CULTURE & LIFE

リモートワークになったことをきっかけに、住みたい街から住まいを考えなおされたSahoさん。理想の街で生活する中で、少しずつ変わってきた暮らしに関する考え方やお部屋づくりについてお話を伺っていきます。

 

手触り、手仕事を大切にした暮らし

Sahoさんのお住まいは、憧れの街から絞って選ばれていました。
「コロナを機に夫婦ともにリモート勤務となり、もう少し地方に、でもいざという時に会社へ行きやすい場所で引越し先を考え始めました。会社の同僚が引越していたり、映画『海街diary』が好きだったりしたことから鎌倉周辺で探し、この家を見つけました」

 

今回の引越しが理想の暮らしや住まいを考えていく上でも、一つのきっかけになったと話すSahoさん。
「引越してから少しの間、仕事を離れる時間があったんです。時間がゆっくりな街での暮らしや人との関わりで自分の趣味や好きなことがはっきりと見えてくる機会になりました」

 

「今までは仕事も共働きだったので効率化を求めて住まいも考えてきたところを、自分に余裕ができたことで少し手間はかかるけれども、丁寧な暮らしに取り組むようになっていきましたね」

 

きっかけの1つとなったのが、鎌倉「蕾の家」での味噌づくりワークショップ。手仕事への関心はもちろん、そこにいる人たちの姿に心惹かれたそう。
「ワークショップで手触りを感じる暮らしへの憧れがより強くなりました。また蕾の家の女将がデザインした割烹着もそれまでの割烹着のイメージを良い意味で変えてくれるものでした」

 

「昔は、効率は良いがオシャレではない、古いもののイメージを持っていて。ただ実際に手にとってみると裾が長く、トロッとした素材がオシャレで。袖口が絞られているので動きやすいですし、冬⽤と夏⽤で生地が違うので快適に料理をすることができています」

 

キッチンには他にも暮らしへの嗜好の変化で取り入れられたものが、複数ありました。松本「鳥乃子」で購入した木曽の漆塗りせいろはご主人からプレゼントされたもの。

 

「漆塗りというのが珍しく、置いてあるだけでも絵になりますね。これを購入してから蒸し料理の機会が増え野菜の美味しさに改めて気づきました」

 

暮らしに対する嗜好が変わる中で、目に入るものから選ぶものにも変化が生まれています。

 

増田桐箱店の米櫃は最寄駅のAKOMEYA TOKYOで偶然見つけて購入されたもの。

 

HARIOのフタがガラスのご飯釜はテレビ番組で知って購入。
「便利でデザインもよく、何より土鍋で炊いたご飯はやっぱり美味しいと気づきました」

 

理想の暮らしのイメージが明確になった中で、暮らし方も選ばれるものも変わって、お部屋が形成されている様子が印象的でした。

 

二人で楽しめる空間づくり

お住まいでは二人での時間も楽しめて、便利な空間になるようお部屋を作られているSahoさん。こだわりの道具が集まるキッチンもその1つです。
「キッチンは二人で使うことも多いため、家事動線を意識して考えています」

 

「キッチンのワークトップのみだと狭いため、水仕事をする後ろのスペースに、伝統工芸を扱うお店で使われていた什器をテーブルとして設けています。買ってきた野菜を切ったり出来上がったものを途中で置いたりする場所として、お互いに違う作業をする際のスペースとして増やせたのは便利でしたね」

 

「全体的に木製でアンティークのインテリアが好きなのですが、鎌倉寒川の『古家具古道具そうすけ』で購入した大きな食器棚とテーブルのセットがキッチンのトレードマークになっています。花や植物を置くと温かみのある空間になりますね」

 

食器棚に並ぶ、色やデザインが多様な器たちも、お二人で旅行した先で選ばれた思い入れのあるものばかりでした。

 

「家具だけでなく、水仕事をする隣に冷蔵庫を置いたり、シンクやテーブルに近い場所に必要な調理器具や器を収納したりなど、使いやすいようにレイアウトしています」

 

住まいにはお二人で作られたインテリアもありました。キッチンとリビングの間に設けられた本棚は前の住まいでDIYしたものを、現在の住まいに合わせてリメイクされたそう。
「3年前の大晦日、年越し前に二人で必死になって作った思い入れのあるインテリアです」

 

「住まいが変わるタイミングで1度解体して運び、今の住まいのスペースに合わせて作り直しました」

 

「もともと本が大好きな夫と絵本作家をめざす私が集めた絵本がバランスよく並び、二人の趣味が見渡せるところが好きです」

 

左右で緩やかに二人のゾーンを分けて収納。本だけでなく、旅の思い出の品なども飾られており、お二人を表す空間になっていました。

 

仕事場すぎず自分の好きを詰め込んだ自室

共同で使うLDKとは少し色合いを変えながら楽しまれていたのが、ワークスペースでもある自室。
「フルリモートのため、普段は仕事をするための空間ですが、仕事場すぎないよう自分の好きを詰め込んだ場所に仕上げています」

 

「キッチンやリビングと違い、リラックスできるというよりも、やる気が上がるように、少し明るめの色を多くしています」

 

結婚式などで使われた造花のブーケもお部屋の差し色として、空間を明るい印象に。

 

「最近購入した明るい木の色の棚やその棚に飾っているインテリアなど、このお部屋にあるものは、どれもお気に入りです」

 

自室の本棚はお気に入りの漫画や雑誌が中心。日々の気持ちを整え、仕事に取り組むための大切な空間になっていました。

 

長く大切に使い続けられるもの選び

今回の住まいへの引越しをきっかけに、考え方として変化があったことに「ものとの付き合い方」もありました。
「今回の引越しで捨てるものが多く、もったいないと感じることが多くありました。そのため、今の住まいでは購入する際に、よく考えるようにしています」

 

ものの選び方は「住まいの色合いに合うか」「置く場所に合うか」「複数の使い道があるか」の3つだと話すSahoさん。
「ベースとなる家具の質感と色をなるべく揃えるようにしています。我が家だと、木製のものでブラウンの色合い。小物もそのベースに合うもので、白やガラス製のインテリアを選ぶことが多いです」

 

住まいのベースになっていたのが、長年使われているリビングのチェスト。
「働き始めた頃に暮らしていたマンションで“ご自由にどうぞ”と置かれていたものです。素敵なアンティークで状態もすごく良かったので、すぐに住まいへ迎え入れました」

 

「このチェストが我が家にとって最初のアンティークで、その後のアンティーク選びの基準にもなっています。鎌倉の御成通りのお店で買ったハギレや100円ショップのアイテムも用いて大切に使っています」

 

チェストの中には、お香や薬など日用品が入れられていました。

 

色合いが異なるものを選ぶ時は、部屋を撮影しておき、買うものが空間に馴染むか確認するようにしていました。
「最近購入した紫の花瓶も、先に棚を撮影しておいて購入するものと見比べることで確認していきました。合わせて見ると意外と違和感に気がつくのでオススメです」

 

色やデザインが合っても、使う用途をイメージして最終確認。
「飽きて捨ててしまうことが多かったプラスチック用品や、使い道が1つしかないものは買わないようにしていますね。ものを買うときは、2通り以上の使い道ができるものを選ぶようにしています」

 

「例えば、器類は料理を盛り付けたり、絵として飾ったり、アクセサリー置きにしても気に入るものを選ぶようにしています。最近、旅行で購入したお猪口はお香立てにしていたりもしますね」

 

同様に、籠類もキッチンをはじめ、自室のコード隠しなど、複数の⽤途で使っているそう。
「海外の方の暮らしを見ていると、ものの使い方についての発想が面白いと感じることが多くあります。枠に捉われないよう自分も考えていきたいです」

 

理想の暮らしのイメージや必要な家具も揃ってきた今、また新しい環境での暮らしも考えられているというSahoさん。
「この場所での暮らしも好きなのですが、出社の機会が増えたのもあり、もう少し会社に近い異なるエリアに住んでみたいと思っています。下町の良さや自然を感じる環境にも憧れがありますね。場所が変わっても今あるものを大切に使いながら暮らしを考えていけたらと思います」

 

環境の変化が、住まいや暮らし方を考えるきっかけになっていたSahoさん。今後、また新たな変化を迎える中で、どんな住空間をつくられているのか楽しみですね。

 

Sahoさん(@saho_tezawari_kurashi)さんのInstagramアカウントはこちら
https://www.instagram.com/saho_tezawari_kurashi/

 

text & photo : Tsubottle

 

*

出典: goodroom journal 

記事提供元:リノベーション・デザイナーズ賃貸 goodroom(グッドルーム)

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