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連載『お洒落さんのためのファッション用語辞典』では、トラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。第17回目は「キルトスカート」について。どこで生まれ、どのようにして世界じゅうに広まっていったか、その歴史をひも解きます。この連載を読んでファッション用語の背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし!

 

【用語解説】

まずは「キルトスカート」を知ろう

「キルトスカート」とはスコットランドの伝統的な男性用衣装のこと(この民族衣装そのものをさす場合、正しくは「キルト」、この記事では「キルトスカート」とします)。膝あたりまでの丈の、プリーツ入りの巻きスカートのようなデザインで、タータンチェック柄のウール地が採用されています。

 

【歴史】

腰回りを覆う大判の布のようなものから世界中に知られるトラッドアイテムとなるまで

確かなことはわかっていませんが、古くは1300年代後半までさかのぼると言われています。そもそもはスコットランドの高地(山岳地帯)で発祥し、その地域に住む人々や、それ以外にも軍人のたちの正装とされていたものです。

当時はタータンチェック柄の大きな布に複雑にプリーツを寄せながら畳んだ状態で腰に巻きつけ、ベルトやピンで留めていたようです。丈が膝上10cmくらいになるように腰まわりを多い、余った部分は防寒の意味で下にたらしたり肩にかけたり、あるいは就寝時の毛布として使われたりしていました。このスタイルはゲール語(インド・ヨーロッパ語族のケルト語派に属する言語。スコットランドやアイルランド、ウェールズ、イギリスのマン島 〈事実上絶滅〉 各地で異なる発達をしてきている)で「フェーリア・モール」と呼ばれています。

 

その後18世紀前半からはあらかじめプリーツを縫いつけてあり、わざわざプリーツを寄せる必要がなく、余り布も出ない、いわゆるスカート風の「キルト」、「フェーリア・ベック」が流通しはじめます。着用が簡単なことから、この「フェアリー・ベック」急速に普及したと言われています。丈も、当初は当初10cmくらいだったものが、その後は膝頭くらいのものに変化していきました。

現在は後者「フェーリア・ベック」が一スコットランド内でも定番で、高地、低地、老若男女にかかわらず、慶事や祭事の際に広く装われています。

 

 

さらにはたとえばFUDGE GIRLにもおなじみのブランド、アイルランドの《O’NEIL OF DUBLIN(オニール・オブ・ダブリン)》のように、古くから「キルトスカート」を扱っていた老舗が、1950年代あたりから製品としても「キルトスカート」を生産し始めたことが、「キルトスカート」がファッション化する契機になったと思われます。

気づけば「キルトスカート」はスコットランド伝統のアイテムとして世界中で知られる存在となり、いつしか日本でも英国トラッドアイテムの定番として(スコットランドは英国の一部です)欠かせない存在になっていきました。

 

出典:ドレスコードは”Feel BLUE” 大人ガーリーなキルトスカートを主役に!【ホリデーサーカスまであと5日】

 

出典:コートのレイヤードでまた違った雰囲気に【“アウトドア”ガールの着まわし31days】

 

【雑学】

「キルトスカート」の歴史や進化を見ることのできるおすすめ海外ドラマシリーズ『アウトランダー』

『アウトランダー』はシーズン5まで制作され完結している、スコットランド高地を背景にした英米合同製作ドラマ。1945年夫とスコットランドの高地(ハイランド地方)で休暇中の看護師クレア(カトリーナ・バルフ)が途中夫婦で訪れたストーンサークルで、ひとり200年前にタイムスリップしてしまうというストーリーです。

壮大な自然の美しさに加え、時代や場所で異なる「キルトスカート」スタイルは必見。このなかで伝統的な「フィーリア・モール」や、戦地で「キルトスカート」を履いた兵士の姿などから、FUDGE GIRLの定番、英国トラッドのインスピレーションを得ることもできるのではないでしょうか。

 

 

監修:朝日 真(あさひ しん)

文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。

 

illustration_Sakai Maori
edit & text_Koba.A

 

 

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