CULTURE & LIFE

都内の喧騒から切り離されたような静けさが広がる、築古マンションの屋上。ここが、松下さんの暮らしの舞台のひとつです。建築家とともに作り上げた真っ白な空間は、時間や天気によってさまざまな表情を見せ、訪れるたびに新しいインスピレーションを与えてくれます。
バルコニーで過ごす、自然と時間の変化

20㎡のワンルームは、視界を遮る建物がなく、ぐるりと広がる空と街並みを独り占めできる特別な場所。メインの自宅とは別に、「自分のためだけの部屋を持ちたい」との思いから借りたこの部屋は、改装も転貸も自由という稀有な条件の物件でした。

部屋の面積をはるかに超えるルーフバルコニーが、この住まいの象徴のひとつ。初めて訪れた日、松下さんが心を奪われたのも、この場所からの眺めでした。
「360度視界が抜けていて、駅からすぐの立地とは思えないんです。」「高層ビル群やネオンも見えるし、足元には公園の緑もある。都会の夜景と自然の両方が見渡せるのは贅沢だなって」

春は隣の公園の桜がふんわりと色づき、初夏にはバルコニーを通り抜ける風が心地よく、朝の一杯のコーヒーが格別に感じられるそう。秋には紅葉が視界を彩り、冬は澄んだ空気の中で星を眺める時間がご褒美に。
「今の時期は夜明け前に起きて、バルコニーでコーヒーを飲んだり仕事をしたりします。空がだんだん明るくなっていく様子や、色が変わっていくのを独り占めできるのは本当に贅沢です」

バルコニーにはリクライニングチェアと備え付けのテーブルを置き、天気の良い日は外でPC作業や読書をすることも。
「ここは風が通るから、真夏でも日陰にいれば意外と過ごしやすい日もあるんです」

鳥の声、街のざわめき、そして時折聞こえる遠くの電車の音。そんな日常の音に包まれながら過ごすバルコニーの時間は、まるで都市と自然のあいだを行き来しているような感覚を与えてくれます。
光と景色を味わう窓辺のしつらえ

室内のテーマは「夕焼けで染まる白い空間」。このコンセプトに欠かせないのが、大きな窓と、特注のカーテンです。
「遮光じゃなく、光を透かすカーテンにしたくて。夕焼けの色を部屋に取り込みたかったんです」

素材は、通常のカーテンにはあまり使われない、もっちりとしたチュール生地。ほとんど手作業でプリーツ加工された布が、風に揺れるたびに柔らかな陰影を落とします。

「この布は、光を含んでやわらかく揺れる感じがすごくきれいで。時間帯によって、色や表情が全然違うんです」

カーテンレールは部屋をぐるりと囲むように設置され、仕切りとして使うことも可能。撮影や来客時は空間を区切り、ひとりで過ごす時は全開にして開放感を楽しみます。

窓辺にはパパサンチェアを置き、「腰を埋めてぼーっと夕焼けを眺める時間が至福」と松下さん。窓の外には、都市の夜景と夕焼けに染まる空、そして手前に広がる緑が一度に目に飛び込んできます。

この窓辺は、ただ景色を眺めるだけでなく、光を感じ、時間の流れを味わうための特等席になっています。
暮らしを支えるDIYと見せる収納

限られた20㎡という空間を快適に使いこなすために、松下さんは「見せる収納」を徹底しています。
「隠すと存在を忘れちゃうんです。賞味期限切れになったり、同じものを買ってしまったり。だからよく使うものは見える場所にしまっています」

キッチンには、自らDIYで取り付けたグラスラックや包丁用のマグネットバー。

吊るす収納にすることで、作業台がすっきりと保たれ、出し入れもスムーズになります。

また、家具は移動や組み替えが容易なものを選択するように。パパサンチェアや折りたたみ式の円卓は、来客時にさっとレイアウトを変えられます。
「イベントや食事会のときは円卓を中心に置いて、みんなで囲むんです。普段は片付けて広く使えるようにしています」

二拠点生活ゆえに、ここに置く物は必要最小限。それでもお気に入りや実用性のある物だけを選び抜くことで、空間に余白が生まれます。家具や道具の選び方には、コンパクトな暮らしを豊かにするためのヒントが詰まっています。

太陽の動きに合わせて過ごす時間、窓辺やバルコニーから見える景色の変化、人と空間をシェアする喜び。この部屋には、暮らしを深く味わい、楽しむ要素が詰まっています。
「この部屋は自分だけのために借りたけれど、人を招いたり、イベントをしたり、ここでの時間を共有することで、もっと面白くなると思っています」

白い壁と大きな窓に映る光は、時間の経過とともに違う色を見せてくれます。その様子が、この空間がまだまだ成長していくことを感じさせてくれました。
まつしさん(@almostmatsushi)のInstagramアカウントはこちら
https://www.instagram.com/almostmatsushi/
text & photo : Tsubottle
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出典: goodroom journal
記事提供元:リノベーション・デザイナーズ賃貸 goodroom(グッドルーム)
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