kiitos.
女性に生まれたからには「女性という性」を大切にセンシュアルに生きていきたいもの。ストレスで脳コントロールを失い、ホルモン分泌が乱れると、不調を引き起こす原因に。美しく上品かつ官能的に生きていくために大切にしたい、セクシャルケアの教科書。
*フェムテックとは
フェムテック(Fem Tech)とは、Female(女性)・Technology(テクノロジー)の略語で、現代のテクノロジーを駆使して、女性の健康にまつわる課題を解決するためのサービスやプロダクトのこと。近年、海外での市場が急速に拡大し、日本でも盛り上がりを見せてきている。
教えてくれたのは……
産婦人科医/池下育子先生
いけした女性クリニック銀座院長。訪れる8割が働く若い女性。会社や人間関係などのストレスで悩む女性たちにに本気でアドバイス。女性の病気、心身のトラブルについて積極的に取り組んでいる。『子宮を温め健康になる25の習慣』(新星出版社)など著作多数。
いけした女性クリニック 東京都中央区銀座2-8-4 泰明ビル3F [TEL]03-3562-1966 [URL]http://ikeshitaikuko.com
植物療法士/森田敦子先生
フィトセラピーの第一人者。サンルイ・インターナッショナル代表。フランス国立パリ13大学で植物薬理学を学び、帰国後研究者としてオリジナルプロダクトを開発。オーガニック・プロダクトのトレンドセッター。著書に『自然ぐすり』(ワニブックス)。
Index
粘液は体調のバロメーター
粘液力=免疫力。鼻水やツバや膣からの分泌物は、外から入ってくる悪いものを体外に出す役割を担っている。ホルモンバランスの崩れや免疫力の低下で分泌の量が少なくなるなど、粘液は日々移りゆく体のバロメーター。内側からバランスを整えて粘液力を高めよう。
粘液力=免疫力
異物をちゃんと外に押し出す力=免疫力。ビタミン、オメガ3・6、ミネラル、炭水化物、たんぱく質など体の中で粘液をつくる栄養素が働いてこそ循環が整います。摂取する栄養や適度な運動、養生など内側からのケアでたっぷり出すようにしましょう。
粘液の役割
バロメーターとなるほど日によって量や状態が変化するおりもの。おりものとは子宮内膜、子宮頚管、膣、バルトリン腺や皮脂腺からの分泌液の総称。細菌が膣内に入り込むのを防ぎ、老廃物を外に出す自浄作用と精子がスムーズに子宮内に到達して卵子と出会えるよう受精を助ける役割を担います。排卵期には受精を助けるため量が増加。また黄体期には老廃物の排出をサポート。細菌から子宮や膣を守り、受精卵の着床を助けます。
加齢による変化
10代:初潮を迎える頃になると少しずつ分泌されはじめる。ホルモン分泌が不安定なため増減する。
20〜30代:女性ホルモンの分泌や卵巣機能が充実するため分泌が増えて、おりもの周期も安定する。
30〜40代:女性ホルモンの分泌がピークに。もっとも量が多くなり、年齢とともに徐々に減っていく。
色・量・におい
色:周期により透明~白、乾いた時は黄みがかります。 茶色や黄色など色が濃い時は病気の危険信号。
量:受精卵の着床をサポートする排卵前後がピーク。その後は、生理に向けて再び増えていく。
におい:健康的なおりものはやや甘酸っぱいにおい。黄体期から生理に向けてはにおいがきつくなる。
おりものの周期を知ろう
おりもの周期は、エストロゲン、プロゲステロン2つの女性ホルモンと深く関係。体調やホルモン分泌、卵巣機能の成熟度で増減し、28日周期で移り変わります。自分の周期や変化を知っていれば排卵や生理の予測、体調管理にも役立ちます。
分泌量・状態・色の変化を把握しよう
月経中・排胞期・排卵期・黄体期~月経前の4セクターに分類し、さらにおりものの分泌量や状態別に6セクターにセグメント。ホルモンバランスによる、おりものの分泌量や、におい・粘度などの状態、色の変化を知り、体調のバロメーターとしておりものをチェックしましょう。
- 【月経中】子宮内膜が血液とともに排出される。
- 【月経後】クリアですっきり。分泌物が少ない時期。
- 【排卵前】湿り気を帯びて、分泌物が増える時期。
- 【排卵期】排卵直前がもっとも多くなる。卵白のようにどろーんとした状態。
- 【排卵後】分泌期。酒粕状でにおいがきつく、少しかたまった状態。
- 【月経前】分泌期。生理にむけて分泌物が増える。生理直前は少量の血液が混じることも。
粘液が低下するのはこんな時
おりものの状態は、体調によって大きく変化するので、自分では気づいていない不調のサインをチェックするのに役立ちます。水っぽく白いおりものが出る時は胃腸が弱っているサイン、水気も量も極端に少ない場合は水分量が足らずに乾燥している時。
ストレスや体調不良で脳のコントロール機能が低下すると、ホルモン分泌が乱れて、その影響が自律神経にも及び、血液循環が悪化するだけでなく、こりや痛み、代謝の低下をまねきます。また乳酸性菌の一種で健康な膣内に生息するデーテルライン桿菌が減少し、粘液力が低下。さらにナプキンやおりものシート、ストッキングなどでムレた状態が続くと、細菌が繁殖して炎症が起こりやすくなります。それ以外にも、抗生物質の服用で善玉菌の働きが低下した場合や、妊娠中も細菌性の膣炎症や外陰炎が起こることも。
おりものでわかる主な病気
おりものの色はトイレットペーパーでチェックします。個人差がありますが、通常は透明~乳白色、薄黄色程度。下着に付着したおりものは乾くと黄色に変色しますが、異常ではありません。トイレに行った際におりものの色や量を確認し、異常がないかチェックを。
細菌性膣炎
症状:魚臭帯下と呼ばれる悪臭が強いおりものが特徴。
デーテルライン桿菌が減少し、膣内環境が損なわれることで発症。洗浄のしすぎや、疲労・体力の低下で自浄作用がなくなり粘液力が弱くなった状態。
クラミジア
症状:膿のまざった黄色~淡い黄色の多量のおりものと下腹部の痛み。
粘膜同士の接触や精液、膣分泌液を介して感染。子宮頚管へ感染し、子宮頸管炎を起こす。自覚症状がなく放っておくと子宮外妊娠や不妊症の原因に。
カンジダ
症状:白色の酒粕状、チーズ状のおりもの。外陰部のかゆみ・はれ・灼熱感。
カンジダ真菌が皮膚に感染して起ります。疲労、ストレスで免疫力が低下したり、ホルモンバランスが崩れると菌が繁殖。外陰部と膣にかゆみを感じる。
トリコモナス
症状:悪臭の強く、膿性、泡沫状のおりもの。
トリコモナスとは原虫のこと。便座、浴槽からも感染し、外陰部、膣にかゆみがでる。また自浄作用が低下するため、細菌性膣症を合併しやすくなる。
illustration:Ema Mori edit&text:Machiko Minamiya re-edit:Kaori Hasegawa
kiitos. vol.4より抜粋
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