡子》1986年札幌市生まれ。大学時代の恩師の一言をきっかけに、2010年より都内を中心に活動を始める。2016年、初の詩集「さばーく」を発売。同年、第5回エルスール財団新人賞<現代詩部門>を受賞。『文學界』『すばる』『現代詩手帖』などにも寄稿し、詩人としても注目を集める。2018年、1月号より現在に至るまで、雑誌『文學界』にてエッセイ「きれぎれのハミング」を好評連載中。2019年3月、5thアルバム『がんばれ!メロディー』を発売。初のバンドツアー『柴田聡子 TOUR 2019 “GANBARE! MELODY”』を全国8都市で開催。10月、ツアー千秋楽の模様を記録したライブ盤『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』を発売したばかり。
「ハロウィン気分になれる曲」をテーマに、いつの時代も色褪せない「名盤」をお届け!
select:Andrew Gold 『Spooky Scary Skeletons』
子供から大人まで楽しめるハロウィンソング
70〜80年代にかけて、アメリカ西海岸ロック・シーンで活躍したシンガー・ソングライター、アンドリュー・ゴールド。リンダ・ロンシュタットやニコレット・ラーソンなど、女性シンガー・ソングライターとのロマンスが話題になるなど、プレイボーイぶりも注目を集めたアンドリューが96年に発表した『Halloween Howls』は、ハロウィンにぴったりの曲を集めたユニークなアルバム。オリジナル曲に加えて『アダムズ・ファミリー』や『ゴーストバスターズ』などテレビや映画の主題歌のカヴァーも収録されていて、子供から大人まで楽しめる。なかでも、「Spooky, Scary Skelton(不気味で恐ろしいガイコツたち)」は、骨の音を思わせる木琴の音色がキュート。
FUDGE.jpが「Pick up」する、注目のアーティストの新譜を紹介!
select:TAWINGS 『水仙』
期待のオルタナティブ・ガールズバンドによる、アートなセンスが光るナンバー
2016年に結成されたガールズ・バンド、TAWINGS。レモン・ツイッグスやジャパニーズ・ブレックファストなど海外のバンドと共演し、2018年にはアメリカのロック・フェス、SXSWに出演するなど、海外のロック・シーンとも繋がっている彼女達のファースト・アルバム『TAWINGS』が、11月20日にリリースされる予定。その先行シングルとして配信された新曲「水仙」は、タイトなバンド・サウンドに、ポスト・パンクやニューウェイヴを吸収したアートなポップ・センスが光るナンバー。反復するビートやミステリアスなメロデイーに妖しいムードが漂うなか、サビで爆発するノイジーなギターで異世界に連れ去られてしまう。アルバムも期待大!
text_Murao Yasuo
Design_Koinuma Kenichi
edit_Takehara Shizuka
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