CULTURE & LIFE

シアタープロデュースチームDo it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。第21回目のテーマは「デニム姿に恋するヒロイン映画」です。

 

Do it Theaterの阪実莉です。この連載はDo it Theater 女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。第21回目のテーマは「デニム姿に恋するヒロイン映画」ということで、『あの頃ペニー・レインと』『なまいきシャルロット』『ナイト・オン・ザ・プラネット』の3作品をご紹介します。

みなさま、お家時間はいかがお過ごしでしょうか?外に出づらい状況ではありますが、昼間から映画を見てファッションを楽しむ過ごし方も、おすすめです。

 

ヒロインの不思議な魅力に惹かれる音楽映画

© 2000 DreamWorks Films L.L.C. and Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

title:『あの頃ペニー・レインと』

【story】
ウィリアムは15歳。小さい頃は弁護士を目指す秀才だったが、4年前に家出した姉が残したレコードがきっかけでロックの世界にのめり込んでいた。伝説的ロック・ライター、レスター・バングスに売り込んで取材の仕事を得たウィリアムは、ライブの楽屋を訪ね、売り出し中のバンド“スティル・ウォーター”に取材を試みる。バンドへの熱い思いを語ってメンバーに気に入られ、楽屋へのフリーパスを得たウィリアムは、バンドのグルーピーの中でも一際目立つ少女、ペニー・レインに一目惚れする。

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ウィリアムとペニーレインは、”スティル・ウォーター”のメンバーに気に入られ、アメリカ横断ツアーの同行をすることに。ウィリアムは淡い恋心を抱きながら、長いバス旅が始まります。バンドマンの不思議な魅力と、憧れの業界に足を踏み入れる高揚感が止まらず、何度も見返してしまう作品です。

そして今回着目するのは、グルーピーではなく、音楽を愛しバンドを支える、自称”バンドエイド”であるヒロインのペニーレイン。
彼女が身につける、個性的なサングラス、花柄刺繍、レース、ファー、ブーツカットパンツ。ヒッピーを彷彿とさせる、ボヘミアンスタイルが、ブロンドのカーリーヘアと相まって一層魅力的です。
個性的なアイテムたちを着こなし、そこへさらに一癖追加する彼女には脱帽です。初回登場時のバッグはまるで工具箱のよう…。彼女の話し方や仕草、少しミステリアスだけど少女感も忘れないアンニュイな雰囲気にも惹かれてしまいます。初めて映像に登場した時には、これがヒロインというものか…と衝撃を受けました。

そして、ペニーレインのみならず、作品全体を通して、デニムアイテムが数多く登場します。ブーツカットや、ダメージショートパンツ、デニムシャツ………。
この作品は音楽も高く評価されており、音楽の脈絡で語られることが多いのですが、ファッションにもぜひ注目してください。バンドのロングツアーのお話なので、服装のパターンも多く、男女ともに着こなしを楽しめます。

高校生の時に、『あの頃ペニー・レインと』を知ってからずっと、私の人生のバイブル映画です。好きすぎてブロンドふわふわヘアも数年真似してました(笑)。

 

少女の王道フレンチスタイルがキュート

Illustration_MARU

title:『なまいきシャルロット

【story】
夏休みを目前に控えた、フランスの田舎町に暮らす13歳のシャルロット(シャルロット・ゲンズブール)は、学校にいても家にいても何も興味が湧かず、なんとなく憂鬱な日々を過ごしていた。夏休み、シャルロットは近くの工場で働く年上の青年ジャンと知り合いになり、時々会うようになる。そして、近くに住む同い年のピアニスト、クララとも知り合って、話をするように…。夏のヴァカンスを背景に、思春期を迎えた13歳の少女の揺れ動くきらめくような感性の世界を描く。

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今回、FUDGE的王道作品をセレクトさせていただきました!(ドキドキ)

夏休みに入り、体も心も自由に過ごしているひと夏の心情を描いた作品です。思春期に入ったばかりの、鮮やかでリアルな13歳の少女の繊細さを感じられます。知らないつもりの恋愛をしてみたり、慣れないリップやアクセサリーをつけてみたり、ヘアアレンジを変えてみたりと、大人になる試行錯誤をする毎日。
近所に住む遊び相手のルルも、大人になりかけているシャルロットに対し、友情と恋心が混ざり合って曖昧になるような、少女ならではの感情を抱いているように思えます。姉がいる人なら、あるあるですかね?なんだか懐かしい気持ちになりました。

作中、シャルロットは少し大人の遊びを知っているクララに憧れを持ち、現実逃避のために嘘を自分に言い聞かせて、周りを巻き込んでしまいます。
成長途中というのは、無意識に不安定なるものです。いつだって隣の芝生は青い。思春期はついつい背伸びして遊び、少しの優越感を持つことが楽しみになってしまうこともありますが、振り返ってみると大人の楽しみというのは、その年齢になってから経験する方が楽しめますね。

そして、本作の見所は何と言っても、シャルロットのフレンチスタイル。13歳ってこんなにも大人びていたでしょうか。
マイクロミニのデニムスカートやウォッシュデニムに、ボーダーカットソーや白いシャツを組み合わせて、足元は決まって白いスニーカー。アイテム数が少なくても、いつもキマまっています。ハズレなし。

「フランス人は服を10着しか持たない」、という書籍もありましたね。私も今のうちに服の断捨離をしようと心に誓いました。

 

ワークスタイルのルーズな着こなしが印象的

Illustration_MARU

title:『ナイト・オン・ザ・プラネット』

【story】
ロサンゼルスで大物エージェントを乗せる若い運転手、ニューヨークで英語の通じない運転手、パリで盲目の女性客と口論する運転手、ローマで神父相手に話し出したら止まらない運転手、ヘルシンキで酔っ払い客に翻弄される運転手。5つの都市で同時刻に走る5人のタクシードライバーとその乗客のやりとりをユーモラスに描く、ジム・ジャームッシュ監督によるオムニバス形式の5本の短編映画作品集。

* * * * * * * * * * * * * * * *

タクシードライバーというのは何とも不思議な職業だな、と思います。最近はタクシー以外の車移動アプリもありますが、運転手は毎日何十人と合い、その度に挨拶を交わし、時には世間話をする。タクシー運転手さんって、なぜか毎度、為になる話をしてくれますよね。こちらもついつい、あまり人に話せないようなことも言ってしまいます。勝手な思い込みですが、ドライバーさんは話を秘密にしてくれる気がしてるんです(笑)

本作品の中でも様々なタクシードライバーが出てきますが、今回は1話目で登場する、ウィノナ・ライダー演じる、整備工を夢見る若いタクシードライバーに着目しました。兄からのお下がりであろう、ダボダボのワークシャツ&デニムパンツで、キャップを後ろに被る姿が、うーん!可愛い!
そんなファッションを体現するかのような、無骨な振る舞いもどこか魅力的。女性らしいパーツが際立つ、メンズライクな着こなしが素敵ですね。本作では、そんなボーイッシュな女の子に突然、タクシードライバーならではのシンデレラチャンスが訪れるので必見です……!

このオムニバス作品は、地球上の様々な都市で一夜に起こっているエピソードを描いているのですが、実は1話目は日没から始まり、5話目の最後には夜明けがくるような構成になっています。(さすがジム・ジャームッシュ監督…!)各都市の細かい演出も効いていて、一夜で世界を旅したような気持ちになれます。没入感の高い作品なので是非ご覧ください。

 

「デニム姿に恋するヒロイン映画」というテーマで、今回はデニムスタイルが印象的な作品をセレクトしました。それぞれ違った雰囲気の着こなしをしているので、気分に合わせて見てみてください!お家の中でそれぞれの登場人物に合わせてファッションコーディネートを組んでみるのも楽しそうですね。

 

『あの頃ペニー・レインと 』

監督・脚本:キャメロン・クロウ
出演:パトリック・フュジット、ケイト・ハドソン
2000年 アメリカ映画 161分
販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
Blu-ray:¥2381

 

『なまいきシャルロット』

監督:クロード・ミレール
出演:シャルロット・ゲンズブール、ベルナデット・ラフォン
1985年 フランス・スイス合作映画 97分
FODプレミアム他で配信中

 

『ナイト・オン・ザ・プラネット』

監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
キャスト:ウィノナ・ライダー、ジーナ・ローランズ、ロベルト・ベニーニ
1991年  アメリカ映画  129分
U-NEXT他で配信中

text : 阪実莉(Do it Theater)

学生時代は、ドキュメンタリーと心理学を専攻。野外上映・空間演出の分野で活動したのち、現在はDo it Theaterにてカルチャーの創造を目論み奮闘中。人生のバイブル映画は『あの頃ペニー・レインと』『下妻物語』。
家では4匹の猫たちと暮らしているのですが、最近は構いすぎて少し距離を置かれています…。

●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュースチーム。昨年も開催した「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」では2年連続で野外シアターを上映!また 累計4万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫とマリンアンドウォークヨコハマの2会場同時開催の「シーサイドシネマ」、 ロックバンドSuchmosとタッグを組んだ「DRIVE IN THEATER Suchmos」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com

 

design_Koinuma Kenichi

Illustration_MARU

edit_Takehara Shizuka

 

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