FASHION
出典:アーガイル柄のニットにグリーンのソックスがポイント【本日のFUDGE GIRL-10月22日】
連載『お洒落さんのためのファッション用語辞典』では、トラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。第18回目は「アーガイル」について。どこで生まれ、どのようにして世界じゅうに広まっていったか、その歴史をひも解きます。この連載を読んでファッション用語の背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし!
Index
【用語辞典】
まずは「アーガイル」を知ろう
「アーガイル」はひし形を連続させた格子柄をさし、交差する対角線で二等分されたダイヤモンドが重なった模様です。ジャカード編み機によって編まれ、セーターやソックスなどによく用いられ、アイビー・ルックやトラッドスタイルのキーアイテムとして名が挙がります。アーガイル・チェック、また日本ではそろばん柄と呼ばれることもあります。
【歴史】
「アーガイル」はスコットランド・キャンベル家の‟家紋”⁈
そもそも「アーガイル」とはスコットランド西部の旧・州名です。現在「アーガイル」として親しまれている格子柄は、そのスコットランド州のアーガイルシャーに根付いた大氏族キャンベル家(Campbells of Argyle)が使用していたハウスタータンチェック(日本で言う家紋のようなもの)に由来しているという説が有力視されています。
そもそもキャンベル家の人々がまとっていたこの「アーガイル」が、その他のタータンチェックがそうであったように、伝統柄としてスコットランドやイギリスに広まっていき、そのうちソックスやセーター、ゴルフウェアなどに多く起用されるようになります。
この「アーガイル」が英国以外にも知られるきっかけを作ったのはアメリカの《ブルックスブラザーズ》なのだとか。1949年、当時のブルックス ブラザーズの社長であったジョン・C・ウッドが、友人のゴルファーが履いていた柄入りの手編みソックスに惚れこみ、スコットランドの工場にそれに似たロングタイプのソックスの製造を依頼したそうです。これが1952年に発売されると、たちまち当時《ブルックス ブラザーズ》を愛用していたアメリカのリッチ層が飛びつきます。
アイビー・ルックやトラッドスタイルに欠かせないアイテムとしてアーガイル柄のソックスがピックアップされるのにはこうした経緯があり、その後主にアメリカを経由して日本をはじめ世界中に「アーガイル」が知られることとなったと思われます。ちなみに当時は英国やスコットランドの伝統柄らしく、アーガイル柄のアイテムにはツイードのアイテムを合わせるよう説明がされていたようですね。
アイビー・ルックやトラッドスタイルを好む人々の定番となった「アーガイル」ですが、一方1970年代には英国で流行したパンクファッションにも取り入れられたことがありました。たとえばパンクファッションの仕掛人でもあるデザイナーのヴィヴィアン・ウェストウッドやマルコム・マクラレンがその立役者。
最近ではスクールスタイルにも取り入れられることがあり、そもそもはスコットランド氏族や英国やアメリカの紳士の御用達だった「アーガイル」もいまでは国も性別も超えて愛される定番柄となっています。
出典:アーガイルチェック風のグラフィカルな織地がかわいい《マルコモンド》のソックスをボトムの裾から覗かせて【FUDGE GIRLのためのアクセサリークリップス】
【雑学】
本場を気取るなら、アーガイルをファッションに取り入れて自転車に乗ろう
2009年にイギリスでスタートした「ツイードラン」は、ドレスコードであるツイードアイテムを着て自転車で街を駆け抜けるイベントで、いまでは日本、フィレンツェ、シドニーなど世界各国でも開催されるほどポピュラーな存在として知られています。この「ツイードラン」の会場でしばしば見られるのが、7分丈のパンツ(ニッカーボッカーズ×アーガイル柄ソックスを組み合わせる英国の伝統的ゴルフスタイル。これにハンチング帽をかぶれば完璧!英国トラッドスタイルの参考にチェックしてみてはいかが?
監修:朝日 真(あさひ しん)
文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。
illustration_Sakai Maori
edit & text_Koba.A
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