CULTURE & LIFE
幸福度NO.1 の国フィンランド。その首都、ヘルシンキの暮らしってどんな感じ?ということでお部屋を拝見。職業、家族構成、趣味趣向、間取りもばらばら、工夫もさまざま。今回の取材で見えたのは「部屋は人生」だということ。居住空間には個人の人生観が色濃く映し出されているのです。
愛犬ファーストで家族の絆も感じる愛に満ちた部屋

実用品と観賞用のお気に入りアイテムがバランスよく飾られたウォールシェルフの光景は、さすがスタイリスト。
ヘルシンキ中央駅からも程近いトーロ地区。ヘレナは小学校から高校まで通っていて愛着があるこの土地で暮らし4 年になる。

リビングの壁に飾られたアンリ・マティスのポスターは、ヘレナが子どもの頃、実家の壁に飾られていた、思い出の品。
1939年に建てられた歴史あるアパートで一緒に暮らすのは愛犬のボビー。

ウォールシェルフが印象的なキッチン・ダイニングスペースで、愛犬ボビーくんとハイタッチ。

ベッドでくつろぐヘレナとボビーくんは家の中ではいつも一緒。
リビング・ベッドルームにはあえて家具をあまり置かず、ソファも壁際に配置することで愛犬が元気に走り回れる空間づくりをしたそう。

小物やランプを置けるようにDIY して広くした窓枠がお気に入り。
彼女自身の定位置はバランスよく愛用品が並ぶ大きなウォールシェルフが印象的なキッチン・ダイニングで、お気に入りの《アルテック》の「チェア66」に座って仕事をしたり、窓の外を眺めて行き交う人々やクラシックカーを観察する時間が好きだという。
また、DIY が得意で、狭かった窓枠の幅を自分で広げるなど器用な面も垣間見ることができる。

小さいけれど、必要なものは全て揃ったキッチン。昔、労働者階級の市民が住んでいた名残が見られる。
そして最大のこだわりは家族との絆。
お母さんが80年代から愛用していたコーヒーグラインダーを譲り受けたり、子どもの頃に実家で飾っていた絵を使用したり。

キッチンの壁には、食べものにちなんだ絵が。お友だちのフォトグラファーが撮ったというボビーくんの幸せそうな写真に思わず笑顔がこぼれる。
さらにベッドに掛けているブランケットはお父さんの出身地イギリスで見つけたセカンドハンドのものだったりと、家族や愛犬への愛情と愛用品を上手にスタイリング。いろんな想いが詰まったスペシャルな空間はぜひ参考にしたいものです。
大きな窓からあたたかな光と風が差し込む贅沢ワンルーム

ワンルームだけれど広い空間を活かした家具の配置で、すっきりとした印象。ベッドの下に敷いたラグの緑が効いている。
気分転換のためによく引越しをするというエンマが今住んでいるのは、おしゃれな若者が集うカッリオ地区の中心にあるワンルーム。

エンマが1 番気に入っているアイテムは、セカンドハンドショップで見つけたアヒルの形のバスケット。ここに卵を入れて棚に置いて保存している。
建物の中庭に面した物件はとても静かで、あたたかな光が差し込み、風通しも良好。そしてワンルームにも関わらず広々とした空間を印象付けるのは大きな窓のおかげ。

壁の棚の中には、なんと冷蔵庫・洗濯機・食料品棚が隠されている。全体的にとてもすっきりとした印象に。
また、窓から伸びる湾曲を帯びた白い壁も特徴的でなんだかとっても洗練されたムードを演出している。

ヴィンテージのプレートや、《イッタラ》のアアルトベースを美しくディスプレイ。まるでアンティークショップのよう。
空間に家具は決して多くないのに質素に映らないのは、ヴィンテージアイテムやアクセントカラーを上手に散りばめているから。
また、フードスペシャリストのエンマのお部屋らしく、キッチンとダイニングテーブル、そして世界各国で集めた料理本がお部屋の主役になっているところも見逃せないディテールで、嵩張る食器などは表に出ないように収納されている徹底ぶりも見事。ここに友人を招いて料理を振る舞うのが楽しい、というエンマ。

世界各地で集めたお料理本は、背表紙もカラフルでお部屋に彩りを添えている。棚に配置するバランスにもエンマのセンスが光る。
ひとりで過ごすときは、サッとサラダをつくって食べることが多いみたいだけれど、大きなキッチンでしなやかな所作で料理をつくる彼女はなんだかとっても絵になる。

《アルテック》の「スツールE60」をベッドサイドテーブルに。ランプのそばにさりげなく置かれた小説さえもおしゃれなインテリアとして活用。

読書家のエンマ。大きな窓からの日差しとそよ風を感じながら小説を読む優雅な時間は最高のひと時。
キッチンに立つ彼女を窓からの心地いい風が優しく包み込んでいたシーンが素敵だった。
photograph_Yoshida Taisuke
coordination & text_Kitsune
edit_Suzuki Mikiya〈KIP Inc.〉
design_Yamamoto Katsura
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