CULTURE & LIFE

クリエイティブチーム Do it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。
第42回目のテーマは「等身大のパリジェンヌ」です。
Do it Theaterの阪実莉です。この連載はDo it Theater 女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。第42回目のテーマは「等身大のパリジェンヌ」ということで、『パリの恋人たち』『92歳のパリジェンヌ』『ココ・アヴァン・シャネル』をセレクトしました。
外も暖かくなり、テラス席でカフェタイムを過ごすのにもぴったりな季節になりましたね。皆様はいかがお過ごしでしょうか?様々なライフスタイルを送るパリジェンヌを夢見て、アクティブに今春を過ごしましょう!
Index
パリジェンヌには優しい男がお似合い
© 2018 Why Not Productions
title:『パリの恋人たち』
【story】
ジャーナリストの青年アベルは、3年間同棲中のマリアンヌから妊娠を告げられるが、アベルではなく共通の友人ポールとの子供だと言われてしまう。マリアンヌの元を去ったアベルは8年後、ポールの葬式で再び彼女と再会を果たす。マリアンヌとアベルは再び暮らすようになるも、盲信的にアベルを愛しているポールの妹エヴが、マリアンヌの前に現れてー。
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本作は、パリを舞台に2人の女性の間で翻弄される男性を描いたラブロマンス。主人公アベル役のルイ・ガレルは監督も務めており、アベルを翻弄する年上の彼女マリアンヌはルイ・ガレルの実の奥さんだそうです。ツワモノ夫婦ですね…(笑)。幼い時からアベルに片思いしているエヴは、リリー=ローズ・デップが演じています。キュートなイメージからしっかりレディになっていて、いつの間にこんなに大きくなったのか………と時間の流れを感じるほど。
そして、本作の魅力はなんといっても、女性2人の対比です。子供の親をコインを投げて決めてしまうような無邪気なマリアンヌと、「アベルを私にちょうだい」と言う、意思の強いエヴ(若さって罪)。また、アベルを勝ち取ったらそれはそれで熱が覚めていってしまう奔放さ。かっこいい!(笑)
最期の生き様

©2015 FIDÉLITÉ FILMS – WILD BUNCH – FRANCE 2 CINÉMA – FANTAISIE FILMS
title:『92歳のパリジェンヌ』
【story】
今まで当たり前にできていたことができなくなっていくことに失望していたマドレーヌは、家族が開いてくれた92歳の誕生日パーティーで、「2ヶ月後に自らの手で人生に幕を下ろす」と決意を発表する。家族との同居も断り、1人暮らしを続けていたある日、マドレーヌはトイレに座ったまま立ち上がることができなくなってしまう。娘に助けられた後、救急車で運ばれてそのまま入院することに。死にたいと嘆くマドレーヌの姿に、娘ディアーヌは心を動かされていく…。
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フランスの元首相であるリオネル・ジョスパンの母親、ミレイユが、2002年に自ら自分の人生を終える日を決め、それを実行した話を元にした作品です。加齢によりできなくなったことをメモに取っている姿を見ていると心が苦しくなる一方、「この先あなたにできることは死ぬことだけよ」と家政婦に冗談を言われても「それが私の夢なのよ」と笑って返すマドレーヌに、女性としての潔さを感じます。
「尊厳死」というデリケートなテーマを扱ってはいますが、遊びに来る大人になった孫を可愛がったり、家政婦のヴィクトリアと冗談を言い合いながら暮らしていたりと、マドレーヌはたくさんの愛情のなかで着丈に過ごしており、肩の力を抜いて観れる作品です。
気高いパリジェンヌの象徴

© 2009 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
title:『ココ・アヴァン・シャネル』
【story】
1912年パリ。日中は仕立屋のお針子、夜は2人で自作した衣装でナイトクラブの歌手として働く、孤児院出身のガブリエルと姉アドリエンヌのシャネル姉妹。ガブリエルは”ココの歌”を歌うことからココ・シャネルと呼ばれていた。ココは店の客であった男爵の友人、バルザンの推薦で歌手のオーディションを受けるが、落ちてしまう。いつしか男爵と結婚した姉アドリエンヌはココの元を去り、失意の中にいたココはバルザンの豪邸を訪れ、強引に居座りはじめる。
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知っている方も多いと思いますが、シャネルの創設者、”ココ・シャネル”の幼少期からブランド立ち上げに至るまでの数奇な人生を描いた作品です。随所に登場するシャネルの服を見るだけでも楽しいのですが、男装したココの格好よさにも注目。ボーイとパーティで踊るときの黒いドレスも美しいです。
本作は、20世紀初頭のフランスの様子が描かれています。ウエストをコルセットできつく締め上げ、女性らしさを強調した服が多いなか、ココがデザインした、無駄を削ぎ落としたシンプルなスタイルは、それまでの「女性とはこうあるべき」といった概念を変えていくようで、とても気持ちが良いです。
バイタリティ溢れるココ・シャネルの人柄が、昨今のパリジェンヌ像を形作っていったのかもしれませんね。
今回は「等身大のパリジェンヌ」というテーマで、様々な人生を送るパリジェンヌが登場する作品をご紹介しました。人生の歩み方は人それぞれですが、しっかりと芯が通ったしなやかな姿に心が掴まれてしまいますよ。



『パリの恋人たち』

『92歳のパリジェンヌ』

『ココ・アヴァン・シャネル』


text :阪実莉(Do it Theater)
学生時代は、ドキュメンタリーと心理学を専攻。野外上映・空間演出の分野で活動したのち、現在はDo it Theaterにてアートディレクターとして奮闘中。人生のバイブル映画は『あの頃ペニー・レインと』『下妻物語』。うちの猫がついに「お膝においで」を覚えました。6kg超の巨体を膝に乗せて日々仕事してます。
●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュースチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」では野外シアターを上映!また 累計4万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫とマリンアンドウォークヨコハマの2会場同時開催の「シーサイドシネマ」、 ロックバンドSuchmosとタッグを組んだ「DRIVE IN THEATER Suchmos」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com
design_Koinuma Kenichi
Illustration_MARU
edit_Takehara Shizuka
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