FASHION

出典:新しい生活様式のためのMyエッセンシャル。ペットボトルをリユースしてデザインされた《アニヤ・ハインドマーチ》のテクノロジーケース【FUDGE GIRLのためのアクセサリークリップス】

 

『お洒落さんのためのファッション用語辞典』がリスタート! この連載ではトラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。第6回目は「ジージャン」について。どこで生まれ、どのようにして世界じゅうに広まっていったか、その歴史をひも解きます。この連載を読んでファッション用語の背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし!

 

【用語解説】

まずは「ジージャン」の正しい意味を知ろう

ジーン素材でできた腰あたりまでの丈があるジャンパー、上着のことをさします。本来はシングルの前開き、シャツカラー両脇にパッチ&フラップポケットが、カフスには金属製のボタンがついているといった特徴があります。ジーン+ジャンパーを略した呼称。デニムジャケットとも同義です。

 

 

【ジージャンの歴史】

ジーンズとおなじく金山労働者のワークスタイルにルーツあり

「ジージャン」のルーツは1880年代に《LEVI’S(リーバイス)》が手がけた「リベティッド(リベットで補強した)ブラウス」だとする説が有力です。「ジーンズ」の記事でも言及しましたが、金山労働者たちの要望にこたえるかたちで彼らの作業着にとリベットで補強したジーンズ(デニムパンツ)を生み出した《リーバイス》。その上着として同時期に作られたのが「ジージャン」だと言われています。その後、現存する1905年製のデニム・ブラウス506XX、通称「ファースト」タイプ、1953年製の507XX、通称「セカンド」タイプへと受け継がれていきます。

 

【雑学】

あなたは「ジージャン」派? それともトラッカージャケット派?

ここ数年でFUDGE世代のお洒落さんたちのなかには「ジージャン」のことを‟トラッカージャケット“と呼ぶ人が増えつつあるようです。もともと英語圏では「ジージャン」とは言わず、‟トラッカージャケット”という呼び名がスタンダードではあるのですが、ではなぜ‟トラッカージャケット“と呼ばれているのでしょうか? それは《リーバイス》がリリースした「ジージャン」の第3世代、通称「サード」タイプに秘密があります。


出典:「WORLD SNAPレトロなパンツにオーバーサイズなデニムジャケットでガーリーに」

 

1950年代後半から1960年代前半にかけて、若者たちのあいだでジーンズがワークウエアとしてではなくファッションアイテムとして見られるようになっていったのと並行して、「ジージャン」への注目度もじわじわと上がっていきました。そこで《リーバイス》が着手したのが既存の「ジージャン」のモデルチェンジ。「ジージャン」のファッション性をいっそう高めることで、これまで以上にひとびとに浸透するのをねらったのでしょうね。そうして誕生したのが1962年から5年間だけ製造されていた第3世代の557XX、通称「サード」タイプです。

 

この「サード」タイプですが、あらゆる「ジージャン」のルーツになっているとも言われています。もっとも特徴的なのは前身ごろのV字切り替えです。それ以前はプリーツで立体感を出していたところ、このV字切り替えによってより自然な立体感を出すようになったのはこの「サード」タイプから。そこにホームベースのような形をしたフラップ(ふた)つきの胸ポケットがリンクする「ジージャン」は、いまでこそどのブランドのものでもよく見られますが、もともとはこの「サード」タイプから始まったデザインです。そしてくだんの「サード」タイプは《リーバイス》の思わくどおり、大流行。たちまち学生だけでなく農夫やミュージシャン、トラック運転手らまで広く着用するようになったことから、‟トラッカージャケット“と呼ばれるようになっていったそうです。

ちなみにこの「サード」タイプの流行を受けて、その後、ジーン素材のみならずレザー、リネン、コットン……あらゆる素材の‟トラッカージャケット”が続々誕生。そんなことからいつのまにか‟トラッカージャケット”といえば「ジージャン」のみではなく、異素材のものまでさして使われています。

 

ただ日本国内では事情がちょっと異なるようです。近年ヴィンテージクローズやアメカジ人気の再燃にともなって、日本国内では「ジージャン」がふたたび脚光を浴びる機会が増えましたが、せめて呼び名だけでも換えることで鮮度を上げたい気持ちがどこかで働いたのか、「ジージャン」のみをさして‟トラッカージャケット”と呼ぶ人がほとんどです。

 

【アイドルとジージャン】

ボーイズグループの衣装として採用されることも多い「ジージャン」

たとえば古くは昭和から平成に時代が移り変わるころに一世を風靡した日本の男性アイドルグループ。最近では世界中で人気の韓国のヒップホップグループまで、複数の男性メンバーで構成されるグループの衣装に「ジージャン」が採用されることは少なくありません。

「ジージャン」にはカジュアル感とリラックス感があり、広く誰もが袖を通しやすいアイテムです。そんな「ジージャン」を着ていれば、ファンは彼らに親近感を覚えやすくなりますよね。加えて、ストリート感や不良っぽさ、かっこよさも漂い、それがまたファンのハートに刺さるのかも……? でもそのままだとちょっと物足りないので、デコったりリメイクしたりして、アイドルのキラキラとした存在感を演出している、そんなふうに思いませんか?

 

 

監修:朝日 真(あさひ しん)

文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。

 

illustration_Sakai Maori
edit&text_Koba.A

 

 

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