CULTURE & LIFE

異なる生活リズムや趣味を持つお二人が選んだのは、76㎡というゆとりある広さの3LDKでした。築26年のアパートで、ヴィンテージ家具やご自身で作られた陶器をディスプレイし、五感で楽しむ暮らしを実践されている野田さん。 「一緒に住むけれど、ひとりの時間も大切にしたい」。そんな現代的なパートナーシップの在り方と、古さを愛でながら自分たちらしい空間をつくり上げる、お二人の暮らしを拝見しました。

 

一人でも、二人でも楽しめる間取り

「二人暮らしを始めるにあたって、一番の条件は『それぞれが自分の部屋を持てること』でした」

お互いに一人暮らしからの同棲スタートだったというお二人。それぞれ異なる、お仕事柄、生活リズムが異なることもしばしばあります。
「ずっと一緒だと息が詰まってしまうかもしれない。だからこそ、寝室も兼ねた個室を持ち、共有スペースであるリビングで顔を合わせるシェアハウスのような距離感が、私たちにはちょうどいいと思ったんです」

 

そんな条件で探して出会ったのが、現在の3LDKのお部屋でした。決め手の一つとなったのが、以前のシングル向け物件では叶わなかった「キッチンの広さ」です。

 

「料理をするのが好きなので、広いキッチンには一目惚れでした。二人でキッチンに立っても窮屈さを感じませんし、作った料理を並べるスペースも十分。ここに来てから、料理をする時間がより楽しくなりました」

 

そしてもう一つの特徴が、リビングダイニングに隣接する1室の存在です。入居時はリビングと襖で仕切られていましたが、お二人はこの襖を取り払い、広々としたワンルームのように使うことを選択しました。

 

「リビングとつなげることで開放感が生まれました。小上がりになっている和室スペースには、萩原製造所の置き畳『湊川』を敷いて、ゴロゴロできるくつろぎ空間にしています」

 

あえてフローリングに畳を置くことを選んだのは、前の住まいで琉球畳の良さを実感していたからだそう。

 

「2人にしては床面積も広い部屋なので、床でくつろげる場所が欲しかったんです。ネットで探した後付けできる畳ですが、ナチュラルな色味が部屋の雰囲気に馴染んでいます」

 

ここでは読書をしたり、テレビを見たり、ゲームをしたり。

 

築26年という経年を感じさせる部分も、黄ばみが気になる箇所にはマスキングテープを貼ったり、コンセントカバーを変えたりと、DIYで手を加えながら「味」として楽しむ。

 

古いものの良さを活かしつつ、現代の暮らしに合わせてアップデートしていく姿勢が、空間全体に心地よい温かみをもたらしています。

 

まるでギャラリーのように楽しむ、余白のあるディスプレイ

野田さんのお部屋を見渡して印象的なのが、まるでギャラリーのように整えられたディスプレイコーナーの数々です。
「見せる収納が好きなので、雑貨を配置するバランスにはこだわっています。一箇所にものを集中して置くとまとまりが悪くなるので、なるべく部屋全体に散りばめるように意識しています」

 

その中心となっているのが、リビングの一角に設けられた本棚スペースです。使用しているのは、IKEAの定番シェルフ「カラックス」。これを横置きにし、パートナーさんと2人分の書籍をずらりと並べています。

 

「書斎のように本が並んでいる空間に憧れていたんです。カラックスの上部はディスプレイスペースとして活用していて、お気に入りの作家さんの作品や、旅先で出会ったヴィンテージ雑貨などを飾っています」

 

ここに飾られている味わい深い器の数々は、実は野田さんご自身が陶芸教室で作られた作品も含まれています。「器が好きで、自分でも作るようになりました。土の手触りや、窯から出てきたときの表情の違いが面白くて」

 

引っ越してから購入されたというガラス扉の食器棚には、そんな自作の器やお気に入りの食器が並べられています。

 

大きなガラス扉のキャビネットは、収納力だけでなく「見せる」楽しみも叶えてくれます。

 

「持っているお皿が全部見えるので、料理に合わせて『今日はどのお皿にしようかな』と選ぶ楽しさが生まれました。綺麗に陳列されていると、それだけで気持ちが高まります」

 

こうした家具選びにおいても、野田さんの審美眼が光ります。
「家具を新調するときは、流行り廃りに関わらず、InstagramやPinterestで自分の好きな雰囲気をリストアップして、それに似ているものをじっくり探します。納得いくまで探すので、選ぶのに3〜4ヶ月かかることもありますね(笑)」

 

そうして迎え入れたのが、吉祥寺の『fog』で購入したフランスヴィンテージのミルクスツールや、ヤフオクで落札したヴィンテージチェアたち。

 

「ミルクスツールは、昔、牛の乳搾りをするときに使われていたもので、3本脚の愛らしいフォルムが特徴。軽くて場所を取らないので、サイドテーブルにしたり、ちょっと腰掛けたりと万能なんです」

 

色味を揃えつつ、アクセントカラーを少し加えることで統一感を出す。 そして、既製品だけでなく、手作りの作品やヴィンテージ品など「ストーリーのあるもの」をミックスさせる。この絶妙なバランス感覚が、野田さんらしいオリジナリティのある空間を作り上げています。

 

五感に心地よい、眠りのためのパーソナルルーム

3LDKという間取りを活かし、野田さんが自分だけの聖域として作り上げたのが「個室兼寝室」です。
「彼はフィギュアやアニメグッズをたくさん持っているタイプなので、彼の部屋はクローゼットも活用してコレクションを詰め込んだ空間になっています。逆に私の部屋は、ウッドと布素材をメインにした、和の雰囲気も漂う落ち着きのあるナチュラル空間を目指しました」

 

共有スペースはお互いの好みをすり合わせますが、個室はそれぞれの「好き」を全開にできる場所。このメリハリが、ストレスのない共同生活を支えています。

 

野田さんの寝室で特にこだわったのが、「五感へのアプローチ」です。 視覚的にリラックスできるよう、ベッドサイドにはAudo Copenhagenの「HASHIRA PENDANT LAMP」を採用しました。

 

「円柱の形状で、空間にあるとインテリアが締まる気がします。明かりをつけると黒い直線の躯体が浮き上がり、和紙を通したような柔らかな光が広がって、モダンな雰囲気を演出してくれるんです」

 

灯りとともに、心地よい眠りに欠かせないのが「香り」です。
「毎晩、お気に入りのSCENTICAのファブリックミストを布団にかけて眠るのがルーティンです。WOOD LOUNGEというホテルライクな香りなのですが、これに包まれると一日の疲れがリセットされる気がします」

 

ベッドサイドにはお気に入りのハンドクリームも常備し、香りとともに至福の入眠時間を楽しんでいます。

 

「自分の機嫌は自分でとる」という言葉がぴったりな、自分のための心地よさを追求したパーソナルルーム。誰にも邪魔されないこの場所があるからこそ、パートナーさんと過ごすリビングでの時間も、より豊かで楽しいものになるのでしょう。

 

お互いの個性を尊重し、干渉しすぎず、でも「美味しいね」「これいいね」という時間は共有する。3LDKという選択と、細部までこだわり抜いたインテリアは、自立した二人が長く心地よく暮らすための、最適解のようです。

 

野田さん (@y__s____room) のInstagramアカウントはこちら
https://www.instagram.com/y__s____room/

 

text & photo : Tsubottle

 

*

出典: goodroom journal 

記事提供元:リノベーション・デザイナーズ賃貸 goodroom(グッドルーム)

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