CULTURE & LIFE

コーヒー好きの間で絶大なる支持を受け、特に深煎り定評がある堀口珈琲。今回のコーヒー便はそんな堀口珈琲にFUDGEからの熱烈なラブコールを送り、コラボレーションが実現しました!味はもちろん、生産から消費の全ての行程にこだわったスペシャルティコーヒーの先駆者である堀口珈琲。コーヒー便のブレンドにもそんな堀口珈琲のこだわりがぎゅっと詰まっています。今回は企画から完成までのストーリーをみなさんもお届けすべく、ロースターである秦さんにお話をお伺いいたしました!

 

Index

コーヒー好きの間でファンも多いという、ロースター はる香さんにお話をおうかがいします

ーーコーヒーとの出会いや印象的なストーリーを教えてください。

もともと母親が大のコーヒー好きで、自家焙煎店で豆を買う家で育ったのでその影響が少なからずあるかもしれません。高校生のころには既に漠然と「店をやりたい」と思うようになっており、調理の専門学校に行きました。専門学生時代にスペシャルティコーヒーに出会い、コーヒーの風味に衝撃を受け、コーヒー屋に就職。そこからコーヒーの道がスタートしました。

10代後半と20代前半はとにかく興味のまま行動をしていたので、ヨーロッパのコーヒーカルチャーにも興味をもち、デンマークに短期留学してみたり、北欧を拠点にヨーロッパ各国のカフェを回ってみたりしていました。帰ってきてからは、その時の自分が1番おいしいと思えるコーヒー屋で働こうと決意し、いろんなコーヒー豆を取り寄せては飲んでいく中で堀口珈琲を改めて飲んで、品質の良さに驚き、ここで働きたいと思い2013年に門を叩きました。

さまざまな環境で抽出にこだわるうちに「抽出は焙煎で決められた幅しか表現できないな」と自分の中では思いはじめ「じゃあ焙煎にもチャレンジしてみよう」とロースターを志し、2017年ころに焙煎をさせていただけるようになりました。

 

ーーそもそもロースターという仕事とはどのようなお仕事なのでしょうか?

私は製造部なので、平常時は製造に関する様々なポジションに入りますが、焙煎を担当する場合は午前中~15時ごろまで焙煎や選別などの製造の仕事を行います。それ以降はその日に焙煎したコーヒー豆すべての風味チェックを行ない、出荷可否の判断や、翌日の焙煎に向けた焙煎方法の調節などを行います。

またブレンダーとしての仕事は、端的にいうと、横浜ロースタリーでつくるコーヒーの味づくりに関する管理を行います。生豆在庫の状態と相談しながら“CLASICシリーズ”の調整、特別ブレンドの創作、今回のFUDGEブレンドなどの創作をします。また、コーヒーに対して社内外からコメントを求められたときに対応をしたり、コーヒーの官能評価を文章化したりすることなども行います。

 

ーー堀口珈琲が表現する珈琲の特徴や魅力を教えてください。

“堀口珈琲はブレンドにこだわりをもつスペシャルティコーヒー・ロースターです。” 当社は創業時から、「焦げのない、甘みを伴う柔らかな苦味」の深煎りを追求してきました。今ではその過程で磨きあげた焙煎技術をもって、時には浅煎りで、時には深煎りで、素材に応じた適切な焙煎を追求し、年間100種以上のシングルオリジンを扱っています。

シングルオリジンには優れた品質の生豆が欠かせません。といっても、その年限りの“たまたま”の品質はあまり求めておらず、持続的に優れたコーヒーをお客様にお届けすることを大切にしています。そんな生豆を届けてくれる生産者は私たちにとって“パートナー”であり、彼らとの長期的な協業を通じ、共に発展していくことを目指しています。10年、20年を超え品質向上に取り組んできたパートナー、新たに出会った気鋭の生産者に支えられているのが、堀口珈琲のシングルオリジンです。

冒頭に掲げましたが、堀口珈琲はシングルオリジンだけでなく「ブレンド」にこだわりを持っています。作る目的は、シングルオリジンではなし得ない“風味の追求”です。堀口珈琲のブレンドはシングルオリジンでは味わえない要素を備えた「スペシャリテ」と言える存在です。

創業時からブレンドを作り続けてきた当社は、生豆の変遷に刺激を受けながら、ブレンドも進化し続けています。今現在は、堀口珈琲の定番9種類「CLASSIC」。その年の特別を季節ごとに表現する「SEASONALS」。ブレンダーが制限なく自由に創造する「FANTASIA」と、3つのカテゴリーが存在します。

 

ーー大きなアイデンティティでもある“スペシャルティコーヒー”に関しての想いなどをお伺いできますか?

スペシャルティコーヒーという言葉は、誕生から約半世紀を経て一般消費者の方々にも認知されるようになりましたが普遍的な定義はありません。とはいえ、この概念の中核をなす考え方は、「コーヒー生豆の高品質さ」であるという認識が主流とされています。また、スペシャルティコーヒーの特性の1つに「トレーサビリティ」がありますが、生豆の生産背景が反映された風味を楽しむという成り立ちから、農園や精製施設などの「生産者」「一次加工者」が認識できるようになっています。よくコーヒー屋さんで“シングルオリジン”という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれませんが、これは“単一素材のコーヒー”のことを指します。

そんな中、堀口珈琲は、「スペシャルティコーヒーの前提条件はクリーンであること」そして、「生豆に由来する“個性”を風味の中に見出し楽しむもの」だと捉えています。

高い標高や特別な微気候の産地で、それらに適した品種選択とベストマッチな環境で品質を高めようと取り組む生産者たち。彼らが届けてくれる「個性」の源である生豆を、ロースターであるわたしたちは、的確に評価した上で調達・管理し、適切な焙煎方法で「個性」を取り出し、提供場所やタイミングに応じて適切な包材や扱い方を選択し、「個性」が楽しめるうちにお客様に消費していただく。そんな“基本的なこと”を当たり前にやりきること、継続していくことに心血を注いでいます。

今回、全てをお伝えするには文字数が足りないのですが、この“基本的なこと”には実はたくさんの工夫があり、その一部を横浜ロースタリーの見学会でご紹介しています。ぜひお越しください(笑)。

 

FUDGEとのコラボレーションストーリー

ーーそもそもFUDGEに対してどのような印象をお持ちでしたか?

以前から親しみがあり、とても身近に感じている雑誌の1つです。定番も取り入れつつ、個性も大切にするような、自分のためにお洒落をたのしんでいる人が読んでいる印象です。

 

ーー今回“ロンドンガールのクリスマス”という、やや無茶ぶりなお題を受けて…しっかりとブレンドに落としこんでくれてありがとうございます!今回のようにストーリーやイメージ像からブレンドを作ることってありますか??また、難しかったですか?

いかにも、FUDGEらしいお題がきたなぁ~と、どこか嬉しかったです(笑) 無茶ぶりであっても、「おいしいコーヒーをつくる」ということが軸にあるので、そんなに悩みません。“ロンドンガールのクリスマス”というテーマも、テーマを読み解けば「ロンドン」「ガール」「クリスマス」ですので、ロンドンの食文化、クリスマスの雰囲気、女の子が好きそうな、といったキーワードを拾い、シンプルに味づくりしていきました。

 

ーー商品化されたミンスパイブレンドは、キラキラとしたホリデーの特別感が表現されていて感動しました!その背景にある原産国や配合のこだわりを教えてください。

ミンスパイというロンドンの伝統菓子ですが、一般的にドライフルーツやナッツやスパイスなどを使った甘いお菓子です。(昔は肉なども使っていたようですが、現在は甘いものが主流)

コーヒーの風味からもそういったニュアンスを感じられるものを組み合わせながら、ミンスパイやシュトーレンなどのクリスマスシーズンならではのお菓子と合わせることやミルクとも相性の良いコーヒーをイメージして配合を考えました。

ブラジルの『セルカ・デ・ペドラ・サン・ベネディート パルプドナチュラル』のビターチョコレートのような滑らかさやヘーゼルナッツやローストアーモンドのようなナッツの甘みを主軸に、ケニア『ギチャサイニファクトリー』でカシスやレーズンのような濃厚で甘い果実感や、クローブのようなスパイシーさを取り入れ、インドネシア『マンデリン“オナンガンジャン”』の個性的な果実感でアクセントを出しつつ、クリーミーな厚みのある質感で全体をまとめています。

ブラジル、ケニア、インドネシアといったベーシック×個性的なコーヒーを組み合わせて、複雑だけどまとまりがあり安心感のある配合をつくりました。

 

ーー今回のミンスパイブレンドではどのように“堀口珈琲らしさ”を表現しましたか?

品質にこだわること。というと少し堅苦しいですが、FUDGE読者の方にも「コーヒーって楽しいな」「堀口珈琲っておいしいな」と思ってもらえるような、初心者にも個性を感じ取ってもらえるような、こだわり派の方にも深煎りの複雑なコクをしっかり感じ取ってもらえるような、いろんな方が楽しめる味わいを目指しました。

 

ーー最後に美味しい飲み方やアドバイスがあればを教えてください。

色々な好みで調節してもらってよいですが、おいしいコーヒーに一歩近づくため、「コーヒー豆の量(粉の量)」「抽出液の量」はしっかり“はかる”ことをおすすめします。さらに、いれ方の指針となる「抽出時間」もはかるとさらにGOODです。

<おすすめの淹れ方>

・コーヒー豆は中粗挽きで25g使用

・200ccほど抽出(好みで加減してOK)※注ぐ湯量ではなく、仕上がる抽出液の量です

・お湯の温度は約93〜95℃くらい(しっかりと沸騰させたお湯をすぐにドリップポットにうつしたら丁度93〜95℃くらい)

・抽出時間は2分半~3分(粉全体を使うイメージではじめはゆっくり、徐々にスピードをあげて抽出)

数字を少し意識するとコーヒーはうんとおいしくなります。ぜひ試してみてください

 

ーー秦さん、堀口珈琲と今回のミンスパイブレンドの魅力をたっぷりと語っていただきありがとうございます!

 

堀口珈琲 世田谷店

住所: 東京都世田谷区船橋1-12-15

TEL:03-5477-4142

営業時間:11:00〜19:00 ※第3水曜定休

*年末は12/31まで通常営業、年始は1/7より営業予定。

Instagram:@horiguchicoffee

 


注文終了まであと2日

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