FASHION
連載『お洒落さんのためのファッション用語辞典』では、トラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。第14回目は「ブレザー」について。どこで生まれ、どのようにして世界じゅうに広まっていったか、その歴史をひも解きます。この連載を読んでファッション用語の背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし!
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【用語辞典】
まずは「ブレザー」を知ろう。
出典:アメトラの代名詞ブランド『Brooks Brothers(ブルックス ブラザーズ)』のシングルブレザー
「ブレザー」とはテーラード(背広)型でダブル(4つボタン)またはシングル(2~3つボタン)・ブレストのカジュアルなジャケットの総称。ボタンは主に金属製のメタルボタンです。両脇にパッチポケットがあって、しばしば左胸にポケット、ほかにもエンブレムがついているものもあります。裏地がない一重仕立てで、後ろ中心に縫い目がない仕立てになります。
【歴史】
イギリスでスポーツに親しむ学生たちの定番だったジャケットにルーツを持つ
ルーツをたどっていくと、学生用、とくにスポーツをたしなむ学生のユニフォームだったジャケットに行き着くと言われています。そのジャケットが「ブレザー(正しくはブレイザーと発音)」と呼ばれるようになったきっかけについて、最も有力なのは、英国のケンブリッジ大学のセント・ジョーンズ・カレッジのレディ・マーガレット・ボートクラブが着用した真っ赤な上着が炎(ブレーズ)のように見えたからという説。それとは別に英国軍の軍艦、ブレザー号の紺色のユニフォームジャケットに由来する説なども伝えられています。
いずれだったとしても、後にアイビーリーガーたちがその普遍性と気負わないスポーティ感が両立されたデザインに魅了され、Myベーシックとして愛用したことから、トラッドブームと共に世界的に広まっていきました。
特に日本では中学校や高校の制服としてもなじみがありますが、それもまた英国の大学生やアメリカのアイビーリーガーたちのユニフォームを参考にスダンダードになっていったのかもしれませんね。
【雑学】
1990年前後にはトレンディドラマの主役たちがこぞって袖を通した
国内では1960年代~70年代にかけてアイビールックやプレッピースタイルが流行したことで、「ブレザー」が広く知られるようになりました。けれども「ブレザー」が普遍的アイテムであることや、上質なカジュアルであると人々があらためて認知するのを後押ししたのは、1990年前後にTV放映されたいくつかのトレンディドラマであったと言っても過言ではありません。当時、街は渋カジ(渋谷カジュアル)やキレカジ(きれいめカジュアル)といった、アイビールックやプレッピーを彷彿とさせるファッションが一大ブームになっていたころ。ドラマの劇中でもそういったファッションを纏った主役たちが登場し、注目を集めていました。
なかでもいまだに語り継がれているのが、同じ大学のボート部に所属していた同級生たちの卒業後を描いた『愛という名のもとに』と、地方から東京の広告代理店に就職した若者とその同僚のラブストーリーを描いた『東京ラブストーリー』の2つの作品。両作品に同じ女優がメインキャラクターとして出演していたこともそうですが、主人公たちの私服として、紺の「ブレザー」が頻繁に登場したことも共通していました。
ファッション誌はこぞって‟紺ブレ”を取り上げ、ドラマ内のファッションを通じて‟紺ブレ”コーディネートを提案。あのころ、多くの人がワードローブに一着は「ブレザー」を備えていたのではないでしょうか。
ドラマ内のスタイリングは、上のイラストのようなイメージ。ドラマが放映されていた時期からさかのぼること20年~30年前に世を席巻したアイビールックやプレッピーと大差ないのが「トラッドアイテム」らしいところです。ブレザーを軸に何を着ようかと考えると、自然にチノパンやチェック柄のスカート、ローファーなどと言ったアメリカンカジュアルなアイテムに手が伸び、その結果、アイビールックやプレッピーに通じるスタイルに落ち着くといったところなのかもしれません。
それは2020年代に入っても変わりません。FUDGE GIRLたちもほら……。
出典:真面目なジャケットにスポーティな味付けを【“ジャケット”ガールの着まわし29days】
出典:連休の最終日は気分も着こなしもON!【“チェック”ガールの着まわし30days】
こうして「ブレザー」について過去から現代に至るまでを見てみると、「ブレザー」ひいては「トラッドアイテム」は永遠だということがあらためてよくわかります。
監修:朝日 真(あさひ しん)
文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。
illustration_Sakai Maori
edit & text_Koba.A
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