クリエイティブチーム Do it Theater（ドゥイット・シアター）がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。

第89回目のテーマは、「今観るべき、Netflixおすすめ作品」です。Do it Theaterの阪実莉（さか みのり）です。この連載はDo it Theater女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。

雪が降る日もあり、すっかりおこもりモードになってしまいますね。私も休日は家にこもって、Netflixざんまいの日々です。今回は「今観るべき、Netflixおすすめ作品」というテーマで、『ラブ&モンスターズ』『First Love 初恋』『ボクたちはみんな大人になれなかった』の3作品をご紹介します。あと数日でバレンタインなのでおすすめの中でも恋愛要素がある物をセレクトしてみました。今回は特別にドラマも1作ラインナップしています。

 

人類滅亡の危機に瀕した世界で、最愛の彼女に会うため旅に出る

Netflix映画『ラブ＆モンスターズ』独占配信中

title：『ラブ&モンスターズ』

【story】
モンスターと化した生物たちに世界が支配されてから7年。全ての人類は地下のコロニーでの生活を強いられていた。ジョエル（ディラン・オブライエン）は無線を通じて、モンスターの襲来以降行方知れずだった高校時代の恋人エイミー（ジェシカ・ヘンウィック）が生存していることを知る。再びエイミーに対する熱い思いが込み上げたジョエルは、130キロ離れたコロニーで暮らしている彼女と再会しようと決意。危険な外の世界へ命懸けの旅に出る。

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『メイズ・ランナー』のディラン・オブライエンがジェシカ・ヘンウィックと共演した、終末世界が舞台の陽気なサバイバルアクション＆ラブストーリー。王道ジャンルではあるものの、個性的なサムネイルから異彩を放っていて、つい観てしまいました（笑）。
舞台は、世界の終末に瀕し、食物連鎖の底辺に振り落とされた人間たちが地下でひっそりと暮らしている世界。コロニーでは食事当番で引っ込み思案だったジョエルですが、エイミーの居場所を知って一念発起。仲間の制止を無視して、外の世界へ繰り出します。少年の“成長”と“恋愛”、2つの要素がテンポよく描かれ、ついついストーリーの面白さに惹かれてしまいました。
そして、今回もう一点注目すべきが、荒廃した世界でのCG表現。第93回アカデミー賞で視覚効果賞にノミネートされたのだとか。私たちが生活している現行世界の雰囲気も残しつつ、荒廃と自然美が美しく表現されています。CGで製作されたモンスターたちも、怖いですがどこか可愛らしさを感じる愛らしいいで立ち。クリーチャー好きの方も、恋愛映画が好きな方も楽しんで鑑賞できる作品です。ドキドキハラハラして、お家デートにはぴったりかも。

 

宇多田ヒカルの名曲にインスパイアされて制作された純愛ストーリー

Netflixにて独占配信中

title：『First Love 初恋』

【story】
舞台は1990年代後半の北海道。高校生の野口也英（八木莉可子）は、並木晴道（木戸大聖）と出会い、恋に落ちる。やがて恋人同士となり、かけがえのない思い出を積み重ねていく2人。しかし、ある出来事をきっかけに2人は別々の道を歩むことに。それから約20年が経ち、大人になった也英（満島ひかり）と晴道（佐藤健）は再会を果たすがー。

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すでに観ている方も多いのではないでしょうか。Netflixで今冬いちおしの超話題作です。期待値MAXで観ましたが、期待を全く裏切ることなく、最高の一言です…。
宇多田ヒカルさんの、1999年に発売された楽曲「First Love」と、その19年後に発表された「初恋」からインスパイアを受けて制作された本作。学生時代にお互い初恋をした90年代から、それぞれの人生を歩んで大人になった2人のラブストーリーが、20年超にわたり描かれています。普段映画を観る時は、つい細かい演出や背景描写を気にしてしまうのですが、そういうことが気にならないほど、知らぬ間に涙がぽろっと出てきてしまいました。ストーリーの美しさももちろんですが、この俳優陣・スタッフ陣だからこその素晴らしさだな、と稀有な運命さえ感じる作品です。純愛映画でまだこんなに泣けたのか…とアラサーならではの感動もありました（笑）。
個人的には、札幌出身ということもあり学生時代の思い出スポットが続出していたので、雪が溶けたらロケ地巡りをしてみようかと思います（なんと、実家の最寄駅もロケ地になってました）。

 

90年代のカルチャーを織り交ぜながら描き出される、青春ラブストーリー

Netflixにて独占配信中

title：『ボクたちはみんな大人になれなかった』

【story】
1995年、文通を通じて出会ったかおり（伊藤沙莉）と恋に落ちた誠（森山未來）。「君は大丈夫だよ。おもしろいもん」というかおりの言葉を信じ、普通じゃない自分を目指していた誠は、テレビ業界で懸命に働きながら小説家を目指す。その後かおりが去り、小説家にもなれなかった彼は、テレビ業界の片隅で働き続け、気が付けば46歳になっていた。

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作家の燃え殻さんが2016年に発表したデビュー作『ボクたちはみんな大人になれなかった』を映画化。この原作はwebでの連載が話題を呼び、2017年に書籍化すると、瞬く間にベストセラーとなった半自伝的恋愛小説です。主人公を森山未來さん、ヒロインを伊藤沙莉さんが演じ、映像作家・森義仁さんが長編初監督を務めました。
90年代のインターネットや携帯電話が普及する前、雑誌の文通募集欄を通じて知り合い、公衆電話でデートの約束をした2人。時を経て、コロナ禍で人との関わり方が変わった2020年までを移りゆく時代の空気とともに描いています。同じ仕事を続けていた誠は、かつて最愛の人だったかおりとの恋愛回想を介し自身を振り返るのですが、「なりたかった大人になる」って難しいですよね。時間が経つといつの間にかズレが出てしまうものです。大人になってくると、見て見ぬ振りをしてしまうことを、チクっと気づかせてくれるような作品です。
また、公開当初話題となったのが、90年代カルチャーの映像描写。WAVE、小沢健二、カセットテープ、日産パオ、古着、シネマライズ、ノストラダムスの大予言と、劇中に散りばめられています。私自身はドンピシャ世代ではないですが、90年代に青春を過ごした方はあの頃の空気を感じられること間違いなしですよ。

 

今回は「今観るべき、Netflixおすすめ作品」をテーマに、『ラブ&モンスターズ』『First Love 初恋』『ボクたちはみんな大人になれなかった』の3作品を紹介しました。今冬は『今際の国のアリス』『舞妓さんちのまかないさん』など注目作品もたくさんありますよ。ぜひチェックしてみてくださいね。

『ボクたちはみんな大人になれなかった』

text :阪実莉（さか みのり）(Do it Theater)

北海道札幌市出身。学生時代は、ドキュメンタリーと心理学を専攻。野外上映・空間演出の分野で活動したのち、現在はDo it Theaterでアートディレクターをしています。人生のバイブル作品は『あの頃ペニー・レインと』『下妻物語』『NANA』。太ったからなのか、今年の冬はヒートテックを3回しかまだ着ていません。

 

●Do it Theater（ドゥイット・シアター）
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュース＆クリエティブチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus（ホリデーサーカス）」ではコンテンツクリエイションとして参加。また 累計5万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫・マリンアンドウォークヨコハマなど５会場同時開催の「SEASIDE CINEMA」、ミニシアター支援を目的とし全国5箇所でキャラバン開催したクラウドファンディングプロジェクト「ドライブインシアター2020」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com

 

design_Koinuma Kenichi

edit_Takehara Shizuka

 

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