FUDGENA
私の好きな歌に「夜毎募る思いに胸を熱くした日々」という一節がある。
そうそうそれだよそれ、恋ってそういうやつ。
最初はなんでもないただの知人だったのにひょんなきっかけで気になって、気がついたら昼も夜も彼のことばかり。
起きたら昨日よりも好きになっていて、明日はもっと好き。
あぁこのままだとわたし、彼のこと好き過ぎて死んでしまうわ、という恋の魔法。
あなたのことを愛しているのに
恋をして告白をしてデートを重ねて、気がつけば恋人は自分の一部になっている。
寂しいわけじゃないんだよ、愛されていないわけじゃないんだよ。
だけどなんか、何か、忘れてきたらしい。
近くにいるからこそ見えなくなっていくその存在の偉大さ。
あなたのことを想って眠れない日もあったのに、当たり前って怖すぎる。
かと言って愛していないわけじゃない。
あなたのことを思えば気分が晴れて、綺麗な月を見ればあなたに知らせたい。悲しいことがあった夜だってあなたの顔を思い出せば、安心して眠れるんだ。
これが愛じゃないなら、何を愛と呼ぶのだろう。
でもふとした瞬間にあなたの居心地を忘れてしまう。
本当にふとした瞬間に。
もしあなたと出会っていなかったら

もしあなたと出会わなかったら、今頃わたしは色気を振りまいて色んな男の子からデートに誘われて「この世はわたしのためにある」と山本リンダばりに歌って踊っていたに違いない。
そしてある日、運命の人が現れて、そう彼はさりげなくわたしにウインクして運命だと教えてくれる、愛に生きる女へと成長するのだ。
でも実際はそうではない。
もしあなたと出会っていないパラレルワールドに迷い込んでしまったら…………
今回紹介する映画『ラブ・セカンド・サイト』のラファエルのように、もう一度あなたと恋に堕ちようと奮闘するであろう。
あなたともう一度恋に堕ちたくて

【Story】
ラファエルは、小説家を夢見る高校生。
ある日、ひょんなことで出会ったオリヴィアと互いに一目惚れの恋に落ち結婚。それから10年の月日が経つ。
しかし有名小説家になったラファエルはオリヴィアのことを顧みず仕事に没頭していき、ついに二人は、互いの気持ちをぶつけ合う大喧嘩に。
そして翌朝目が覚めると、ラファエルはオリヴィアと出会わなかったパラレルワールドに迷い込んでしまう。
有名小説家だったラファエルは中学校教師に。一方オリヴィアは人気ピアニストになっており、二人の立場は逆転。
元の世界に戻るため、ラファエルはもう一度オリヴィアと恋に堕ちようと奮闘する。
『ラブ・セカンド・サイト』の起点は「一番大切な人に出会わなかったら、人生はどうなっていただろう?」というユーゴ・ジェラン監督の発想から。
恋を忘れて毎日を繰り返す全ての人に考えてほしい最大のテーマ。
「あなたに出会わなかったら、わたしの人生つまらなくなっちゃった。」そう思った瞬間からまたあなたに恋をしている、そんなことを思わせてくれる作品。
パリを舞台に繰り広げられる恋愛映画って、本当にたくさんある。
『ロシュフォールの恋人たち』や『アメリ』、『シェルブールの雨傘』、どれもこれも映像が綺麗で言葉が洗練されていて、いわゆる「ザ・フランス映画」。

『ラブ・セカンド・サイト』も例に漏れず。
わたしが一番美しいと思ったのは、映画序盤で描かれる二人の十年間のダイジェスト。
18歳で出会って28歳になる二人の素晴らしい10年間をダイジェスト形式で見せるという発想。
そして彼らの幸せが伝わってくる映像の切り取り方。
ここで観客は一気に映画の世界観に入り込んでしまう、その仕掛けにあっぱれ。
クラシック音楽の魅力

『ラブ・セカンド・サイト』では美しいクラシック音楽が作品を彩っている。
その中でもラファエルが愛に気づくシーンで使われるショパン作曲『幻想即興曲』がすき。
なぜかって、私のクラシック人生最後の曲がそれだったから。
高校の時に、音楽の先生がCD片手にオーディオの前でこの曲について話したのを覚えている。
「ショパンはあくせくした忙しい毎日の中で、美しい故郷の風景の幻想を見る。しかし、その幻想は完結しないまま忙しい毎日に飲み込まれていってしまう。ショパンはその後、故郷に帰れないまま生涯を終える。それを知っていたかのように、この曲を作られているんだ。」
中盤に演奏される幻想部分は、なんと美しいメロディなんだろうと思った。誰もが一度は聴いたことのある旋律。愛を感じるその音色。空想の世界に浸ってしまうその響き。
でもこの幻想部分は、楽譜上では完結しないまま終わってしまう。
“ファーミミーレ“とならずに“ファーミミー“でおわる。ここにショパンは叶わぬ思いを表現しているのかもしれない。
その説明を聞いてから、聴いたら思わず涙が溢れてきてしまったそんな高校生の日を思い出してしまった。
しかし『ラブ・セカンド・サイト』ではちゃんと完結してる。
何度聞いても“ファーミミーレ“とちゃんとレの音が存在している。
あれ、間違いかな、それともわざとかな。
私の妄想は広がっていくばかり。
クラシック音楽が好きな方にもおすすめしたい作品です。
もう一度あなたに恋をして
そんな簡単にできることじゃない。
あなたはもう家族のような存在で、今からもう一度恋なんて。
でも、もしこの人生であなたに出会っていなかったら今の私は存在しない。
私を知らないあなたがいるパラレルワールドに迷い込んだら、きっと私はあなたを探して見つけるだろう。
私が知ってるあなたじゃなくても、ただもう一度目を見つめて欲しくて。
恋が利己的なら、愛は犠牲。
よく聞くけど、あなたとならそれを本当の意味で知ることができると信じている。
解説『ラブ・セカンド・サイト』

監督は『あしたは最高の始まり』のユーゴ・ジェラン。
主人公ラファエル役には今後の活躍が期待される俳優に送られるショパール・トロフィーを受賞したフランソワ・シビル。
ヒロインのオリヴィア役にはジョセフィーヌ・ジャピ。彼女はこの作品のためにピアノのレッスンを受け、ピアニスト役として真摯な姿勢で挑んだ。女優としてここだけはゆずれなかったという彼女の熱量が、この映画をさらに輝かせている。
ラファエルの親友役には喜劇俳優のバンジャマン・ラヴェルネを起用。彼のポップなキャラクターはこの作品のアクセントとなり、ただの恋愛映画では終わらせない魅力を兼ね備えている。
『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』は2021年5月7日(金)全国順次ロードショー中。お見逃しなく!
監督:ユーゴ・ジェラン『あしたは最高のはじまり』
出演:フランソワ・シビル、ジョセフィーヌ・ジャピ、バンジャマン・ラヴェルネ
配給:シンカ 提供:シンカ、フラッグ、ハピネット
公式サイト: love-second-sight.jp
Twitter/Instagram : @livesedondmovie #ラブセカ


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