CULTURE & LIFE
毎週テーマに合わせて、「アーティスト」が選曲したプレイリスト、いつの時代も色褪せない「名盤」、そして注目の「新曲」をお届けする、連載《火曜日のプレイリスト》。
今週はD.A.N.の新曲「Bend」と「Elephant」(8月中旬配信リリース予定)についてインタビューをお届け!最終週となる今回もテーマに合わせて、ドラムの川上さんが曲をセレクトしてるので、お見逃しなく!→これまでの記事はこちらよりチェック

《D.A.N.》市川仁也(左:Ba)、川上輝(中:Dr)、櫻木大悟(右:Gt,Vo,Syn)
エレクトロやR&B、ロックなど、様々な音楽性を融合させて、磨き抜かれたサウンドとグルーヴで人気を集めてきたD.A.N。〈ジャパニーズ・ミニマル・メロウ〉とも呼ばれるそのユニークな音楽性について、ニュー・シングル『Bend/Elephant』を中心に話を訊いた。
想像力をかきたてる余白
ーーD.A.N.のサウンドは〈ジャパニース・ミニマル・メロウ〉と紹介されたりもしますが、音数を絞って、曲に余白があるミニマルな音作りが特徴的ですね。
川上「3人とも性格的に〈わーっ〉って盛り上がるタイプじゃないから、自然に音数が少なくなるのかもしれないですね。ビートに関して言えば、いろいろ展開するより繰り返しの方が好きなんです。そのほうが僕は気持ち良い」
市川「余白っていうのは日本人が持っている美意識のひとつだし、聴く人の想像力を掻き立てると思うんですよ。それに音数が11から12に増えるより、2つから3つに増える方が増えた感じが伝わるじゃないですか。だから、音数が少ない方が効率的なんですよ」
川上「それ、めちゃくちゃわかりやすいね。〈本当に必要なのか?〉って考えていくと自然に音は減っていくし、そうすることで音に説得力が出て来ると思うんですよ」
ーー最近のポップスは展開が凝っていたり、音の情報量が多かったり、リスナーを力でねじ伏せるような曲が多いですよね。
櫻木「そうですね。音数が多いと聴き手は受け身になってしまう。聴き手が想像する余白が必要だと思うんですよ」
ーー櫻木さんのヴォーカル・スタイルも想像が膨らみますね。歌詞がはっきり聴き取れる時もあれば聴き取れない時もあって、曲の中でイメージが浮かんでは消えるような独特の歌い方です。
櫻木「僕は基本的に、何を言ってるかわかんなくていいと思ってて。歌って、声だけである程度伝わると思うんです。僕自身、英語の歌を聴いている時に、何を言っているかわからなくても気持ちは伝わってくる。歌詞で人を感動させようと思ったことは一度もないですね」
ーー確かに声の強弱やニュアンスで感情って伝わってきますよね。
櫻木「そうやって本能的に伝わるもののほうが、言葉よりも大切な気がするんですよ」
異国の匂いがする音楽
ーーなるほど。D.A.N.の音楽は聴き手のイマジネーションを刺激する音楽だと思います。最近出たばかりのニュー・シングル『Bend/Elephant』について伺いたいのですが、まず「Bend」はどういったイメージで作られた曲なのでしょうか。
櫻木「この曲は、これまでとは違ったアプローチで作りました。これまではスタジオで練り上げて、ある程度、形になったものを清書するような感じでレコーディングしていたんです。〈Bend〉はメロディーだけあって、それをもとにまっさらな状態からスタジオで作っていったんです。その場で偶然生まれた音とか思いつきを、うまく取り入れることができたと思います」
ーーヴォーカルの入れ方がユニークですね。
櫻木「そこは結構こだわりました。歌声がどういうふうに曲に入ってくるか、どういうふうに聴こえるかっていうことに、いろいろトライしたいと思ったんです」
ーー一方、「Elephant」はアフリカっぽいビートが印象的な曲です。
川上「最初はこういうビートじゃなかったんですよ。大悟が遊びでドラムのトラックのBPM(ビートの速度)を落としたら、変な質感で面白くなったから〈これでいくか〉ってなって。改めて、そのBPMでドラムを叩いて録音したんです」
市川「もともと作っていたビートはもっと速くて元気良かったんですけど、それを遅くしたことで明るいんだか暗いんだかわかんない独特の雰囲気になった。それが面白かったんです」
ーーあと、この曲はヴォーカルを前に出さず、楽器のひとつみたいに聞こえるミックスになっていますね。
櫻木「自分の声じゃないようにしたかったんです。イメージとしては亡霊の囁きみたいな感じ。タイに地獄寺っていうところがあるんですけど、そこには〈こういうことをしたら地獄に堕ちるぞ〉という行為が、変なオブジェにしてあるんです。その〈ポップな地獄〉みたいなイメージもありました。僕は異国の匂いがするものが好きで、そういう曲を作ってみたかったんです」
ーー確かにエキゾチックな曲ですね。このシングルはライヴ会場限定で販売されるとか。どうして、一般販売しないんでしょうか。
櫻木「今って配信とかで簡単に曲が聴けるじゃないですか。だから、すごいスピードで曲が消費されていく。でも、ライヴに行って買ったCDは記憶に残ると思うんですよ」
ーーライヴの思い出になりますよね。あと、そこにしか売ってないCDがあると思うと、ライヴを観に行く楽しみも増えるし。
櫻木「そうですね。ライヴに来てくれるお客さんを大事にしたいっていう気持ちもあるんです。今回のシングルは限定盤なので、なくならないうちに是非、遊びに来てほしいですね」

ライヴ限定販売したシングル『Bend/Elephant』
夏の夕日を眺めながら聴きたい
D.A.N.のドラム 川上さんが「夏の夕日を眺めがなら聴きたい」をテーマにプレイリストを教えてくれました!

《D.A.N.》市川仁也(手前:Ba)、櫻木大悟(中:Gt,Vo,Syn)、川上輝(奥:Dr)
select:Daniel Caesar 『SUPERPOSITION (feat. John Mayer)』
散々遊んで、疲れた夕暮れ時ぐらいのテンションで聴きたい【choose:D.A.N.市川】
「たぶん、カナダのシンガーだと思います。この曲はジョン・メイヤーと一緒にやっていて、最初、ビートがないんですけど、ビートが入って来るタイミングとか、メロディーの感じとか、グッとくるものがあるんです。声も良いんですよね。僕の好きな声で、なんか儚いというか、危うい感じ。聴いてて夕陽が浮かんできます。オレンジっぽいんですよ、全体的に。この曲が入っているアルバム『Case Study 01』も全体的にテンションは高くなくて、ミドルテンポな感じが多いんで、アルバム自体が選曲のテーマにあってるかもしれない。夏で「うわーっ」って盛り上がる感じじゃなく、遊び疲れた夕暮れ時ぐらいのテンションの曲ですね。」

photograh_Kobayashi Mariko
《D.A.N.》2014年、櫻木大悟(右:Gt,Vo,Syn)、市川仁也(中:Ba)、川上輝(左:Dr)の3人で活動開始。様々なアーティストの音楽に対する姿勢や洗練されたサウンドを吸収しようと邁進し、いつの時代でも聴ける、ジャパニーズ・ミニマル・メロウをクラブサウンドで追求したニュージェネレーション。D.A.N.がRemixを手掛けたUKのエレクトロポップバンド”Elder Island”の新曲が配信中!Elder Island 『 Kape Fear (D.A.N. remix)』https://orcd.co/
「夏の夕日を眺めがなら聴きたい」をテーマに、いつの時代も色褪せない「名盤」をお届け!
select:Everything But the Girl 『Each and Everyone』
夕陽が似合うメロウなボッサ・ナンバー。二人の愛のはじまりかも
エヴリシング・バット・ザ・ガールは、イギリスのインディー・シーンで活動していたミュージシャン、ベン・ワットとトレイシー・ソーンが、一緒にシングルを作ったことで意気投合して結成したユニット。83年にリリースされた『Eden』は、二人の記念すべきデビュー・アルバムだ。リリース当時、世間ではシンセを使った派手な音作りが流行だったが、彼らはアコースティックな楽器を使って、ジャズやボサノヴァを取り入れたオシャレなサウンドで注目を集めた。なかでも、シングル曲「Each And Every One」は、夕陽が似合うメロウなボッサ・ナンバーだ。ベンとトレイシーはエヴリシング・バット・ザ・ガールを続けて2009年に結婚。このアルバムは、二人のラヴストーリーの始まりといえるかもしれない。
FUDGE.jpが「Pick up」する、注目のアーティストの新譜を紹介!
select:South Penguin 『aztec』
トロピカルなムードで、どこかシュールなポップ・センス。不思議な世界観を堪能して
2016年に発表したデビューEP「Alaska」が話題を呼んで、ライヴ経験がほとんどないなかでフジロックに出演を果たしたサウス・ペンギン。東京のインディー・シーンで注目を集めるなかで8月2日にファースト・アルバム『ワイ』を発表されたばかりだが、そこに収録されているのが新曲「aztec」。ゆったりしたギター・サウンドと甘いメロディーは、トロピカルなムードを漂わせながら、どこかシュールなポップ・センスを感じさせたりも。男女の三角関係を描いたミュージック・ビデオからも、サウス・ペンギンの不思議な世界観が伝わってくる。アルバムは「美しさ」がテーマになっているらしいが、果たして彼らが感じる美しさとは? この曲を聴いて気になったら、アルバムもチェック!
text_Murao Yasuo
Design_Koinuma Kenichi
edit_Takehara Shizuka
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