kiitos.

私らしさを育むヒントは、いつも少し遠くにある。
心をほぐし、身体の奥にある「自然のリズム」を呼び覚ます——
そんな時間を求めて私たちは旅に出るのかもしれない。

ヨーロッパほぼ中央に位置し、自然と文化、そして人々の営みが静かに息づく国・ポーランド。
歴史を感じる石畳の街並み、森と湖が広がる大地、素朴で滋味深い食文化。派手な観光地とは違うけれど、だからこそ見えてくる豊かさの本質。

今回ご紹介するのは、ポーランドを巡る「ウェルネス・リトリートの旅」。
世界遺産の原生林が広がるビャウォヴィエジャ国立公園での森のリトリートを。

ポーランドはどんな国? 記憶と自然がともに息づく場所

ポーランド。ヨーロッパのほぼ中央に位置しバルト海に面するこの国は、中世にはヨーロッパ最大級の大国として文化と芸術を花開かせ、その後18世紀末には列強により地図から消されるという数奇な運命をたどった。ふたつの大戦と独裁体制を通り抜け、なおも言葉や風習を失わずにいた人々の姿がいまの町並みや暮らしの中にそっと息づいている。

豊かな自然と深い歴史、そして素朴で温かな人々に出会える場所。首都ワルシャワの洗練された街並みから、東部に広がる原始の森まで、多様な表情を持つポーランドは旅人の感性をやさしく刺激する。

森の記憶を繋ぐヨーロッパ最古の原生林へ

究極のリトリートを求めて訪れたのは、ポーランドとベラルーシの国境地帯に広がる「ビャウォヴィエジャ国立公園(Białowieski Park Narodowy)」。ヨーロッパでほぼ唯一自然のままの低地原生林が残る貴重な場所で、総面積は約1500㎢にも及ぶ。数世紀ものあいだ人が関与しながらも自然環境が保たれてきた独特の自然環境で、倒木も朽ちた葉もそのまま。

森を歩いてみると樹齢数百年を超えるオークやシナノキが堂々と根を張り、地面にはコケやシダ類が織りなす絨毯のような植生が広がっている。春には希少な野生のランやスミレが可憐に咲き誇り、夏には瑞々しいシダ類が森を覆って秋にはキノコ類が顔を出す。微生物、昆虫、野鳥に大型哺乳類……。それぞれの生命活動が自然のサイクルを支えていることを感じさせてくれる。

この「ビャウォヴィエジャ国立公園」の特別保護区は、自然環境を保護するために厳格に立ち入りが制限されていてライセンスガイドの同行が必須。希少な自然をより深く理解するためにもガイドツアーへの参加がおすすめ。

森林浴がもたらす、科学的ウェルネス効果

森で過ごす時間がリラックス効果や免疫力の向上につながることは、数多くの研究でも証明されているのだそう。木々が放つフィトンチッド(植物が発する抗菌成分)には自律神経を整えストレスホルモンを軽減する働きがあって、心拍数や血圧を穏やかに導いてくれるとか。

実際の体感はと言うと、森にいる間は終始身体の力が抜けた状態。空が見えないほどに背の高い木々を見上げ、足元の新芽と目線を合わせてみたり。葉擦れの音に包まれた空間で小さな発見に夢中になっていると、まるで瞑想しているかのような。これにも理由があって、静寂に包まれるとα波優位になり脳がリラックス状態に誘導されてしまうというわけ。余計な力が抜けると深呼吸ができるようになるので、これもウェルネス効果を高める一助となっているはず。

「ただ歩くだけで整う」。ビャウォヴィエジャの森は自然体で存在することを促してくれる。

出会えたらラッキー。ヨーロッパバイソン(ジュブル)が棲む森

ビャウォヴィエジャの森のもうひとつの大きな魅力が、ヨーロッパバイソン(Zubr=ジュブル)の生息地であること。この巨大な野生動物はヨーロッパに現存する最大の陸上哺乳類で、極めて希少な存在。

20世紀初頭の乱獲と生息地の喪失によって野生のヨーロッパバイソンは一度絶滅。現在この森にいる個体たちは、動物園などに残された数十頭から始まった保護繁殖プログラムによって再導入された「奇跡の命」。現在も約1,000頭ほどしか存在せず、その半数以上が国立公園とその周辺に生息しているそう。

今回の旅ではライセンスガイドによるヨーロッパバイソン観察ツアーに参加。早朝にホテルを出発しビャウォヴィエジャの町をバスで進むこと十数分。そして開けた草地に到着後、徒歩で奥へ進むこと数分。運よく、二頭のヨーロッパバイソンが悠然と草を食む姿を発見! 朝もやの向こうにぼんやりと見える距離ながらも存在感は堂々たるもの。

そして、さらにラッキーなことにビャウォヴィエジャの森でのガイドツアー中にも野生のヨーロッパバイソンに遭遇。正確にはビャウォヴィエジャ国立公園の特別保護区内ではなく、入り口付近の木立ちの中にて。観察ツアーよりもさらに至近距離で迫力ある体躯を目撃するという思わず息を飲んでしまうような経験は、旅の偶然性や感動を覚えずにいられないものに!

ヨーロッパバイソンを間近で観察できる保護施設も

ツアーに参加することが難しい場合は「ヨーロピアン・バイソン・ショー・リザーブ(European Bison Show Reserve)」へ足を運んでみるといい。ここではヨーロッパバイソン(ジュブル)をはじめ、エルク、シカ、イノシシ、オオカミ、ヤマネコなどポーランドの野生動物たちが自然に近い環境で飼育されている。

併設の「ビャウォヴィエジャ自然森林博物館(Nature and Forest Museum)」では森の成り立ち、動植物の生態、バイソン保護の歴史などが模型や映像、標本を交えてわかりやすく紹介されている。臨場感たっぷりの実寸大の動物模型を配置した展示空間は必見。

ヨーロピアン・バイソン・ショー・リザーブ(European Bison Show Reserve)
ビャウォヴィエジャ自然森林博物館(Nature and Forest Museum)

住所:17-230 Białowieża(ビャウォヴィエジャ)

東ポーランドの原風景をたたえるポドラシェ地方

ビャウォヴィエジャ国立公園を擁するこの地方は、ポーランド東部に位置する自然と文化のモザイクのような地域。ベラルーシやリトアニアに接しており、民族的・宗教的多様性が色濃く残るこの地ではカトリック、東方正教、イスラム教(タタール人)などが共存しているそう。

伝統的な木造の教会やモスク、色鮮やかな民族衣装などがいまも暮らしの中に生きている様子は、首都ワルシャワの雰囲気とはまた異なって旅心を刺激する。都市化が進みすぎていないからこそ野生動物や原生林とともにある暮らしがいまも保たれていて、「自然に近い旅」を求めるのであればぜひ足を運んでみてほしい。

日常から一歩離れて、森とともに深呼吸を。

リトリートとは、「引き下がる・退く」という意味を持つ言葉。日々の忙しさから少し距離をおいて自然のなかで静かに自分と向き合う——。ビャウォヴィエジャの森は、そんな時間を与えてくれる場所。きっと、あなたの中の“自然”が静かに目を覚ますはず。

取材協力:ポーランド政府観光局

Camera:Nikon Zfc photograph:kiitos.

旅に連れて行きたい、相棒の一台

ポーランドの森を歩いていて思ったこと。旅は、記憶と風景のかけらをどう残すかでもっと豊かになる。今回の旅に同行してくれたのは〈Nikon〉のミラーレスカメラ「Zfc」。クラシックな佇まいながら、手に取ると軽くて操作も直感的。旅先で撮りたい瞬間はいつも突然だから、さっと構えて、すっと撮れる。このテンポ感がありがたい。

Camera:Nikon Zfc photograph:kiitos.

Camera:Nikon Zfc photograph:kiitos.

光の移ろいが美しいビャウォヴィエジャの森や、霧に包まれた草地に現れたヨーロッパバイソン。写真として残したい風景のなかに“記憶の質感”が宿るような描写力で、写真を見ながら旅を振り返るのが楽しみになる。そして、カメラ初心者であっても心配無用。オート設定で自然な色合いの写真に仕上がるので、心揺さぶるシーンと遭遇するたびに何度でもシャッターをきってみよう。

スマートフォンでは写しきれない静けさや空気の揺らぎまで、やさしく拾い上げてくれる「Zfc」。旅の記憶をきちんと残したいと思う人にこそおすすめしたい一台だ。

※各色人工皮革がなくなり次第終了となります。 ※WEBサイト上で確認できる色味と実際の皮革の色味は異なる場合があります。 ※受付終了カラー:チョークブルー(2024年1月16日)[写真左上]、ミッドナイトグレー(2024年6月17日)[写真右下]

Nikon Zfc
https://nij.nikon.com/products/lineup/mirrorless/zfc/

 

photograph:Reiko Masutani
edit&text:kiitos.

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