FASHION
出典:メンズのB.D.シャツを上品に着こなす【本日のFUDGE GIRL-7月4日】
連載『お洒落さんのためのファッション用語辞典』では、トラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。第11回目は「ボタンダウンシャツ」について。どこで生まれ、どのようにして世界じゅうに広まっていったか、その歴史をひも解きます。この連載を読んでファッション用語の背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし!
Index
【用語解説】
まずは「ボタウンダウンシャツ」の意味を知ろう
ボタウンダウンシャツとはシャツの襟の先を前身ごろにボタン留めするスタイルのシャツのことです。ドレスシャツと比較するとスポーティ、かつカジュアルな雰囲気を持ち、トラッド、アイビースタイル、プレッピースタイルなどに欠かせないアイテムのひとつとして知られています。
【ボタンダウンシャツの歴史】
トラッドの源流であるあのブランドが「ボタンダウンシャツ」の生みの親
「ボタンダウンシャツ」が世界じゅうに広く知られるきっかけを作ったのは、アメリカの《ブルックスブラザーズ》です。
1896年、《ブルックスブラザーズ》はイギリス発祥のスポーツ「ポロ」のプレーヤーが着ていたシャツからヒントを得て、「ポロカラーシャツ(後のボタンダウンシャツ)」を企画、商品化しました。このころ《ブルックスブラザーズ》と言えば、アメリカ国内ではリッチ層が日常的に袖を通すトップブランドというポジション。当然ながら後にアメリカン・トラディショナル、トラッドスタイル、プレッピーなどと呼ばれ流行することになるファッションをまとう、アイビーリーグに通う大学生やプレップスクールの学生たちにとっても、《ブルックスブラザーズ》のアイテムは欠かせないものでした。そのため彼らのファッションに憧れたおおぜいの人々にとって《ブルックスブラザーズ》も羨望の対象であり、《ブルックスブラザーズ》がリリースする、襟羽が緩やかな曲線を描く「ロールドボタンダウンシャツ」がアメリカの「スタイル」を物語るアイテムのひとつとして掲げられるようにになるのにそう時間はかかりませんでした。
そもそもきちんと感とカジュアル感がともにそなわり、着心地のいい「ボタンダウンシャツ」です。誰もが手を出しやすかったこともその流れを後押ししたと言えるかもしれません。1960年代以降日本国内でもアメリカから伝わってきたいくつかのトラッドスタイルが流行したのにともなって、「ボタンダウンシャツ」がトラッドスタイル、アイビールックやプレッピー、アメカジファッションを作るのにマストなアイテムとしても広く浸透していきました。
ひとつまことしやかに語り継がれる面白いエピソードがあります。
アイビーリーグの名門ハーバード大学出身の第35代大統領ジョン・F・ケネディが私生活以外では、「ボタンダウンシャツ」を決して着なかったというのです。なぜなら上に書いたとおり、はじめ「ボタンダウンシャツ」はリッチ層を象徴するアイテムであったから。もし大統領選挙中にもケネディが「ボタンダウンシャツ」を着てしまうと「スノッブ、エリート意識を持った大統領候補だ」と大衆から反感を買ってしまうことになりかねず、選挙参謀がケネディに「ボタンダウンシャツ」を着ないようにアドバイスしたと言われています。
60年代当時の「ボタンダウンシャツ」がどのようなポジションにあったのかがよくわかるエピソードですね。
【ボタンダウンシャツのいま】
トラッドにこだわりすぎない着こなしが鮮度を上げるカギ
今回は「ボタンダウンシャツ」をトラッドど真ん中なスタイル以外で取り入れた着こなしをご紹介。ベーシックなアイテムだからこそ、どんなファッションにもすっとなじんでしまうのが「ボタンダウンシャツ」のすごいところ。1枚持っていると長く着ることが着続けることができるので、ワードローブに備えておきたい推しアイテムです。
出典:上品なアイテムを絶妙なゆるさで着こなす心地いいコーデ【本日のFUDGE GIRL-7月16日】
きちんと感をプラスするのに使う
カジュアルなパンツに合わせてボタンダウンシャツを着ると、きちんと感をトッピングできてきれいにまとまります。もちろん手にはトートバッグを持って。「ボタンダウンシャツ」とトラッドな雰囲気がリンクして、いっそうファッションをわかっている感じが漂うので試してみて!
出典:ホワイトとブルー、爽やかな色バランス【本日のFUDGE GIRL-7月7日】
あえてボタンをはずして着る
「ボタンダウンシャツワンピース」にジャケット感覚でメンズシャツを重ねる爽やかなレイヤードスタイル。シャツの襟もとのボタンを外してラフに着こなすのがポイント。セオリーにとらわれないところに、今っぽさが香ります。
監修:朝日 真(あさひ しん)
文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。
illustration_Sakai Maori
edit & text_Koba.A
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