kiitos.
ヘアサロンへ行った後、不思議と前向きになって誰かに会いたくなることはないだろうか?
髪を整えることで、人の心には明るさが灯るもの。そこには確かな理由があるはずだ。
心理学の観点から、この現象にアプローチ。

髪型ひとつで人の心は揺れ動く。そのわけを、ヘアサロン「fve」オーナースタイリストの石川秀峰さんと心理学者の田中知恵さんに伺った。
石川秀峰さん/ヘアスタイリスト(写真左)
ヘアサロン「fev(フェブ)」代表取締役社長、ヘアスタイリスト。美容専門学校を卒業後、20歳から美容院勤務をスタート。23歳で独立後、数店舗の実務経験を経て2013年1月に「fev」を設立し、多くの美容師を輩出。
fev 福岡県福岡市中央区今泉1-13-30jojiビル2F tel:092-715-0711 open:11:00~19:00 土・日曜10:00~19:00
田中知恵さん/心理学者(写真右)
明治学院大学心理学部教授。博士(社会学、一橋大学)。専門は社会心理学、社会的認知。主な著書『「印象」の心理学』(日本実業出版社)は4言語に翻訳されている。
世界の見え方を変えるのが
ファッション、メイク、そしてヘア
石川さん 僕はもともと画家になりたくて美術を学んでいたのですが、学生の頃に出会った佐藤忠良先生*の「なぜ美術を学ぶのか。美術には〝世界の見え方〞を変える力があるから」という言葉が心に深く残っていて、美容師になってからはヘアメイクやファッションのことを〝日常美術〞って呼んでいるんです。髪やメイクが決まると自分から見た世界が変わるな、と考えていて。
田中さん それは素敵。本当にその通りですね。
石川さん みなさんはある程度、自分の理想の〝女性像〞〝男性像〞をもっていると思うのですが、そこになるべく近づけるために、イメージを形づくっていくのが美容師としてやっていることなんだと思います。
本来の自分と理想の自分
その乖離を埋めてあげること
田中さん ヘアサロンに行って美容師さんと対話をすると、カウンセリングと同じだなあと感じることがあります。私は心理学者ですが、美容師さんも心理学を学んでいらっしゃるのかしら?と思うこともあるくらい。なかには「こうなりたい」とはっきり女性像を伝えられないお客様や、どうしたいのか自分ではわからないお客様もいると思うのですが、そういう方の「なりたい」をどうやって見つけていらっしゃいますか?
石川さん その方が身につけているファッションやメイクを見ながら、僕の中で仮説を立てたうえで、そのお客様が何に興味があるかに限りなくフォーカスしていきます。求めている女性像がどんな方向性か、まわりからどういう印象に見られたいのか。願望と理想をすぐに言葉にできない方だからこそきちんと読み取ってあげたくて。 長年のお客様でも節目で印象やライフスタイルが変化する場合も多いので、それに応えられるように気を配っています。
田中さん 確かに年齢やライフステージによって社会からの役割を求められるようになりますね。例えば、リクルートスタイルひとつ取っても現代は必要以上に制約があるような。本来の自分と社会に合わせた姿との違いの中でなんとか自分らしさを出していこうとする学生たちもいるんですが、自分らしさを残しつつ規範に反することのないヘアカラーやファッションって、難しいですよね。
石川さん 理想の女性像を表現できなくなると、疲弊していってしまいますしね。僕らは「美」を造形美・色彩美・素材美という3つのパーツに分けて考えていて、例えば髪が黒い状態で、カット=造形美だけでフェミニンを表現しようとすると限界があるので、カラー=色彩美でやわらかさのある黒を提案するとか……制限があるなかでも3つのバランスを取って、なりたい〝印象〞をつくっていけたらと思います。
髪型を変えることは
アイデンティティの調整
田中さん 社会心理学では、〝あるべき自分〞を「当為自己」、〝ありたい自分〞を「理想自己」と呼びます。この「理想自己」と〝いまの自分〞、すなわち「現実自己」との間に距離があればあるほど、ネガティブな感情が生まれるんですね。現実と理想との差に落ち込んでしまう。石川さんはそれを「理想に近づけること」で、内側から救おうとしていらっしゃるなと思うんです。実は昨年、開頭手術を受けたのですが、その際に前髪がなくなってしまったことで、自分でも思った以上にふさいでしまって。見た目の要素が心に与える影響ってこんなにも大きいのかと。ヘアスタイルやメイクは「自分の一部だったんだな」とあらためて実感できました。
石川さん それはつらかったですね……。髪型を整えることって、ただ単にカットするとか色を変えるとかの外見の問題だけではなくて、〝アイデンティティの調整〞だと思っているんですよ。だから、トレンドや傾向にすべてゆだねるのも危険かなという気持ちもあります。
田中さん そうですね。俳優などの表に立つ方でも、ずっと変わらないスタイルをもっている人は、現実自己と理想自己が乖離していない分、幸福度も高そうに見えます。
石川さん おっしゃる通りで、理想と現実を近づけていくこと=自分を好きでいられる状態が、いちばん「幸福」に近いのだと思います。
田中さん 私も含め、お客様自身が〝髪〞を通じてそれを叶えるためにできることはありますか?
石川さん ホームケアでどんなものを選ぶかでずいぶん変わります。僕が絶大な信頼を寄せている〈Amatora mezzoforte〉は髪=素材美を整えるのに欠かせない存在です。特に優れているのが、褪色がしにくいうえにしなやかにまとまる点。ヘアサロンで完成した理想の状態が長期保存できる、〝ハピネスを継続できるもの〞として、みなさんにおすすめしています。アーユルヴェーダに基づいた香りにもとても癒やされますよね。
田中さん 五感の中で最も記憶と結びつきやすいのは嗅覚ですが、人間の記憶の中にはネットワークがあって、ポジティブな感情にはポジティブな記憶が結びつくと言われています。ナチュラルで心地のいい香りと、大満足な髪型になったことがポジティブな記憶として刻まれるからこそ、石川さんのもとへ通い続けている方がたくさんいらっしゃるのでしょうね。
石川さん ヘアもメイクもファッションも、ほめられたらそれがその人にとって大切なものになりますよね。なりたい自分に近づけたらなおのこと!信頼できる、理想像を叶えられる美容師さんにぜひ出会ってほしいと思います。


PICK UP
「褪色やパサつきが気になるという方に特におすすめしたいのが、〈Amatora mezzoforte〉のシリーズ。洗っている最中から髪がしっとりとやわらかくなって、“理想の仕上がり”が長続きします。ラグジュアリーホテルのような印象的な香りも魅力で、自分を好きになるのを手助けしてくれるようなプロダクトと言えるかもしれません」(石川さん)
左から、アマトラメゾフォルテヘアバスS(シャンプー)335mL¥6,050、アマトラメゾフォルテヘア&スパマスクS(ヘアトリートメント)225g ¥6,050、アマトラメゾフォルテボリュームウォーター(洗い流さないヘアトリートメント)100mL¥4,400(以上すべてAmatora)
(問)Amatora https://amatoramf.jp/
photograph : Mihoko Sakamoto (people), Masahiro Tamura[FREAKS](item)
design : naoi design office
text : Kei Yoshida edit : kiitos.
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