CULTURE & LIFE
友人が主催するカンヌ映画祭の「JAPAN NIGHT」に招待され、南仏に向かいました。
ニースに着くと赤い絨毯が敷かれていてたくさんのカメラマンが待ち構え、俳優さん、女優さんを撮影されていて、空港からすでに映画祭の雰囲気!
「JAPAN NIGHT」は日本映画と文化を世界に発信する国際交流イベントで、カンヌのホテル・マルティネスで開催されました。ホテルの正面玄関には華やかなドレスを着たスターを一目見ようと、人だかりが。
19時から始まったジャパンナイトは、女優でタレントのMEGUMIさんがお着物姿で日本語と英語でウェルカムスピーチ、乾杯の音頭をとられました。
日本映画の紹介とプレゼンテーション、日本舞踊のパフォーマンスや着物スタイリストのDJユリアさんのパフィーマンスで1400人のイベントは夜中まで大盛り上がり。
日本酒ブランド、ワイン、お食事も美味しく、たくさんの出会いがありました。
2日目はカンヌから北にタクシーで30分ほどの香水の村、グラースにやってきました。
2018年、グラースは香水に関する技術と文化がユネスコ無形文化遺産に登録。
散歩していると花の香りが漂ってきます。
実は以前レンタカーでこの村に来た時は、見たことのない坂道が怖すぎて、あまり滞在できなかった場所なのです。
オリジナルの調香体験ができる1747年創業の「ガリマール社」のアトリエへ伺いました。
こちらでは自分が好きな香りだけで世界でひとつだけの香水が作れるという貴重な体験ができます。香りの構成を理解するために、調香師さんが説明してくださいました。
香水は通常3つのノートで構成されます。
トップノート(Top note):最初に香る、軽くて揮発性の高い香り(例:シトラス、ミントなどフルーティな香り)、香りは15分ほど持続する
ミドルノート(Heart note):香りの中心。香水の個性を決める(例:ラベンダー、ローズなど、フローラルでフェミニンな香り)、香りは6時間持続する
ベースノート(Base note):持続性があり、深みを与える(例:ムスク、バニラ、ウッディ系)
この3つのノートを組み合わせることで、肌につけた時から香りが変化していきます。
126種類もの精油の瓶(ベースノート、ミドルノート、トップノートそれぞれ42種類)と細長いビーカーが用意されていました。小学校の科学の実験みたいです。
そして香料をブレンドしていきます。ベースノート(50ml) → ミドルノート(25ml)→ トップノート(25ml)の順に加えます。
それぞれ好きな香りを5種類程度選び、調香師さん(フランスではネ “Nez”と呼ばれる)が配合のパーセンテージをそれぞれ紙に書いてくれるので、自分で調香していきます。
この時期の“5月のバラ”、“5月のすずらん”という精油もありました。20数年前、初めてフランスに来た5月1日、エズ村のシャトー・エザのスイートルームですずらんをいただいたことを思い出し、素敵な思い出の香りも調香しました。
最後に自分の香水に命名します。私は「Mélodies」と名付けました。
よく混ぜた後好きな香水瓶を買い、調香した香水を入れてもらいます。帰宅したら3週間ほど使わないで熟成させるそうです。今回は突如フランスに来れなくなった友人のために、友人の好きな香りも4種類調香してお土産に。
香りの組み合わせにはやはり合うもの、合わないものがあるそうで、調香師の方が丁寧に教えてくれます。本当にとても良い思い出になったのでおすすめです!
そしてパリで香水のお店を経営している友人に薦められていた「フラゴナール」の美術館に向かいました。このブランドはロココ時代の画家、グラース出身のジャン・オノレ・ド・フラゴナールに由来しています。
私が大好きな画家で、20年前に2ヶ月かかって模写した絵はこちら。彼の作品は恋愛、遊び、優雅さをテーマにしていて香水ブランドの感性豊かな世界観にピッタリ。
現在のフラゴナールのオーナーのお祖父様の代に収集されたという香水瓶や香水ラベル、箱などのコレクションが展示されています!
パリにもフラゴナール美術館がオペラ・ガルニエ近くにあります。以前友人が働いていて伺った際には、調香師になることの難しさ、香水の奥深さに驚きました。
こちらの美術館でも教えてもらった、香水をたくさん試して香りが混ざってわからなくなった時の対処法。香水を買うときなどに役立ちそうです。
①コーヒー豆を嗅ぐ:香りの感覚を中立に戻してくれる
②自分の腕の香りを嗅ぐ:自分自身の普段の自然な匂いを嗅ぐことで感覚をリセットできる
その後グラースの村をお散歩しているとお店の窓にカリグラフィーを書いている方を発見。手の動きに見入ってしまっていると、ムッシューがこちらに声をかけてくださいました。
笑顔でアトリエに案内してくださり、カリグラフィーについてお話していたら、そのムッシューは私たちのお店メロディ・グラフィックのお客様だということが判明!「パリに行った時、あなたのお店を本当に気に入ったよ」と言ってくださり、またお店で会いましょうとアトリエを出ました。
こちらのアトリエを偶然に発見できたこと、素敵なカリグラファーとの出会いが今回の旅行で一番嬉しかったことです。
3日目のニース。
マセナ公園近くの5つ星ホテル、アナンタラ・プラザの屋上テラスで地中海を見渡しながらのブランチ。美味しいお寿司やお刺身もあり、小ぶりのデザートも5種類ほどいただき大満足でした。太陽がふり注ぐ中DJが音楽を回し、たくさんのグループがそれぞれヴァカンスを楽しんでいました。
そしてどうしても行きたかった場所、ニースの旧市街にある17世紀のバロック様式の「ラスカリス宮殿」!ハープのコレクションだけが目当てでしたが、18世紀のフレスコ画、ロココ様式の豪華なお部屋、500点にも及ぶ古楽器のコレクションは素晴らしかったです。太陽王と呼ばれた14世のギターや、20センチ程のヴァイオリン、ハープの共鳴板、チェンバロの装飾に感動しました。
2泊3日と短い滞在だったのに、とても充実した濃い時間を過ごせました。
また来年5月に、カンヌとグラースに行く約束を友人と交わしています。楽しみです!
text:竹内 仁海
パリ在住13年目。
イタリア人の夫とパリ4区にあるカリグラフィー専門店 “メロディ グラフィック”を経営する傍らカリグラファーとして活躍。結婚式やパーティ、パリコレの招待状や宛名書き、メッセージの代筆、ロゴ制作、フランス映画・コマーシャルの演出アイテムとしてカリグラフィーを担当。
パリから“暮らしの美学”をお届けします。
Instagram:@melodiesgraphiques
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