CULTURE & LIFE
デザイナーならではの視点から、旅先の情報とともにその土地のお土産、雑貨、食べ物などをご紹介します。
お土産のお菓子を選ぶ時に「美味しい」ことはもちろんですが、さらに「素敵なパッケージ」であることを気にされる方も多いのではないでしょうか。つい取っておきたくなる箱やパッケージが日本のお土産にはたくさんあります。今回は奈良から、思わず誰かに贈りたくなる「レトロかわいい」パッケージの和菓子をご紹介します。
奈良県大和郡山市は金魚で有名な街。この街に老舗和菓子店「本家菊屋(ほんけきくや)」の本店があります。豊臣秀吉や千利休の時代、天正13年(1585年)創業。400年を越える歴史を持つ奈良県最古の和菓子屋です。代表作である「鹿もなか」と「菊之寿(きくのことぶき)」のパッケージは色鮮やかなグリーンや赤の色使いが印象的で「レトロかわいい」デザイン。和菓子のパッケージデザインといえばシンプルで渋いものが多いのですが「鹿もなか」と「菊之寿」は鹿や鳥、花の模様が描かれています。これはシルクロードから運ばれた正倉院宝物の模様がモチーフとなっているそう。
本店に到着すると、まずはそのたたずまいに驚きます。老舗の風格と品格が遠目からも感じられ、400年前にタイムスリップしたかのような気分に。天井には長年使用されてきたお菓子の木型がぎっしりと敷き詰められています。建物だけでなく、年季の入った家具や、大切に使い続けている昔ながらの小物などからも「本家菊屋」が歩んできた歴史の重みを感じることができます。その昔、豊臣秀吉をもてなすためのお茶会に献上した餅菓子が絶賛されたことがきっかけで、地元や奈良県の人々からずっと愛され続け「本家菊屋」の家系は26代も続いているのだそう。
オススメ土産の「鹿もなか」は、あっさりとした上品な甘さに練り上げたこし餡がたっぷり詰まっている昔ながらの最中。皮はサックリとした食感で餅米がふわっと香ばしく香り、餡は北海道十勝産や丹波産の厳選した小豆を使用し、滑らかな餡が口いっぱいに広がります。食べやすく品のある厚さもオススメのポイントです。
「菊之寿」は、50年以上販売し続けている代表的な商品とのこと。練乳を含ませた洋風生地をわざと割れやすく作り、餡には上生菓子に使われる白小豆に希少な福白金時豆をブレンド。しっとりとした食感が楽しめるケーキのような「菊之寿」は、上品で贅沢な逸品。緑茶はもちろん、コーヒーとの相性も抜群なのです。
大きな時代の変化や災害など様々な苦難があったであろう400年を超える長い歴史の中で、一途にお菓子を作り続けることは容易ではなかったと思います。素材にこだわり、素朴だけれど美味しさと品格を保ち続けている「本家菊屋」の魅力はこれからも変わらず続いていくのでしょう。奈良が好き、昔ながらの「レトロかわいい」デザインが好き、という方にぜひオススメしたいお土産です。
その「本家菊屋」の本店から少し南下した場所、奈良県天理市にあるJR・近鉄天理駅の駅前に「コフフン」という広場があります。コフフンはまちの元気をつなぐ、にぎわいづくりの拠点です。広場は天理市の「歴史」「地理」「文化」という3つの要素を凝縮したデザインとするため、市内に約1600基も点在しながら日常生活に美しく溶け込んでいる「古墳」をアイコンとしているそう。古墳を想起する野外ステージや大型遊具、カフェや観光案内などの機能を備え、イベントの開催や観光・ものづくり・農業情報の発信、近隣住民の憩いの場として活用され、周辺地域のにぎわいの循環が生まれています。
地元の食材を使用した日本食や総菜パンを提供する「ネオ和食」をコンセプトにしたカフェレストランもあります。「コフン」の中で天窓から降りそそぐ太陽を感じながら、奈良でとれた新鮮な食材を使った料理を楽しめます。
雑誌などにも多く取り上げられています。
広場にはすべり台やブランコ、トランポリンなど子ども向けの遊具や、大人のための健康遊具がちりばめられています。木の板を傾斜36度の大きなすりばち状に張りめぐらせた壁を底まですべり降りてぐるぐる回って登れるなど、今まで見たことのない遊具もあります。
コフフンは市民はもちろん、観光などで訪れた人々にも楽しんでもらえる広場になっています。この広場をどう使うかは使う人次第。型にはまることなく年齢問わず自由に活用できる、そんな訪れる人々に寄り添った考え方、そしてたくさんの可能性がこの広場にはあるなあと考えさせられました。
【過去の「旅するデザイナー」がおすすめする旅先でのお土産たち!はこちら】
text:rumi
◆こだわり女子のモノコトWebマガジン「PeLuLu」より
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