CULTURE & LIFE
今も木造の古いビクトリア様式家々が並ぶ閑静な住宅地、ケンジントン。そんなケンジントンに気になるカフェがオープン!ここには地元の人たちに愛されているカフェが持つゆるやかな空気が流れていて、それがなんとも心地よいのです。
今回はブルックリンの豆知識から。
ブルックリンはニューヨーク市(5つの区に分かれていて、マンハッタン、クイーンズ、ブロンクス、スタッテンアイランド、そしてブルックリン)の中で最も人口が多く、マンハッタンが約170万人なのに対して、ブルックリンには約260万人の人が暮らしています。もしブルックリンが独立した市なら、ロサンゼルスとシカゴに次いで3番目に人口の多い市になるそう。面積は大阪よりやや大きくて、東京の4割ほどの大きさです。どうでしょう、イメージできますか?
また、ブルックリンはニューヨーク市の中でも移民が多いことでも知られていて、中でもケンジントンと呼ばれるエリアには、メキシコ、パキスタン、ポーランド、ウクライナ、ロシアなど、15カ国以上の人々が暮らし、20以上の言語が話されているといいます。
ケンジントンは、今も木造の古いビクトリア様式家々が並ぶ閑静な住宅地。もともとは労働階級の人々が多く暮らしていたエリアで、今もメインストリートには下町の雰囲気が漂います。そんな場所に、ドイツ人パティシエのビヨンさんがビジネスパートナーと共に「ダ・パイオニア(DER PIONEER)」というカフェをオープンし、住宅地の中にできたこの店は、ローリングストーン誌などにも取材されて話題になっています。
「EUROPEAN PASTERIES, HANDCRAFTED IN BROOKLYN」
(ヨーロピアンテイストのハンドクラフトのペイストリーをブルックリンで)!
ダ・パイオニアは、朝7時からオープンします。出勤前においしいコーヒーとペイストリーを求めて入ってくる人、パソコン持参で仕事をしに来る人、ランチや、午後のティータイムに、ビヨンさんの美味しいケーキを楽しみにやってくる人、と閉店の6時まで、人が切れることがありません。といっても、ガイドブックに載っているマンハッタンの人気店のようなワサワサした感じ(カッコイイけれど、なんだか落ち着かない)ではなく、ここには地元の人たちに愛されているカフェが持つゆるやかな空気が流れていて、それがなんとも心地よいのです。
ペイストリーのカウンター。
窓から見えるのは、街路樹が続く気持ちのいい風景。このカフェのシグニチャーアイテムのカルネと店のロゴが窓ガラスに描かれています。
ビヨンさんが作るケーキは宝石のよう。アメリカの(よく言えば)おおらかで大きなパイやケーキとは全然違う、職人技を感じる繊細なケーキです。
なんとこれはホットケーキ。一口頬張ると、口の中で溶けてしまいそうな、やわらかな舌触りと繊細な甘さに、思わず吐息がもれました。何もつけなくても美味しい!
食事のメニューも只者ではありません。人気のホットドッグは、高級レストランの風格があります。素揚げしたオニオンのトッピングとピクルスとソーセージの組み合わせが◎!
この日、待ち合わせたのは、料理研究家であり、このカフェのオーナー・ビヨン バッチャーさんの妻のタマさん。3人のお母さんでもあり、ご自身も、フリーランスでケータリングや、ファーマーズマーケット・ツアー、ローカルの食材を取り入れた、心と身体の健康を意識したイベントやお教室をされています。ダ・パイオニアにはタマさんが毎週グリーンマーケットの季節の花を飾っているそう。
タマさんは、2002年に単身ニューヨークにやってきました。日本では調理師学校を出てシェフとして働いたのち、そのスキルと偶然とは思えない縁で、当時ニューヨークの中でも指折りの有名レストラン「ブーレ」で働き、その後「デル・ポスト」のスー・シェフを務めたという生粋の料理人です。わたしは「ファーマーズマーケット・ツアー」や「お味噌のクラス」を通してそのお名前を知りましたが、その後たくさんの知識と経験、出会いという宝物(そしてそれは実力でもある)を持った女性であることを知りました。
「自分が本当にやりたいと思うことを必死でやろうとしていると、自然とサポートが集まってくるものだ」と、タマさんが話しているインタビュー記事を読んだことがあります。「ダ・パイオニア」も、多くの人たちのサポートがあってスタートできたと聞きました。
タマさんはもちろん、パティシエの仕事をこよなく愛するビヨンさんの良き理解者であり、強力なサポーターでもあるのです。
DER PIONEER
737 Church Ave
Brooklyn, NY 11218
7am – 6pm 火〜日(月休)
タマ バッチャー Tama Boettcher
Tama‘s Kitchen NYC https://ameblo.jp/tama-house/
記事上野 朝子
◆こだわり女子のモノコトWebマガジン「PeLuLu」より
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