CULTURE & LIFE
きっと「未来の遺跡」に。天空と光の中で呼吸を整えられる自然遺産、江之浦測候所。
写真を通してコンセプチュアルアートの可能性を広げた、現代美術界を牽引する写真家であり、現代美術作家の杉本博司氏。小田原にとても美しい「江之浦測候所」を構想10年、建設10年かけ作り上げたと聞き、ずっと気になっていたので実際に行ってみることに。
場所は神奈川県小田原市のJR東海道線根府川駅からシャトルバスで約10分の山の上にあります。根府川駅は、東海道線の駅とは思えないほど小さく無人駅。改札から見下ろす海がとても美しく、関東の駅百選にも選ばれています。
根府川駅改札から見たホーム。海が一望できる抜け感がすごい。
測候所に着くと、すぐにただの測候所ではない空気を感じ、ピリッと気が引き締まります。
測候所の敷地内は、ギャラリー棟、石舞台、光学硝子舞台、茶室、庭園、門、待合棟などで構成されていて、各建築は平安、室町、大正など各時代における日本の伝統的な建築様式・工法によってつくられ、日本建築史を通覧するものとして機能するというのです。
まっすぐ続く石の道の先には海。ギャラリーの先端部12メートルは海に向かって持ち出し工法が採用され、展望スペースとなっています。天気のいい日はいつまでも眺めていられるほど海と空が美しいです。
ひとつひとつに時代背景があり、杉本氏のこだわりが伝わってきます。そして、この敷地や空間を大きく占めていて特に目につくのが「石」の存在。昔から石には神々が宿ると言われていますが、今まであまり気にしたことがない素材なだけに、ここまでさまざまな色や形に変化、加工することができるという新たな表情に気付き驚きました。
こちらは冬至光遥拝隧道。途中には採光のための井戸が設置されています。雨天時には雨粒の一滴一滴が井戸に降り注ぐのを観察できるそう。冬至は1年の終点であり起点。この特別な1日は巡り来る死と再生の節目として世界各地の古代文明で祀られてきたといいます。冬至の朝に昇る陽の光は70mの隧道を貫き、対面して置かれている巨石を照らし出すのです。
こちらは光学硝子舞台と古代ローマ円形劇場写し観客席。冬至の朝、硝子の小口には陽光が差し込み輝くのだそう。
耐用年数1万年という途方もない時間軸を想定したこの測候所は、現代文明が滅びた後も、古代遺跡として残ることを想定してつくられているといいます。振り返ってみても、あの場所を一言で説明するのは難しいのですが、美術館のようで新建築のようで、ギャラリーのようでもあるし、ランドスケープアーキテクチャーとも言えそうです。もしくは「未来の遺跡」かもしれません。
測候所と言いながらも気象を測候するのではなく、古代からのエネルギーをもらいつつ「自然と天空と自分との距離を測る場所」なのではないかと思いました。気付けば石に座り、呼吸に集中する自分がいました。
こちらは完全予約制なので公式ホームページよりお申し込みください。
古墳時代から近世までの考古遺物が、アートの起源を語ってくれます。
創業嘉永3年!食べ比べが楽しい「加藤兵太郎商店」の進化し続けるスーベニアお味噌。
そして測候所の帰りには、創業嘉永3年(1850年)、神奈川県小田原市でこだわりのお味噌「いいちみそ」を作っている「加藤兵太郎商店」に。「いいちみそ」は厳選した国産原料と箱根山系の地下水で仕込み、90年以上も大事に使い続けている木桶で熟成させています。この昔ながらの製法が特徴であるお味噌なのです。長年使用した木桶には菌が住み着き、その木桶で熟成させることで、「加藤兵太郎商店」特有の味とコクを醸し出すからです。
味噌というものは「季節」「土地」「水」「原料」「道具」、そして「職人の想い」が仕上がりを左右させると言います。昔からその土地ごとに作られるお味噌の味は千差万別で、地方色の強い調味料でもあるのです。しかしながら、時代の流れで個性ある小さな味噌屋は少なくなっていき、残念ながら魅力であった多様性は影を潜めています。そんな時代だからこそ、「加藤兵太郎商店」では「いいちみそ」の味を絶やさないことに責任を持ち、魅力あるお味噌を提供する事が大切だと考えているのだそう。
「加藤兵太郎商店」では旨み・香りの強いお味噌を造るため、大豆は煮るのではなく蒸しています。そして、ほとんどの工程を手作業で行っているため、非常に時間をかけていて、大量生産も不可能なのだそう。しかし手作業によってお味噌と会話をしながら味噌造りができることにより、各工程において手触りや香り、色、味など、五感を駆使し、さらに過去の膨大な記録や経験と照らし合わせながら、全てのお味噌を全力で作っているのです。
今回お土産で購入したのは、右から「いいちみそ」の 神奈川ブレンド、糀つぶ、白みそ、合わせ、の4種類。老舗ということで、渋いパッケージかと思いきや、とてもお洒落で可愛いのです!神奈川ブレンドなんて、まるで名店の珈琲豆のよう!
この神奈川ブレンドは神奈川県産の原料にこだわって作られた一風変わったお味噌。神奈川県で大豆が作られているのかと驚く方もいるかもしれませんが、とても希少な「幻の大豆」とまで呼ばれる「津久井在来大豆」という品種を使用。この大豆は大粒で非常に甘く、最も品質の良い大豆のうちの1つなのです。
いいちみそ「糀つぶ」は麹歩合10割で甘いお味噌。大豆と麹の粒が残っているので、素材の味がそのまま味わえます。豚汁などの具だくさんのものにはこのお味噌が良く合います。粒味噌ですので、汁物にした時は飲み干した際に大豆の粒が残ります。
いいちみそ「白みそ」は「加藤兵太郎商店」の代表的ともいえるお味噌です。「加藤兵太郎商店」で初めてお味噌を買われるお客様にまずオススメしているのがこのお味噌なのだそう。加藤兵太郎商店で最も古くから造られている昔ながらのお味噌です。 さっぱりとくせが無く、食べやすいのが特徴で、普段使いに最適です。
いいちみそ「合わせ」は「白みそ」と「赤みそ」の合わせ味噌です。食べやすい「白みそ」に「赤みそ」のコクが足された良いとこ取りのお味噌に仕上がっています。漉してあるため、まろやかで濃厚。溶けやすいので毎日のお料理に使いやすくなっています。
小田原に行ったら愛情いっぱいのお味噌を、ぜひお土産に。
素敵なお土産教えてください。
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