CULTURE & LIFE
女優、そして、〈創作あーちすと〉として、映画、音楽、アートなど様々な分野で活躍するのん。最新作『私をくいとめて』で彼女が演じるみつ子は、長い間、彼氏がいない31歳の「おひとりさま」OL。一方、みつ子の親友でイタリアで暮らしている皐月を演じたのが橋本愛。久しぶりの共演となった二人は、正反対の性格だけどお互いにリスペクトする仲。再会した時は目が合わせられないくらい照れ臭かったという二人が、すっかり打ち解けた雰囲気のなかで、映画のことやおひとりさまライフについて話してくれた。
ーのんさんから見て、みつ子はどんな女の子でした?
のん:まず、なんでこの人はAが必要なんだろうって思いましたね。脳内に相談役のAを作り出したところが興味深かったですね。あと、おひとりさまでいたところに多田くんと出会ってしまって、ジタバタするところも面白かったです。結構、気持ちが揺れ動くのに、人にはそういう部分を見せようとしない。そういうところは私にもあって共感できるところでした。
ーみつ子と通じるところがあったんですね。橋本さんは皐月を演じてみていかがでした?
橋本:皐月の背景って映画の中ではほとんど語られていないので、今回は自分で皐月の人生をいちから構築して撮影に臨んだんです。皐月とみつ子の間にはわだかまりがあって、それを解消していくんですけど、2人の関係には30歳前後の女性特有の焦りもあるし、もっと見ていくと誰もが抱えうる普遍的な感情があったりもして、その複合的なところが面白かったですね。
ーアラサーのラヴストーリーという側面も本作にはありますが、30歳という年齢は意識します?
橋本:私は全然意識していないです(笑)。まだ24歳だし、結婚や出産を人生の目標にはしてないので。でも、30歳を直前にしたら自分にも出てくるのかな……って、今は観察している時期ですね。
のん:私もあんまり意識はしてないですけど、いろいろ妄想したりはしますね。結婚するんだったら、どんな風に出会うんだろうとか。最近、仲が良い従姉妹が次々と結婚して、子供が生まれたのを見て「すごい!」って思っていたんです。子供達がめちゃくちゃ可愛くて。これまでは、子供たちって張り合う存在だったんですよ。生意気だな!って(笑)。それが「可愛いな」って思えるようになって。母性を感じちゃったんですよね。
ーそういう風に周りから影響されるところも大きいんでしょうね。今回、共演は久しぶりでしたがいかがでした?
のん:楽しかったです! でも、最初は少し恥ずかしくて……。
ーちょっと照れてしまった?
のん:「トイレ行ってきます」って言って帰ろうかなと思ったくらい(笑)。それくらい心臓バクバクしてましたね。撮影の前の日とかは「明日、愛ちゃんとだ!」ってワクワクしてたんですけど、いざ会ってみると、(目をそらして小さな声で)「あ、お願いします」みたいな。
橋本:ねっ(笑)。
のん:初恋みたいな感じ(笑)。
ーそれって、久しぶりに会う友達にはそういう反応になるんですか? それとも橋本さんだから?
のん:橋本さんだからかもしれないですね。「もう、息できません!」みたいになったこと、これまでにないですから。もう、緊張しちゃって。
橋本:私も同じで目も合わせられなかったですね。頑張って見ようとするんだけど、すぐ逸らしちゃうみたいな(笑)。照れる、というのともちょっと違うんですけど、新しい感情が生まれて、私もそんな風になったのは初めてでした。やっぱり、私にとってすごく特別な人なので。
ー特別というのは、どういうところが?
橋本:創作のための会社を立ち上げたり、展覧会をしたり、曲を書いたり。そのエネルギーがすごいじゃないですか。私にとって特別というだけじゃなく、世界においても特別な人だと思ってます。
のん:めちゃめちゃ嬉しいです。べた褒め(笑)。
橋本:べた褒めしてしまいました(笑)。
のん:私こそ、愛ちゃんは憧れの存在というか。自分にはない魅力をたくさん持っていて、自分と真逆だから惹かれるんですよね。存在感だけで想像を掻き立てられる。一緒に演技をした時に、その都度、生まれるものがあるんです。
ー今回の共演シーンでは、話をしているうちにみつ子と皐月の気持ちが高ぶるシーンが印象的でした。2人の気持ちが揺れ動いているのが自然に伝わってきて。
のん:みつ子はめちゃくちゃ皐月のことが好きなので、あのシーンは良くしたいと思っていました。きっとみつ子は皐月がイタリアに行ってしまったから、Aが生まれたんじゃないかなって思うんですよね。演技している時、皐月が驚いた顔をしてみつ子を見てて。その表情をみた時に、みつ子は皐月にこんな表情をさせているんだってショックを受けたりしていたんです。
橋本:気持ちが高ぶった理由は映画の中で説明されているんですけど、私はもっと個人的なものじゃないと難しいと思って、自分なりに理由を考えてみたんです。そしたら、自分自身の人生で解決しなきゃいけないことが見えてきた。ある人との関係性を改善しなきゃいけないなって。そのことに気づいたことで自分の人生が変わったんです。皐月からもらったプレゼントでしたね。
ー映画とシンクロするようなドラマがあったんですね。 この物語はおひとりさまとして生きることの自由さ、寂しさについても描かれていましたが、お二人はおひとりさまは楽しめるタイプですか?
橋本:私は昔から何でも1人でやるし、1人でいろんなところに出掛けるんです。ものすごく気分屋なので、映画を観ようと思って街に出ても気分が変わって別のところに行っちゃう(笑)。だから1人の方が楽なんですよね。
ー子供の頃からマイペース?
橋本:ずっとそうですね。周りから変な目で見られても全然気にならないんです。他人にどう思われても自分の人生には影響しない。私は他人のことを見ていないから、他人も私のことなんて気にしてない、と思うことで自分を生きやすくしているんだと思います。ただ、他人の気持ちがわからないという欠陥が自分にはあって。昔はそれでいろいろ迷惑をかけたんですけど、今では少しはバランスが良くなったんじゃないかって思ってます(笑)。
ー少し大人になった(笑)。のんさんはどうですか?
のん:おひとりさま、良いですよね。みつ子は人と接するのが怖いというか、自分が言ったことが人にどんな影響を与えるんだろうって思いつめて疲れてしまう。そういう人にとって、おひとりさまでいるのは楽だし、幸せ何だろうなって思いますね。私もそういうところがあるからわかる気がして。
ー橋本さんとは逆に周りを意識してしまう?
のん:そうなんです。自意識過剰な方なので、周りにこう思われたいっていう意識は常に働いています。だから、Aがいるおひとりさまなら完璧だなって思いますね。相棒みたいなAが欲しい!(笑)。
model_NON,Hashimoto Ai
photograph_Uehara Tomoya
styling_Machino Izumi(NON),Shimizu Naomi (Hashimoto Ai)
hair&make-up_Sugano Shie (NON),Hirose Rumi(Hashimoto Ai)
interview & text_Murao Yasuo
edit_Takehara Shizuka
映画『私をくいとめて』
12月18日(金)全国ロードショー
原作:綿矢りさ「私をくいとめて」(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
監督・脚本:大九明子 音楽:髙野正樹
劇中歌 大滝詠一「君は天然色」(THE NIAGARA ENTERPRISES.)
出演:のん 林遣都 臼田あさ美 若林拓也 前野朋哉 山田真歩 片桐はいり/橋本愛
製作幹事・配給:日活
制作プロダクション:RIKIプロジェクト
企画協力:猿と蛇
©2020『私をくいとめて』製作委員会
kuitomete.jp
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