クリエイティブチーム Do it Theater（ドゥイット・シアター）がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。
第115回目のテーマは、「心機一転、新たな挑戦をしたくなる映画」です。

Do it Theaterの阪実莉（さか みのり）です。この連載はDo it Theater女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。

冬も終わり春らしい天候になってきましたね。学生の方は卒業式があったりと、別れの季節ではありますが、4月から始まる新しい生活に心躍る日々でもあります。今回は季節にちなんで「心機一転、新たな挑戦をしたくなる映画」をテーマに、チャレンジする勇気を授けてもらえるような作品、『はじまりはヒップ・ホップ』『百円の恋』『ソーシャル・ネットワーク』の3つをご紹介します。

 

世界最高齢のダンスグループがヒップホップ選手権へ挑戦

(C)2014 Rise And Shine World Sales / Inkubator Limited / photo_Ida Larsson

title：『はじまりはヒップ・ホップ』

【story】
ニュージーランドの東側・人口8000人の島、ワイヘキ。のどかな島で誕生したダンスグループ「The Hip Op-eration Crew」は94歳のスターダンサーをはじめ元軍曹や杖なしでは歩けない人、ほとんど目が見えない人など、メンバーの平均年齢83歳の超高齢チーム。そんな彼らの目標はラスベガスで行われる世界最大のヒップホップダンス選手権に出場すること。耳慣れないリズムに、昔のようには動かない体。ひざも痛み、持病もある。旅費もなく、パスポートもない。数ある悪戦苦闘もジョークで笑い飛ばしながらも、夢のために一直線に進んでいく。

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ギネス公認の世界最高齢ダンスグループが、世界最大のヒップホップ選手権へ挑戦する姿を追い、第30回サンタバーバラ国際映画祭で観客賞を受賞したドキュメンタリー作品。彼らの挑戦はBBCやウォール・ストリート・ジャーナルでも報じられ、現地アメリカでも話題となりました。

タイトルだけでも惹かれてしまう本作ですが、見どころは彼らのチームワーク。挑戦したい気持ちは全員あるけれど、モチベーションや苦戦するポイントも様々なダンサーたち。それぞれが平均83年のバックボーンを抱えている彼らは、グループ内で良い塩梅を探るのにも一苦労。ただ、そこは人生の大先輩。たくさんの試練の壁に当たりますが、団結して助け合い、しっかり困難を超えていきます。
挑戦に年齢は関係ないし正解もない。仲間がいればなお最高。その先に何が起きたとしても、やったもん勝ち。人生の大先輩が自身の体をもって証明してくれました。前向きで豊かな人生に勇気付けられる作品です。

 

「百円程度の女」だった自分への、人生のリターンマッチ

Illustration_skpn

title：『百円の恋』

【story】
斎藤一子は32歳にもなって実家に引きこもり自堕落な生活を送っていたが、妹が実家に帰ってくることをきっかけに家を出て一人暮らしを始める。夜な夜な買い食いしていた百円ショップで深夜労働にありついた一子の唯一の楽しみは、帰り道にあるボクシングジムでストイックに練習するボクサー・狩野を覗き見することだった。ある夜、そのボクサー・狩野が百円ショップに客として訪れたことをきっかけに2人の距離は縮まるが、関係性が近づいたのち、一子は狩野に捨てられてしまう。そんな悔しさをバネに一子は、ボクシングを手段として狩野を見返し、自堕落な人生を変えるリターンマッチを始める。

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安藤サクラが主演を務め、2014年に公開した本作。第27回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門で作品賞を受賞、第39回日本アカデミー賞では最優秀主演女優賞、最優秀脚本賞を受賞するなど、各映画祭で話題になった作品です。

主人公の一子は、恋愛・人間関係・仕事、全てにおいて不器用。一人暮らしを始めるも、ニートだった彼女は家でだらけてばかり。仕事もうまくいかずどん底の生活を送っていましたが、狩野に捨てられたことをきっかけに、少しずつ変化していきます。
一子は作中、現実を顧みて、自分自身を変えるために行動を起こしましたが、どんなことがきっかけになっても良いので、変わることへ踏み切る勇気が大切ですよね。狩野に捨てられた後の変化と、その後に続く試合のシーンは見ものですよ。一子の一世一代の大チャレンジに、心が沸き立つ作品です。

あらすじを読むとまるで恋愛映画のようにも思えますが、この作品は猛々しい人生のファイトムービー。新学期を迎える前の今、ちょうど観てほしい作品です。心して観てください！　きっと背中を押してもらえるはずですよ。

 

「Facebook」の創設者マーク・ザッカーバーグの半生を描く

Illustration_skpn

title：『ソーシャル・ネットワーク』

【story】
2003年、アメリカ。ハーバード大学に通うイケてない天才プログラマー マーク・ザッカーバーグは、ガールフレンドのエリカにこっぴどく振られた腹いせに、学内のサーバーへ侵入し、ルームメイトのエドゥアルドと女子学生の写真を掲載した投票サイト『フェイススマッシュ』を作る。このサイトが学内で大ひんしゅく。ザッカーバーグは謹慎処分を受けるが、『フェイスマッシュ』の成功をヒントに、誰でも申請さえすればどんな人とでも繋がることができるネット上の社交場として、エドゥアルドと共に『フェイスブック』を立ち上げる。

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誰もが知っているであろう、世界最大のソーシャルネットワーキングサイト「Facebook」の創設者マーク・ザッカーバーグの半生を、鬼才デビッド・フィンチャーが映画化した本作。これまでデビッド・フィンチャーはビジュアルのインパクトが強い作品で有名でしたが、本作をきっかけに作風がガラッと変わります。会話劇をメインに取り入れ、120分の本編はテンポが抜群。マークを演じるジェシー・アイゼンバーグの見事なお芝居に冒頭から引き込まれてしまう作品です。

思いも寄らぬきっかけから挑戦が始まる本作ですが、常にベストなものを求めるマークは周りも巻き込んでさらなる大きな挑戦を続け、成功を手にしていきます。作中では、成功する一方、仲間との亀裂が起きてしまったり、と困り事も出てきますが、自分で考えて動き、世界に影響を与えている、その事実は変わりありません。

現状維持も大切ですが、挑戦は常に人生の起点になりうるもの。アグレッシブに何かに挑み続けたいものです。失敗しても良いですし、成功したら素晴らしい。でもまずは動かないと何も変わらない。私自身も、仕事で壁に当たった時は、すかさず「トライしてみます」と言うようにしています。常に前進したい自分自身への決め事ですね（笑）

 

今回は「心機一転、新たな挑戦をしたくなる映画」をテーマに、『はじまりはヒップ・ホップ』『百円の恋』『ソーシャル・ネットワーク』の3作品を紹介しました。ヒップホップに挑戦したり、人生のリベンジを試みたりと、年齢も内容も様々ですが、潔い挑戦を描いた作品たちです。
誰も知らない状態でスタートできる、新たな自分になれるのは新学期だけ。新しいクラスで、緊張しながら後ろの席の人に声をかけた瞬間を思い出します。
来週から始まる新学期・新年度には、挑戦する勇気を一つ抱えて、気持ちよくスタートダッシュしてみましょう。

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