CULTURE & LIFE
創業明治17年!「開運堂」のほろほろ溶ける幸福の新食感お菓子「白鳥の湖」
旅と想いや歴史を感じるお土産が大好きで、皆さんにもご紹介したいと思いはじまりました。デザイナーのrumiです。
今回は北アルプス国際芸術祭に合わせて、ずっと行きたいと思っていた長野県松本市にある「開運堂」のお菓子をご紹介。
「開運堂」は創業明治17年。140年もの年月をかけて菓業一筋。乾燥する大陸的な気候の信州・松本は、何かにつけ茶菓を口にする習慣があり、安くて美味しいお菓子創りに努めてこられたのだそう。お菓子は地方文化の象徴でもあります。京にも江戸にも影響されず、豊かな信州の風土と人情に育てられた独特の味わいを守り育てることを大切にしています。
入り口のドアノブからもう歴史の重みを感じます。
今回お土産で購入したのが「白鳥の湖」というソフトクッキー。薄水色の包装紙が可愛らしいです。
中から出てきたのは、白鳥のように白い缶に湖と白鳥の絵が描かれた美しい入れ物。松本市を拠点に活躍した洋画家、柳沢健さんによるもの。
蓋を開けるとふわりと香る優しいシナモンと甘い香り。
ひとつひとつ丁寧に袋に入っています。後ろのシールも手作業で貼られている感じが、あたたかさを感じます。開けやすいようにシールにはそっと切り込みが入れてあります。
「白鳥の湖」は、昔スペインの修道院で考案された幸福のお菓子「ポルポローネ」という落雁に似た口どけ柔らかなソフトクッキー。商品の特質上、非常にやわらかくこわれやすいデリケートなソフトクッキー、と怖いことを言われていたので、ドキドキしながらそっと袋から取り出します。
缶に描かれたロマンチックな白鳥とはまた違ったアイコンのような可愛らしい型押し白鳥が特徴のこのクッキー。なんと、お取り寄せ人気ナンバーワン商品なのだそう。
そっと食べてみると、、ほろほろ、はらはら、ほわーーー、っと崩れて口の中で溶けていくような感じ。歯なんていりません!これは驚きの新食感。クッキーというより、柔らかい砂糖菓子のような、上品なたまごボウロのような。
「白鳥の湖」、初めて食べたお菓子でした。幸せのお菓子、手作りのあたたかさ、新食感、美味しさ、工夫と技、大人気の秘密がこの白鳥の缶にそっと閉じ込められています。
次に見られるのは3年後!?北アルプス国際芸術祭を代表する目[mé]の作品
「開運堂」と合わせて「北アルプス国際芸術祭2024」に行ってきました。会場は松本市から少し北に行った長野県大町市。大町市は、山からの急流と仁科三湖を抱く北アルプスと東山の丘陵に囲まれた田園地帯で、山の自然と人間の生活が浸透しあう美しい土地です。古くから神社や塩の道、近代では黒部ダムをはじめとする土木構築物を創り出し、土地に深く刻まれた人々の生活と歴史が今も鮮やかに残っています。迸る清流、東西の樹種が混じる森林、岩盤のうえの丘陵地、そこから見上げる世界とつながる高い空が大町の美しい空気を感じさせてくれます。
世界各地のアーティストたちが土地の力と記憶に寄り添い着想。感性を刺激するようなここでしか味わえない作品を見ることができました。
その中でもずっとどうしても見たかった作品が『Tangible Landscape 目[mé]』。制作2017年。
入り口の白い洞穴をくぐっていくと、、。
真っ白い洞窟のような不思議な空間が広がります。
「鷹狩山の山頂からのぞむ圧倒的な北アルプスの山並みと信濃大町の風景を見るための装置として生まれた作品。縦横無尽な導線のフィジカルな体験は、鑑賞者を既存の景色から切り離し、物理的な座標空間の上に立たせる。家屋の梁や天井をまたいだり、潜ったりしながら不安定な白い空間を進むうちに、信濃大町の風景を形成していた質量の一部として、その存在を対峙させることになるだろう。」
迷路のような不安定で真っ白な空間。子供はおおはしゃぎですが、ここは元々は普通に人が住んでいた民家。所々にその片鱗が残され、哀愁を感じます。哀愁と不安定な美しさのコントラストに鑑賞者は何を想うのだろうと不思議な感覚に。
2017年に第1回、2021年に第2回、そして今年2024年は第3回目。残念ながら今年の芸術祭は11月4日で終わってしまったのですが、おそらく次にこの目[mé]の作品に会えるのは2027年。次回4回目の開催に期待したいと思います。
身近な日本の軌跡と奇跡。旅するデザイナーrumiのInstagram。
@find_rumi
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