CULTURE & LIFE
20 世紀を代表する建築家の1 人、アルヴァ・アアルト。彼が残してきた作品はフィンランド人の誇りであり、現在も生活に馴染んでいるものが多いって知ってた?フィンランドに訪れたらぜひ、アアルトのアートにも触れてみて!
Akateeminen Kirjakauppa
1893 年創業という古い歴史を持つフィンランド最大の書店。1969 年にアアルトによって設計された現在の建物は、独特の曲線をえがく入り口のドアノブからはじまり、白い大理石を基調とした品のある内装に目を奪われる。とくに1 階から天井まで吹き抜ける開放的なつくりや、天窓から注ぐやさしい光は心地がいいムードを演出。これは冬の日照時間が少ないフィンランドで、快適な空間をつくるための工夫なんだって。
〈カフェ・アアルト〉は、1986 年にアカデミア書店の2階にオープン。現オーナーを含め38 年間、家族で経営をしている。レザーチェア、ペンダントライトをはじめ、さまざまな什器からアアルトの意匠を感じられる。
📍Akateeminen Kirjakauppa
place : Keskuskatu 1, Pohjoisesplanadi 39, 00100 Helsinki,
tel : +358 46 876 1240
web :https://www.akateeminen.com/
open :9:00 ~ 20:00(月〜金)、9:00 ~ 19:00(土)、11:00 ~ 18:00(日)年中無休
Artek 2nd Cycle
《アルテック》は、1935 年にアルヴァ・アアルト、アイノ・アアルト、マイレ・グリクセン、ニルス= グスタフ・ハールの4 人の若者によりヘルシンキで設立されたインテリアブランド。2006 年よりセカンド サイクルという、フリーマーケットや古い工場、学校、造船所などから、使い古されている製品を買い取り、再販するという試みをスタート。セカンドハンドのお手頃なものというより、珍しくて今はもう買えないものや年月を重ねることで新たな価値をもったものなど、《アルテック》のお宝が眠っている場所です。
《アルテック》のアイコンともいえる「スツール60」。1933 年に生まれたモデルだけど、今は30 〜60 年代の品物がヴィンテージとされ価値が上がっているそう。価格は 約500 〜1500 €。写真にある色ものは比較的にリーズナブル。
《イッタラ》の有名な花瓶も実はアルヴァ・アアルトが手掛けたシリーズ。湖の形や白樺の根本付近の断面のフォルム、モチーフとなったものは諸説あり。もともとはヘルシンキにある高級レストラン、〈サヴォイ レストラン〉のためにデザインされたものという噂も!
📍Artek 2nd Cycle
place : Pieni Roobertinkatu 4, 00130 Helsinki,
tel : +358 50 595 9262
web :https://www.artek.fi/2ndcycle/en/
open :11:00 〜18:00(木金)月火水土日定休
PaimioSanatorium
もともと結核患者の療養所であった〈パイミオ サナトリウム〉は、いうなれば建築家としてのアルヴァ・アアルトが始まった場所。当時まだ無名だったアアルトの設計事務所が、デザインコンペに勝利し設計を担うことに。建物のみならず施設で使われる家具などもデザイン。現在は《アルテック》で扱っているスツールやテーブルなどの製品も起源は同施設だったのだ!患者の心と身体を癒すことに特化した建築や家具デザインは、機能美を放ち、多くの人に評価され、アアルト自身の名とフィンランドのモダニズム建築が世界的に有名となるきっかけに。今はもう病院としては利用されていないけれど、ガイド付きのツアーを開催していたり、若いアーティストを応援するためにアトリエとして貸し出していたり、宿泊施設として運営していたりと、さまざまな面で活躍中。
明るい気持ちになるような色合いで、登りやすいように段差は低く、奥行きは深く設計されている。
窓際に沿って椅子がずらりと並ぶエントランス。
エントランスにある受付。独特なフォルムは、《イッタラ》のアルヴァ・アアルトコレクションの花瓶と同じ形。
食堂は、天井が高く大きな窓から自然光が降りそそぐ。椅子は当時のものをそのまま採用。今もツアーや宿泊客が利用できる食堂になっている。
当時、施設で働く看護師の寮として使われていた棟が、現在は宿泊施設に。フィンランド生まれのインテリアブランド《ハコラ》とコラボレーションしたポップな内観が素敵。棟のまわりは見渡す限り松の木の森。澄んだ空気が気持ちいい。(1 泊95 €〜)
📍PaimioSanatorium
place : Alvar Aallon tie 275,21540 Paimio,
tel : +358 236100302
web :https://paimiosanatorium.com
open :10:00 〜18:00(火〜日)月曜定休
photograph_Furuya Akihiro,Taniguchi Daisuke
coordination_Arai Yumi,Mori Akiko
edit_Chikazawa Yui, Suzuki Mikiya〈KIP Inc.〉
design_Yamamoto Katsura
FUDGE vol.254 2024年9月号より
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