出典：トラッドなチェックのスカートにAラインコートを合わせればグッドガール風、ジャージを着ればきれいめストリートスタイルに。【マイスタンダードブック】

連載『お洒落さんのためのファッション用語辞典』では、トラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。第72回目は「トラックジャケット」のルーツを探ります。この連載を読んでファッション用語の背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし！

 

【用語解説】まずは「トラックジャケット」を知ろう。

出典：トラックジャケットとガーリーなスカートは好相性！【本日のFUDGE GIRL-9月29日】

「トラックジャケット」とはスポーツ用のトレーニングウェア、あるいはトレーニングウエアにインスパイアされたジャージー素材のジップアップトップスです。日本では「ジャージ」あるいは「ジャージー」と同義で使われますが、厳密にいえば、「トラックジャケット」はアイテム名、「ジャージ」は生地名。 「ジャージ」「ジャージー」は柔らかく伸縮性のあるニット生地の名称です。

トラックの運転手が好んで着ていたから「トラックジャケット」という説が語られることもありますが、陸上競技場の「トラック」が語源で、アスリートがユニフォームの上などに着用していたことから「トラックジャケット」と呼ばれるようになりました。ファッションアイテムとして浸透してからは、ジャージー素材のみならず、ナイロン素材、光沢のある素材、スウェット素材などの「トラックジャケット」も登場し、浸透しています。

 

【歴史】ヒップホップアーティストや《アディダス》がきっかけでファッションアイテムに昇華

出典：ピンクのトラックジャケットでカジュアルレディスタイルに【本日のFUDGE GIRL-10月16日】

もともとアスリートのための上着だった「トラックジャケット」がファッションアイテムとして認知されるようになったきっかけは《アディダス》だと言われています。《アディダス》は昔から、トップアスリートたちからの信頼も厚い、スポーツウエアブランドとして知られていて、代表的なアイテムとして、「トラックスーツ」と呼ばれるジャケット＆パンツがあります。そのジャケットが「トラックジャケット」です。

1980年代に、《アディダス》製の「トラックジャケット」をRun-D.M.Cなど海外のヒップホップアーティストが着てメディアに登場したことがきっかけで、当時の若者たちが《アディダス》の「トラックジャケット」に飛びつき、瞬く間に人気となりました。その後も、ジャミロクワイが着用したり、映画や音楽シーンで「トラックジャケット」や「トラックパンツ」が採用されたりしたことで、いまでは競技シーンよりもファッション界で目にすることが多くなっています。

 

【雑学】ケンダル・ジェンナーは「トラックパンツ」にパンプスを合わせることで大人っぽさを実現

「トラックジャケット」だけでなく「トラックパンツ」と上下そろいで着る「トラックスーツ」=ジャージ的なイメージがあったのは今は昔。それはケンダル・ジェンナーのこの着こなしを見ると納得です。

「トラックスーツ」自体も《クロエ》のものとファッショナブルですが、さらに《ジバンシィ》のバッグを持ち、ポインテッドパンプスを合わせて、きれいめを意識。彼女にならうのなら、小物合わせだけでなく、ぜひ「トラックジャケット」の裾の折り返しを多めに、「トラックパンツ」は腰履きにして、肌見せをはかる着こなしも参考にしてみて。大人っぽく品よく、着映え度抜群の「トラックパンツ」スタイルが完成します。

 

監修：朝日 真（あさひ しん）

文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。

 

illustration_Sakai Maori
edit & text_Koba.A

 

• 
• 
• 
•