CULTURE & LIFE

私は「事」を簡単に始める癖があります。
もちろん、こちらで⾔うところの「out of blue(=唐突に)」というわけでもないのです。⾃分の中ではいろんな理由がきちんと繋がっているのです。

帰国の時に友達を訪ねて、駅を降りた瞬間に恋に落ちてしまった尾道の⼩さなオンボロ古⺠家のリノベが、去年の11⽉に終わりました。

photo: Rika Ishii

ロンドンからは直⾏便で約12時間、時差8時間(冬は9時間!)も離れている尾道の家に想いを馳せながら、現場で頑張ってくださっていた建築⼠さんやビルダーさんと毎⽇のようにメッセージのやり取りをして出来上がった家は、
綺麗なラインで⼩さな空間を切り取った、とてもシンプルで居⼼地のいい家に仕上がっていました。

ライトやコンセントカバー、スイッチボード、家電に始まり、⼤⼩の家具はロンドンの家で夜な夜なラップトップに向かいオンラインショッピングをして揃えました。

photo: Shuya Aoyama

こだわれるところにはこだわるけれど、こだわれないところにはこだわらないという⼩さな予算でのリノベでした。

私が最初に建築⼠の⻘⼭さんにお願いしたのは、防⾍、防ヘビでした。
尾道の坂の麓、しかも家の後ろは⽯垣という環境ですので、きっととても難しい注⽂だったと思います。

そして次に、ウォシュレットにしてほしいということでした。
ロンドンに暮らしていて帰国の時に楽しみにしているのは、綺麗なトイレにウォシュレット、それと夜中のコンビニのはしごなんです。

最後に、家をなるべくオープンにしてほしいということ、特に⼀階にあるダイニングルームは⼤きなテーブルを置いていろんな⼈が集まれる空間にしたいということでした。

「あとは、⻘⼭さん(建築⼠)、藤本さん(ビルダーさん)の⾊をどこかに確実に残してください」とリクエストをしました。

photo: Shuya Aoyama

いろんな⼈の縁で出来上がったこのアルコーブのハウスウォーミングでは、いろんな⼈にお祝いしてもらいました。みんなの笑顔が最⾼のご褒美でした。

 

「⽒神様を⾒つけて、そこの宮司さんとお話をし、古井戸のための⽔神様に来ていただけるようアレンジをしたよ」と、⽇本の⽂化、⾵習に詳しい友⼈のおかげで、無事に⽔神様をお迎えすることもできました。

photo: Shuya Aoyama

もともとローカルの神社の⽒⼦になるなんてこと考えもしなかったので、かなりエキサイティングでもありました。

アルコーブの⽒神様は、⾉神社さんです。⾉と書いて「うしとら」と読みます。
ここは1300年の歴史を持つ神社で、境内には、樹齢900年と⾔われる⼤きな⽊があります。
そして現在の宮司さんはとても優しい⼥性の⽅です。

いろんな⻆度から⾒ても、とても魅⼒的な⽒神様です。

リノベ中に⼤変ご迷惑をおかけしたと思われる壁つながりのお隣さんとも、⽞関前の⻑話の末、
「お昼⻝べた?まだだったらタコ飯作ったから⻝べる?」と声をかけてもらえるようになったり、
「明⽇の朝⼀緒にゴミ出しに⾏って⾊々と説明してあげるから」と朝7時にパジャマの上にコートを⽻織っただけの私をつれだしてくれたりも。

ご近所にはとても魅⼒的なコーヒーショップがあります。
カウンターに座って美味しいコーヒーを飲みながら、尾道のことを話してくださるオーナーさんとの時間はとても落ち着けて、来年はもっとお邪魔しよう!と思いました。

路地の⼊り⼝にある素敵なデザインスタジオさんも皆さんすごく気さくで、ご近所になれたことがとても嬉しかったり。

尾道には、優しいお店がたくさんあります。かまぼこの⽼舗、パンの美味しいお店、コーヒーの美味しいお店、⾃然派素材の物が揃うお店。

おしゃれな⾃転⾞がレンタルできるお店や、セレクトのこだわりを強く感じるクローズショップ、昔ながらの陶器屋さんや、デッドストックいっぱい!の器屋さん、⽂房具屋さんや、⼋百屋さん、酒屋さんも…とても親切です。

ふと、ロンドンのスタジオのご近所のようだなと思いました。
チーズ屋さん、お⾁屋さん、お⿂屋さん、⼋百屋さん、花屋さん、⼩さなカフェ、それぞれ個性があって、親切で、付かず離れずでお互いのことを思いやる関係です。

⼩さな路地の⼩さな家 アルコーブは、私たちがいない間はポップアップショップやギャラリー、ワークショップやミーティングの場として使ってもらうことになりそうです。
⺠泊も視野の中に⼊っているのですが、実は、すぐそばを⼀晩中、勢いよく貨物列⾞が⾛るのが判明したり、
路地の住⺠はお年寄りが多いので、ご近所の⽣活に邪魔をしないような⼼遣いも必要かと思ったりしているので、
しばらくは「不都合や条件を飲んでくださる、ご縁のある⽅」⽤だけの宿になりそうです。

もう30年以上の付き合いのある友達が、尾道に来てくれてアルコーブを訪ねてくれた後
「尾道に家を持つって、家が欲しいわけじゃないと感じたよ、⾃分の⼼の豊かさを叶える時代に⼀歩先に⾏ってるってことだね」とメッセージをくれました。

彼もまた尾道に恋に落ちた⼀⼈のようです。

 

yukari sweeney

 

 

 

◆こだわり女子のモノコトWebマガジン「PeLuLu」より

 

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