CULTURE & LIFE
クリエイティブチームDo it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。
第28回目のテーマは「私的定番のほろ苦い恋愛映画」。「わかるー!」と思わず共感してしまうシーン盛りだくさんのほろ苦恋愛映画3作品をご紹介します。
Do it Theaterのやべさやです。この連載はDo it Theater 女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。今回は「私的定番のほろ苦い恋愛映画」ということで、『ルビー・スパークス』『南瓜とマヨネーズ』『あと1センチの恋』の3作品をセレクトいたしました。
恋愛映画はかなり「好き・苦手」がハッキリ出てしまう私ですが、この3作品は何度も繰り返し観たくなるくらい好きな私的定番恋愛映画です。また、恋愛はさまざまな“ほろ苦さ”があるように、この3作品でもいろんな関係や恋愛の形が描かれています。自分の思い通りにいかない、ダメだとわかっていても惹かれていってしまう、距離が近すぎるからこそ一歩が踏み出せない…といったように、様々な恋愛のほろ苦さが詰まっています。今回ご紹介する3作品を観て、たまには過去の恋愛を振り返り、思い出してみるのはいかがでしょうか。
Index
恋愛はいつも自分の思い通りには進まない。
Illustration_MARU
title:『ルビー・スパークス』
【story】
若くして天才作家としてデビューしたカルヴィンは、その後、ヒット小説を書けずにスランプに陥っていた。大好きな人のことを書くといいと言われたカルヴィンは、夢に出てきた理想の彼女“ルビー・スパークス”の物語を書き始める。ある朝、カルヴィンの前にルビーが現われ…。
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夢の中で見た女性のことを小説に書いたら、実際に目の前に現れて恋人同士になる・・・という何ともドラマチックな設定のお話。二人が出会って距離を縮めていくシーンは、観ていて恥ずかしくなってしまうくらいキュンとするやり取りの連続です。しかし、二人の間に小さなズレが生まれる辺りから暗雲が…。カルヴィンが夜な夜なタイプライターに向かい、ルビーの行動を自分の都合の良いように書き進めていくシーンは少し恐怖を覚えてしまうほど。でも実際、恋愛は全て自分の思い通りには進まないし、相手が100%自分の理想通りであるとも限りません。すれ違ってしまう時間は苦しくもありますが、いろんなことを気付かせてくれる大切な時間でもあるのです。終盤、ルビーが行動のおかしさに気付き、カルヴィンが本当のことを話すシーンでの、ポール・ダノとゾーイ・カザンのどこか切なさが滲み出てくる表情がとてもグッとくるので、ぜひ注目してみてくださいね。
大切にしていたい彼氏と惹かれてしまう元彼の間で揺れ動く。
Illustration_MARU
title:『南瓜とマヨネーズ』
【story】
ミュージシャン志望の恋人せいいちと同棲中のツチダは、キャバクラで働きながら生活を支えていた。ある日ツチダは、キャバクラの客から愛人契約をもちかけられる。そのことを知ったせいいちは生活を改め、働きに出るようになる。一方ツチダは、今でも忘れられない元恋人のハギオと再会し、関係にのめり込んでいくのだった。
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魚喃キリコさんの原作を、冨永昌敬監督がメガホンをとり映画化。ツチダを臼田あさ美さん、せいいちを仲野太賀さん、ハギオをオダギリジョーさんが演じている本作。彼氏のことは好きだし大切。でも、どうしても惹かれてしまう忘れられない元彼…。どうしてこんなにも“好き”という感情はぐらぐらし、気持ちと行動は調整するのが難しいのか…と、本作を観るとしみじみ考えてしまいます。また、そうして彼と元彼の間で揺れ動いているうちに、どちらとも距離が上手く保てなくなってしまうところもこれまたリアル…。きっと、過去の自分をツチダに重ねてしまう方もいるのではないでしょうか。そして本作は、ツチダとせいいちが同棲している部屋や、ツチダが働くライブハウス、ツチダとハギオが会う立ち飲み屋など、生活の延長線上に在るようなロケーションの絶妙さも魅力です!
近すぎるからこそ、あと1歩が踏み出せない。
© 2014 CONSTANTIN FILM PRODUKTION GMBH
title:『あと1センチの恋』
【story】
6歳からの幼なじみで、友達以上、恋人未満の関係のロージーとアレックス。そんな二人の夢は、イギリスの小さな田舎町を離れ、ボストンの大学へ一緒に進学することだった。しかしロージーは、クラスで人気者のグレッグと一夜を共にし、妊娠してしまう。ロージーは地元に残り、ボストンの大学へとアレックスを送り出し、初めて別々の人生を歩むことになる2人だが…。
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幼なじみでなくとも、長年付き合いのある仲の良い異性の友達がいる人には痛いくらい共感できるポイントがたくさんあるであろう本作。男女の友情や、“好き”の形については、語れば語るほど奥が深いですよね。大切に思うほど、関係が壊れてしまうことを恐れてなかなか「一歩」が踏み出せないし、ただ少し気を引きたかっただけなのに、本当は嫌だと思っているのに、気持ちとは裏腹の行動をとってしまう…。本作のロージーとアレックスのやり取りは、お互いのことを本当に大切だと伝わってくるからこそ、観ているだけで切なく、すれ違う度に苦しくなってしまいます。アレックスがボストンへ旅立つ時の空港でのキスしたい、けど出来ない…を繰り返すシーンは二人の想いが見える名シーンの1つ!
今回は「私的定番のほろ苦い恋愛映画」というテーマで、『ルビー・スパークス』『南瓜とマヨネーズ』『あと1センチの恋』の3作品をご紹介いたしました。
恋愛も関係や付き合い方によってさまざまな形がありますが、恋愛映画もドロドロしたものからキュンキュンしたものまで幅広くあります。映画を1本観ることは、新たな価値観や感情と出会うという要素もあると思うので、いろんな恋愛映画を観て、ぜひご自身の“定番”ほろ苦恋愛映画を見つけてみてください。
『ルビー・スパークス』
『南瓜とマヨネーズ』
© 2014 CONSTANTIN FILM PRODUKTION GMBH
『あと1センチの恋』
text : やべさや(Do it Theater)
音楽会社、映画会社などを経て、現在は編集・ライター・宣伝業。好きなジャンルはヒューマン、青春、音楽系で、90年代後半~2000年代前半の邦画が大好き。今一番楽しみな作品は7/24公開のロシアのロックミュージカル映画「LETO」です。
●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュースチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」では2年連続で野外シアターを上映!また 累計4万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫とマリンアンドウォークヨコハマの2会場同時開催の「シーサイドシネマ」、 ロックバンドSuchmosとタッグを組んだ「DRIVE IN THEATER Suchmos」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com
design_Koinuma Kenichi
Illustration_MARU
edit_Takehara Shizuka
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