クリエイティブチーム Do it Theater（ドゥイット・シアター）がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。
第108回目のテーマは、「見逃してない？名作グルメ映画」です。

Do it Theaterの郡司恵（ぐんじ めぐみ）です。この連載はDo it Theater女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。

空気もひんやりと、だんだんと冬を感じるようになってきました。食欲がとまらないことを季節のせいにできる、最高のシーズンが終わってしまうのは少し寂しいですね…。今回は、『ミスティック・ピザ』『エイブのキッチンストーリー』『彼が愛したケーキ職人』と、観たら食欲がわいてくる映画をご紹介します。

 

アメリカの定番フード、ピザが食べたくなる映画

Illustration_skpn

title：『ミスティック・ピザ』

【story】
舞台はコネチカットの田舎町のピザハウス「ミスティック・ピザ」。そこでバイトをする看板娘3人組の1人、ジョジョは結婚式中に結婚を延期に。一方、デイジーは金持ちの息子に夢中になるが、結局ケンカ別れ。そしてデイジーの妹キャットも家庭を持つ男性と恋に落ち、傷つくこととなる。3人それぞれの目まぐるしい青春の日々はやがて終わりを迎えていくのだが….。

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1988年にアメリカで製作されたラブコメ映画。‎港町を舞台に3人の女性の恋愛模様とその結末を描いた作品です。キャストも豪華で、『ノッティングヒルの恋人』のジュリア・ロバーツが看板娘の1人を演じていたり、マット・デイモンがちらっと登場したりします。なんとジュリア・ロバーツはキャリア3作目、マット・デイモンはデビュー作だそう。作風としては、アメリカのラブコメらしいポップなキラキラティーン映画で、最後まで楽しい気持ちで観ることができます。これぞ80年代のアメリカ！ という町や店の雰囲気や、髪型、服装などの雰囲気にもテンションが上がります。

そして、注目のグルメシーンは冒頭のピザ屋。大忙しの店内のシーンからスタートするのですが、お客さんの食べているピザがとにかく美味しそう。ビールと一緒に食べていたり、ワインと一緒に食べていたり…観ているこちらもピザを食べたくなります。この映画を観る時はピザを用意して、気分の高まる映画体験をぜひしてみてくださいね。
ちなみに、ミスティックピザは実際にあるお店のようです。一度は行ってみたいですね！

 

人と人をつなげる料理

『エイブのキッチンストーリー』©2019 Spray Filmes S.A.

title：『エイブのキッチンストーリー』

【story】
ニューヨーク、ブルックリン。イスラエル人の母とパレスチナ人の父を持つ12歳のエイブは、文化や宗教の違いから対立する家族に悩まされるなか、料理を作ることを唯一の心の拠りどころにしていた。ある日、世界各地の味を掛け合わせた「フュージョン料理」を作るブラジル人シェフのチコと出会う。エイブは、自分にしか作れない料理で家族をひとつにしようと決意するのだが。

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異なる文化を背景に持つため対立しがちな家族の絆を、手作り料理でつなげようと奮闘する少年の成長を描いたヒューマンドラマ。Netflixの大ヒットシリーズ「ストレンジャー・シングス　未知の世界」のウィル役で知られるノア・シュナップが映画初主演を務め、エイブ役を好演しています。

この映画の注目グルメは、ブラジル人シェフのチコが手がける美味しそうな屋台フードの数々。そして、エイブが自分なりに色々試して作るユニークなアイスキャンデーやオリジナルタコス、ケーキなども必見です。この映画のテーマとなるのは「フュージョン料理」。「ミックス：混ぜる」ではなく、「フュージョン：融合」させ、新しい料理を作っているところが面白いところです。人をつなげる音楽や映画と同じように、料理もまた人を繋げてくれるものなのだと気づかされました。

映画の弱点は匂いを感じられないこと、とよく言われますが、画面からいろんな匂いが立ち込めてくるくらい美味しそうな料理たちが並び、観ているだけでお腹が満たされていく感覚になるので、あえてお腹をすかせた状態で観るのも良いかも知れません。
心もお腹も満たされる感動の一作。食欲の秋の終わりに、ぜひ観てみてください。

 

ケーキの甘みとエスプレッソの苦味

©All rights reserved to Laila Films Ltd.2017

title：『彼が愛したケーキ職人』

【story】
ベルリンのカフェで働くケーキ職人のトーマスと、イスラエルから出張でやって来る常連のオーレンは、いつしか恋人関係へと発展していくが、オーレンからの連絡は途絶えてしまう。実はオーレンは妻と息子を残し、交通事故で亡くなっていた。妻のアナトは、休業していたカフェを再開させ、女手ひとつで息子を育てる多忙な毎日を送っていた。ある日、アナトのカフェに客としてトーマスがやってきて、職を探しているというトーマスを、アナトは戸惑いながらも雇うことにするが…。

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本作はイスラエルの若手監督、オフィル・ラウル・グレイツァ監督が、同じ男性を愛した2人の男女の姿を描き、イスラエルのアカデミー賞といわれるオフィール賞で9部門にノミネートされたほか、国外の映画賞でも多数の映画賞を受賞した作品です。

作風としては「ともに喪失した者たちの孤独な共鳴の物語」で、物語全体を通して寂しさや悲しみが描かれている大人の映画という印象です。とても丁寧な描き方なので、だんだんと感情移入してしまい、どうしようもなく切なく、哀しい物語に思わず涙が溢れてきてしまいます。

グルメシーンは、人々がカフェでケーキやクッキーをコーヒーと一緒に味わう場面。丹念に生地を仕込む姿から始まり、焼きたてのクッキーを頬張ったりケーキにクリームを塗ったりと、もう誰が見たって美味しいでしかありません！そしてできあがったお菓子をコーヒーと一緒に嗜む…間違いなく小腹が空いてくるので、コーヒーとお菓子の準備をしてから観始めることをお勧めします！

 

今回は、「見逃してない？名作グルメ映画」をテーマに3作品をご紹介しました。
どの作品も食欲を刺激してくる作品なので、ただ映画を観るだけではなく、それぞれの作品にあったものを用意して映画を観るのも良いかも知れません。いつもと一味違う映画体験になること間違いなしです！

 

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