CULTURE & LIFE
旬の野菜を全国へお届けしている京都の会社「坂ノ途中」スタッフの、「おいしい暮らし」をつづる連載。第9回は、坂ノ途中のコーヒーブランド・海ノ向こうコーヒーの吉村友希が、コーヒーのハンドドリップについてお伝えします。
朝の目覚めに、仕事の気分転換に、ほっとくつろぐときに。コーヒーが欠かせないという方も多いかもしれません。自分で本格的なコーヒーを淹れてみたい、そんなふうに思ったことはありませんか。コーヒーのしずくの立てる音や広がる香り。その時間は、時にはすっと背筋が伸びるようにも、また時にはゆっくりと気持ちがほぐれるようにも感じます。味わいも、すっきり軽やか、濃く深くと、好みに合わせてさまざまに引き出せます。ネルドリップ、フレンチプレス、サイフォンなどさまざまな抽出法がありますが、今回は、いちばん手軽なペーパードリップについて、道具と手順のポイントをお伝えします。
Index
ペーパードリップの道具
試しに価格を抑えてはじめてみたいという方は、道具は100円ショップやホームセンターでも揃えることができます。こだわりたい方には専門メーカーのラインナップもたくさんあります。
・ペーパーフィルター
・ドリッパー
ドリッパーにフィルターをセットして粉を入れ、お湯を注いで抽出されたコーヒーが、ドリッパーの底の穴を通ってサーバーに落ちます。台形型のメリタ式とカリタ式、円錐型のハリオ式があります。形、穴の数、溝の有無などで味に違いが生まれるのですが、最初はあまり気にせず、たとえば価格で選んで、慣れてきて自分の好みの味がはっきりしてきたら、形状や材質にこだわってみるといいと思います。フィルターはドリッパーと形状が合うものを使ってください。
・サーバー
ドリッパーを乗せて、滴り落ちるコーヒーを受けます。ガラスやプラスチックでできた目盛りつきのものなら、淹れた量が一目でわかり便利です。保温性の高い金属製のものや、おしゃれな陶器製のものも。1杯分だけなら、マグにそのまま落としてもOKです。
・ドリップポット
注ぎ口が細くつくられたやかん。お湯を狙ったところに、量を調節しながら落とすことができ、コーヒーの味と香りをしっかり引き出せます。直接火にかけられないものもあるので、買うときには確認してくださいね。
・はかり、タイマー
コーヒーの抽出は、量と時間をはかることが大切。粉やお湯の分量をきちんと量り、美味しく淹れられるよう時間を計りましょう。タイマー機能がついたドリップスケールも販売されていますが、キッチン用のはかりにスマートフォンのタイマーでも十分です。
・ミル
コーヒーは、あらかじめ粉に挽かれたものより、淹れる直前に豆を挽いて粉にする方がより豊かな味わいを楽しめます。豆を買って、ミルを使って自分で挽くのがおすすめ。粉で買うなら、豆をその場で挽いてくれるお店で。ミルには手動のものと電動のものがあって、手動タイプはコンパクトでアウトドアなどでも使うことができますが、挽ける量は少量で時間がかかります。電動タイプは短時間でたくさん挽くことができますが、手動にくらべてサイズが大きく、騒音を立てるものもあるので使う場所を選びます。
基本の淹れかた
いよいよペーパードリップをはじめていきましょう。豆の分量と、抽出の時間をはかることがポイントです。
1. 豆を量る
豆の分量は、
・カップ1杯分(180ml)の場合、13~15g
・カップ2杯分(360ml)の場合、22~24g
が目安です。
2. 豆を挽く
細く挽くほど、抽出したときの色も味も濃くなります。はじめての豆はグラニュー糖ぐらいの中細挽きにして、次に淹れるとき、もっと濃い味にしたいなら細く、あっさりした味にしたいなら粗く挽くようにします。挽き終わったら、ドリッパーにセットしておいたペーパーフィルターに粉を入れます。
3. お湯を沸かす
抽出するお湯の適温は約90℃。沸騰させて火を止め、ぼこぼこと出ていた泡がおさまったタイミングが目安です。泡のおさまる前、90℃より高いと濃い味わいに、低いとまろやかな味わいになります。上級者のなかには温度計を使って正確に計る人もいます。抽出したコーヒーを冷まさないことも、美味しさの秘訣。あらかじめサーバーやカップにもお湯を注いで温めておきましょう。
4. お湯を少量注ぎ、蒸らす
ドリップポットを使い、コーヒーの中央部へ静かに少量注ぎます。粉全体を湿らせて、表面がふつふつするまで、30秒ほどそのまま蒸らします。蒸らすことでコーヒーに含まれている炭酸ガスが抜けてお湯がなじみやすくなり、コーヒーの成分を十分に引き出すことができます。
5. 時間をはかりながら、残りのお湯を注ぐ
中心から渦を描くように、フィルターにお湯を直接当てないようにしながら優しく注ぎます。一気に注ぐと味も香りも出なくなるのでご注意を。数回に分けて、フィルターのなかのお湯が落ちきる前に、次のお湯を注ぎます。雑味が出はじめる前、3分以内に抽出を終えるようにしましょう。目的の分量のコーヒーがサーバーに落ちたところで、粉がお湯を含んでいる(お湯を落としきらない)状態でドリッパーをサーバーから外すのも、雑味を入れないコツです。
まとめると……
コーヒーの香り、味わいを決めるポイントは次の3つです。
1. 粉の挽き目が細かいほど、濃くなる
2. お湯が低温なら柔らかい、高温なら濃く力強い味わいになる
3. お湯を注ぐ回数が多いほど、苦みが引き出される
標準的な淹れかたは、粉は中細挽き・お湯は90℃・お湯を注ぐのは3回。ここから調節して、自分のお気に入りのレシピを作ってみてください。難しそうに感じるかもしれませんが、慣れればそれほど時間はかからないですし、何度か繰り返しているうちに自分好みの味や豆にあわせた淹れかたのコツがなどが分かってきます。まずはチャレンジしてみていただけたら嬉しいです。
***
コーヒーは、とても奥が深いもの。知れば知るほど面白いです。豆の生産地、種類、焙煎度、鮮度など、淹れかたのほかにもさまざまな要素が複雑に絡み合って、その味わいは生まれています。坂ノ途中の「海ノ向こうコーヒー」では、アジアを中心に、約20か国の農家さんが環境に配慮しながら丁寧に育てたコーヒー豆を扱っています。チョコレートのようなまろやかな苦味のあるものや、紅茶のような香りが広がるもの、熟した桃のような甘味のあるもの……産地や品種によってさまざまな味わいがあります。気になった方は、坂ノ途中のOnlineShopも覗いてみてくださいね。
Text by YUKI YOSHIMURA from 坂ノ途中
株式会社坂ノ途中
「100年先もつづく、農業を。」をコンセプトに、農薬や化学肥料に頼らず育てられた農産物を販売。約300件の提携農家から野菜を仕入れ、全国へ宅配している。自社農場「やまのあいだファーム」の運営や、アジアのスペシャリティコーヒー「海ノ向こうコーヒー」の販売も行う。
Online Shop https://www.on-the-slope.com/shop/
産地を旅するコーヒー定期便 https://www.on-the-slope.com/shop/coffee-subscription/
Instagram https://www.instagram.com/sakanotochu/
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出典: goodroom journal
記事提供元:リノベーション・デザイナーズ賃貸 goodroom(グッドルーム)
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