kiitos.
みんな大好き、お味噌汁。1杯いただくだけで気持ちはほっこり身体もぽかぽかに。幼い頃から慣れ親しんできたけれど、案外知らないことがいっぱい。身体にいいと言われるのはなぜ? いつ頃から食べられるようになったのだろう? どんな具材が合うのかな? 私たちのソウルフードだからこそ、お味噌汁のこと、もっと深く知りたいと思いませんか?
日本人が遠い昔から食してきた味噌汁。しかし、いつから食べられるようになったかは、あまり知られていません。さらに、お味噌汁の主役となる味噌の発祥も、明確ではないといいます。 ここからは、そんな摩訶不思議な、味噌とお味噌汁の歴史を紐解いていきます。
Index
味噌の起源ははるか昔、味噌汁文化は鎌倉時代から
味噌の発祥に関しては、中国が起源である説や日本が起源である説など諸説ありますが、中国との交易が盛んだったことや、日本の気候や風土が発酵食品の製造に適していることを考えると、中国の発酵食品と日本の発酵食品が融合して、味噌が生まれたと考えるのが妥当でしょう。
では、お味噌汁はいつから食されるようになったのでしょう。味噌が上流階級から一般的に広がったのは鎌倉時代。贅沢の末に滅びた平安時代の王朝文化を戒めとして、武家は質素倹約に努め、そのときに食されていたのが「汁かけ飯」、お味噌汁のぶっかけ麦ご飯でした。鎌倉時代の後期には、玄米ご飯にお味噌汁と魚の干物という「一汁一菜」の食事が当たり前に。室町時代にはお味噌汁が普及し、一般的に食膳に上がるようになったのです。
古代中国
紀元前700年頃、味噌の起源である「醤」(ひしお)が誕生。醤とは、獣肉や魚肉などを叩き潰し、雑穀の麹と塩と酒を混ぜて壺に漬け込み熟成させたもの。周王朝には醸造を司る役職も設置。
縄文時代
古代中国で「醤」(ひしお)が誕生した頃からはるか昔。縄文時代の日本で、どんぐりを原料にした味噌に近い食品が存在していたことがわかっています。
飛鳥時代
中国の「醤」(ひしお)は、仏教伝来とともに日本に伝わったとされる説や、遣隋使や遣唐使がつくり方を持ち帰ったとされる説もあります。いずれにしても、この時代に味噌の起源が日本に伝わったよう。
奈良時代
701年に「大宝律令」を制定し、「醤院(しょういん)」という役所が設けられました。「未醤(みしょう)」と呼ばれる大豆発酵食品がつくられ、宮中で用いたことも記録されています。
平安時代
醤が未醤などの日本独自の発酵食品と融合して、「味噌」が誕生。当時の歴史書にも「味噌」の文字が確認されています。調味料というよりは、薬としてなめたりする貴重なものでした。
鎌倉時代
鎌倉武士の間では一汁一菜の食事が当たり前に。また、臨済宗の僧・覚心が、宋より径山寺味噌の製法を伝えて金山寺味噌として名物にし、信州味噌のルーツとなる味噌もつくり広めました。
室町時代
応仁の乱が終わると、京の街には「味噌売り」が現れて味噌が普及し、味噌汁が一般的に飲まれるようになります。武士や公家の間では「汁講(しるこう)」という味噌汁パーティーがブームに。
戦国時代
食事が戦闘能力に大きく関わる時代。兵は腰兵糧として塩・味噌玉・食料を個別に携帯。織田信長や豊臣秀吉など、この時代に名を馳せた大名の領地では、良質な味噌がつくられていました。
江戸時代
味噌が庶民の間に本格的に広がった時期。江戸には「味噌麹屋」が軒を連ね、味噌づくりも多様化。料理屋では多彩な味噌料理を提供。太平の時代おいて、味噌は生活に欠くことのできない食材に。
参考文献:みそ健康づくり委員会「新みそを知る」
illustration : Haruka Fukushi edit&text : Masayo Okegawa re-edit:Yuri Iwata[press lab]
※kiitos. vol.22(2021年12月23日発売)より抜粋。
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