FUDGENA

GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?

口裂け女のように、にっと横に引き伸ばされた真っ赤な唇。

上下に整列した歯の白さと、その奥に潜む舌。

愛知・東京・大分と巡回予定の『GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?』。

誰もが一度は目にしたことがある超超有名芸術家の展覧会。

 

自覚なき心の原風景との出会い

その作風は、不吉かつポップ。

そして、じわじわと滲み出るノスタルジー。

もちろん彼の作品を知ってはいるんだけど、いやもっと、もっとはるか昔。

個の記憶や自我が生まれる前のもっと混沌とした意識の中で出会っていたかのような。

親しみのある不穏、胸騒ぎに近い既視感。

彼の作品の持つ「懐かしい不気味さ」は一体何。

 

圧倒的な出展作品の数々

口、目、放射状に広がる直線、どぎつい配色。

本展覧会では、皆がよく知る「THE 横尾忠則」の作品はもちろん、若きデザイナー時代の作品、舞台ポスター、映像・メディア作品、絵画への回帰、圧倒的バリエーションで表現を模索し続けた膨大な連作などが並ぶ。

出展作品がとにかく豊富。

想像以上に見ごたえなので、時間の余裕を持って行くことをオススメします。

『トイレットペーパーと女』

 

展示風景

一枚ずつユニークな著名人たちの肖像画

 

それにしても度肝を抜かれるほどの多作っぷり。

横尾忠則氏は現在85歳。

キャリアが長いといっても、皆平等に与えられるはずの1日24時間の積み重ねで、こんなにも多くを生み出せるものだろうか。

『ミケランジェロと北斎の因果関係』

 

滝のポストカードを並べたインスタレーション

 

壊れたワイパー並みにブンブン振れる作風の振り幅の広さに加えて、驚くべきは何度も同じモチーフを描き続ける、底なしの追究心。

50作品以上も描いた「滝」へのこだわりは尋常ではないし、スタイルや画風を変えながら150以上も繰り返し描き続けた「Y字路」にいたってはもはや狂気の沙汰。

幅も広く、かつ奥も深い、まるで「宇宙」のような人だ。

Y字路をモチーフにした『暗夜光路 眠れない街』

 

同じくY字路を描いた『想い出劇場』

 

 

作家の創作源=”原郷”

描いても描いても、奇跡の名湯のようにゴボゴボと湧き出てくる、尽きないイメージ世界。正気かと疑うほどに終わりのない反復と変奏。

その創造の源泉は、彼の「原郷」にあるという。

 

星空を見上げながら自分の出自について思い巡らせた幼少時代。

眼前で街が燃え、人が死んだ戦争体験。

浅い眠りの夢、おぼろげな記憶、曖昧な意識。

 

樹海のように鬱蒼と生い茂った場所。

奥のそのまた奥にある真っ暗闇から、彼に呼びかける声。

その声に呼応するように、彼は描き続ける。

迷宮のような原郷は、入り組み、混線し、いつのまにかわたしたち個々の原郷とも繋がっている。

だから怖いけど、もっと深い層で懐かしい、不思議な横尾作品たち。

『暗夜光路 赤い闇から』

 

コロナ時代、そのマスクの先に

展覧会の最後にはコロナ以降の作品が展示されていた。

これまでの作品や日常風景の中で皆がつけているのは、あのトレードマークの口が描かれたマスク。

 

彼は何が起ころうと、その手を止めないらしい。

世界がどうなろうと、自身の内側から湧き出る創作意欲はどうにも止まらなくて、マスクで口を塞がれたって、その奥ではいつでも真っ赤に笑っている。

 

怖いけど、もっと見たい。

マスクの向こう側でぱっくり開いたその口は、

芸術家が抱える底なしの創造源であり、全人類が抱える暗く広く果てしない魂のふるさと、

「原郷」へと続く入り口。

 

今回紹介した展覧会情報:

『GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?』

 

4月11日まで愛知県美術館で開催

その後、東京都現代美術館、大分県立美術館に巡回予定

 

カトートシ

1991年生まれ

大学時代は文学批評を専攻。

書店員や美術館スタッフ、カナダでのライター経験を経た後、

2018年よりカトートシとして活動を開始。

現在は大学で働く傍ら、カルチャー関連のエッセイ等を執筆。

カトートシという名前は、俳人である祖父に由来するもの。

Instagram:@toshi_kato_z

 

FUDGE CHOICE

  • サムネイル
    PR
    レースに花柄、ピンク…春はち...
  • サムネイル
    PR
    《Weekend Max Mara》素敵な...
  • サムネイル
    PR
    スポーツとデイリーに楽しめ...
  • サムネイル
    PR
    【FUDGEウォーキング部 suppo...
  • サムネイル
    PR
    ポップアップイベント「BROOK...
MORE MORE
サムネイル
PR
レースに花柄、ピンク…春はちょっと新しい服に挑戦してみよう!〈ルミネ池袋〉で見つけたコーデ7選
サムネイル
PR
《Weekend Max Mara》素敵なトレンチコートと愛らしい「パスティチーノ」を抱えて @THE LOCKER
サムネイル
PR
スポーツとデイリーに楽しめる!《ウイルソン》で春服を見つけよう
サムネイル
PR
【FUDGEウォーキング部 supported by Clarks】3/16 (月) 参加者募集!《Clarks(クラークス)》のシューズを履いて、心がときめくカルチャースポット巡りませんか?
サムネイル
PR
ポップアップイベント「BROOKS TOKYO 2026」を体験!春の日差しが降り注ぐ中《BROOKS》の最新シューズを履いてラン
サムネイル
PR
渋谷駅すぐに誕生した3フロアの〈HOKA SHIBUYA〉へ。ランニングシューズ「ボンダイ」「クリフトン」を履いて走った1月開催のイベントをレポート
サムネイル
PR
【3/28,29】FUDGEがルミネ池袋へ!コラボイベント「FUDGE ROOFTOP MARKET」の開催決定
サムネイル
PR
Are you ready for Spring? 春の日差しと《ミルクフェド》
サムネイル
PR
愛着のわく時計を毎日の相棒に。ジュエリーのように楽しめる《スカーゲン》の腕時計がコーディネートに華を添える
サムネイル
PR
【FUDGE RUN CLUB with ハイドレ】サーモスとのコラボランニングイベントを開催!2月28日(土)の参加者募集スタート
サムネイル
PR
大きさがちょうど良いバッグなら!毎日使いたい《ミルクフェド》の”BFF”バッグ5選
サムネイル
PR
おしゃれ上手な人がまとう服。さらりと着るだけで雰囲気整う、韓国発ブランド《ダンスト》が日本初上陸!
サムネイル
PR
こんなメガネが欲しかった!クラシックだけどちょっと個性派な《Reboot(リブート)》のメガネ【もの作りの場を訪ねて|FUDGE dig.】
サムネイル
PR
《ナイキ》オシャレなあの子の足もとは「アストログラバー」。レトロクラシックなスニーカーで3つの冬コーデ
サムネイル
PR
Reboot of a Parisienne パリジェンヌは《リブート》がお好き
サムネイル
こんなコートが欲しかった!クラシックなデザインだけど、機能素材のバルマカーンコート【FUDGE dig.|バルマカーンコートの名品はこちら- 04】
サムネイル
冬はワンピースを1枚で着ない!今日からマネできる重ね着コーデ8選
サムネイル
【2025年クリスマス】予算3000円で贈る。自分では買わないけどもらって嬉しいプレゼント20選
サムネイル
コーデにメガネをプラスしたいなら、ウェリントン一択!間違いのないおすすめ9選
サムネイル
【2025】美容師がおすすめするヘアスプレー8選!髪質や仕上がり別にプロが解説

PRESENT & EVENT

サムネイル

編集部から配信されるメールマガジンやプレミアム会員限定プレゼント、スペシャルイベントへの応募など特典が満載です。
無料でご登録いただけます。