CULTURE & LIFE

〈ラドリオ〉のあの子。

本の背表紙を見ると、この中にどんな世界が広がっているのだろうとわくわくする。小さな路地でこのお店の看板を見つけた時のわくわくは、まさにそれに似ていた。勇気を出して踏み入れた扉の向こう側。1人が好きな私にちょうどいいあたたかさで、控えめに佇む小さな本棚が「本っていいよね」とそっと私に賛同してくれた。そこに並ぶ背表紙たちがまた私のわくわくを誘うから、いつしか私はすっかり常連さん。

シャツ¥15950/ADAM ET ROPÉ(アダム エ ロペ)、スカート¥25300/O’NEIL OF DUBLIN(ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ 渋谷公園通り店)、ベレー帽¥7590/KANGOL(カンゴール ヘッドウェア)、バッグ¥48400/Polo Ralph Lauren(ラルフ ローレン)、メガネ¥32670 /OLIVER PEOPLES(コンティニュエ)、タイツ/スタイリスト私物

 

ラドリオ

世界一とも言われる数の古書店が立ち並ぶ神保町で、戦後間もない1949年に創業したひときわ歴史の古い喫茶店〈らどりお〉。書店を経営していた創業者が常連客のためにサロンを開き、それが後に喫茶店へ形を変えたという文学の街ならではのエピソードも。古くから文豪や絵描きが集ったという店内には本棚が置かれ、常連客であった芸術家が残した作品もちらほら。文化人とともに歩んだ色濃い歴史が伺える。

同店が発祥と言われる「ウィンナーコーヒー(単品¥600)」は、ウィーン帰りの常連さんの「向こうではコーヒーに白いものが乗っていた」という何気ない会話から生まれたのだとか。読書や討論に夢中になってもコーヒーが冷めにくいという利点も、神保町という地で受け入れられた理由。代々レシピが受け継がれる「チキンカレー(ランチセット¥1000)」は、トマトベースのルーにチキンの旨味が溶ける。ランチセットのドリンクはウィンナーコーヒーも選択可。

東京都千代田区神田神保町1-3
03-3295-4788
平日11:45~18:00、土日 12:00〜19:00 祝休

 

〈B. Y. G 〉のあの子。

ロックを愛する人たちの精神が半世紀分も詰まったこの場所の空気は、心地よい重みがある。この空気を揺らすレコードの音としっかり味のナポリタンは、妙に相性のいい最高の掛け合わせだ。偶然なのか必然なのか、ここが創業した年はロックの名盤が数多く生まれた伝説の年。私もその時代に生きていたかったな。叶いようのない願いを乗せて、同年の名盤“アビーロード”をリクエスト。時代は戻せないけれど、その時代の人々と同じレコードの音が聴ける幸せを噛み締める。

ロングTシャツ¥12100、パンツ¥20900/ともにTHE SHINZONE(シンゾーン ルミネ 新宿)、ジャケット¥64900/MACPHEE(トゥモローランド)、バッグ¥58300/IL BISONTE(ルック D.C事業部)、ブーツ¥73700/ATP ATELIER(スティーブン アラン トーキョー)、ニット帽¥4290/F.McGREGOR(フェリシティ 原宿)

 

B.Y.G

音楽を愛する人々の憩いの場として、1969年から愛され続けるロック喫茶。年季の入った壁を埋め尽くすアーティストたちのサインが、その歴史の深さを物語る。卓上のシートから聴きたい曲のリクエストも可能。趣ある螺旋階段を下った先は、渋谷で最も古いライブハウス。名だたるミュージシャンがライブを行なった場所として知られ、今も変わらずライブ開催日には多くのロックファンが集う。

程よく芯の残ったスパゲティにケチャップソースがたっぷり絡み、大きめにカットされた野菜とベーコンの食感も楽しい「ナポリタン(¥900)」。創業からの定番メニューで、ライブ前の腹ごしらえとしても人気。ロックミュージックをBGMに、口の周りを真っ赤にしながら頬張りたい。すっぱいケチャップの香りには、ビターな「コーヒー(¥550)」が好相性。

東京都渋谷区道玄坂2-19-14
03-3461-8574
11:30~20:00 無休

 

〈カド〉のあの子。

好きな場所は、おばあちゃんの家、商店街の骨董屋さん、それから〈カド〉。昔からなぜか古いものに無性に惹かれる私にとって、ここはオアシス。マスターの昔話は、テレビやスマホを見ているよりずっとずっと面白い。願わくは、おばあちゃんの青春時代への時空の旅を。マスターがいう“喫茶店で待ち合わせ”ってやつをしてみたいの。

セーター¥26400/DESIGNERS,REMIX(スティーブン アラン トーキョー)、ワンピース¥64900、バッグ[ショルダーストラップ付き]¥75900/ともにPolo Ralph Lauren(ラルフローレン)、メガネ¥30800/BuddyOptica(l ハウス/バディーオプティカル)、時計¥20900 /Jouete(ジュエッテ)、シューズ¥5170/O’KYTI(シップス エニィ 渋谷店)、タイツ、ソックス、ピアス/ともにスタイリスト私物

 

カド

かつて料亭街として栄えた向島。1958年、多くの芸者たちで賑わった当時からこの地に佇む《カド》に足を踏み入ると、そこは昭和モダンな異世界。シャンデリアが照らす店内は天井まで西洋画で飾られ、昭和からそのまま持ってきたようなラジオ、ミシンなどの古いものたちが現役で活躍中。毎年変えるという壁の絵画は、こんな世の中だからこそと気持ちが華やぐものばかり。そんなマスターの心意気も魅力の1つ。

「活性生ジュース(¥600)」は、蜂蜜、アロエ、セロリ、パセリ、アスパラ、レモン、リンゴ、をバランスよくブレンド。今でこそ身近な生ジュースだが、60年以上前から愛され続ける生ジュースは東京で唯一。カリッと焼かれた自家製パンにジューシーなナスのソテーを挟んだ「くるみブルーベリーパンのなすモッツァレラサンド(¥400)」は、レーズンの甘みが好アクセント。

東京都墨田区向島2-9-9
03-3622-8247
11:00~19:30 月休

 

 

photograph_Serizawa Shinji
styling_Takaue Mina
hair&make-up_Murakami Aya
model_Hana
edit_Shibata Moe〈KIP Inc.〉

 

FUDGE vol.219 2021年10月号より

 

 

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