CULTURE & LIFE
クリエイティブチームDo it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。
第35回目のテーマは「恋に溺れ、恋焦がれる映画」。恋に落ちたい!誰かを愛したい!と思わせてくれる恋愛映画3作品をご紹介いたします。
Do it Theaterのユーコンです。この連載はDo it Theater 女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。
第35回目のテーマは「恋に溺れ、恋焦がれる映画」ということで、『トゥルー・ロマンス』『ある天文学者の恋文』『ドリーマーズ』の3作品をセレクトしました。
木々も色づいてきて季節はすっかり秋に。上着を着ていても肌寒くなってくるこの季節、より人肌恋しく感じる時期ですよね。そんな時のお供にしたいのはやっぱり恋愛映画!恋人がいる人にとってはより一層愛を大切にしたくなり、恋人募集中の人にとっては恋愛気分をグッと高めてくれる愛あふれる恋愛映画3本です。秋の夜長のお供にぜひご覧ください。
Index
愛は本能である!90年代アメリカの開放感にあふれた猛烈恋愛ロードムービー。
Illustration_MARU
title:『トゥルー・ロマンス』
【story】
アメリカ・デトロイトのコミックショップで働くクラレンスは、ある日映画館でアラバマという心の美しいコールガールと出会う。一晩で劇的に惹かれあった二人は翌日結婚する。幸せな生活が始まるかと思ったところ、思いがけず手に入れてしまった大量のコカインを廻り、ギャングから追われる身となってしまう。そして二人の愛の逃避行劇が幕を開ける。
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公開当時のキャッチコピーは「獰猛な愛だけが生き残る」。このコピーの通り、クラレンスとアラバマの愛はまさに獣のような愛。会った瞬間に「この人が運命の人だ!」と感じるような燃え上がる恋愛ってやっぱり憧れちゃいますよね。クラレンスとアラバマはいい大人なんですけど、二人の恋愛を見ているとなんだか幼稚園児の恋愛、って感じで可愛くて愛おしいんです。大人の恋愛って恋人同士といえども、ちょっと距離感を考えたり、いろいろ計算したりするものだと思うんですけど、この映画の恋愛はド直球!もしも二人を引き離したらどちらかの命が消えてしまうのでは、と思ってしまうほど惹かれあった二人がとても魅力的です。
90年代が舞台の作品で色鮮やかなセットや衣装も見所の一つ。ブロンドヘアと赤いルージュのアラバマが着こなす、大胆な原色カラーを使った90年代ファッションの数々がとっても素敵。脇を固める俳優陣も超豪華で、ブラッド・ピットやゲイリー・オールドマンなど今は大御所となった彼らの若かりし頃の突き抜けた演技も必見です。巨匠ハンス・ジマーによる音楽も素晴らしく、観賞後は印象深いマリンバのサントラをヘビロテしてしまうこと間違いなし!
冒頭からラストまでハンカチが手放せない!どこかノスタルジックで切ない大人恋愛映画。
© COPYRIGHT 2015 – PACO CINEMATOGRAFICA S.r.L.
title:『ある天文学者の恋文』
【story】
天文学者のエド教授と教え子のエイミーは秘められた恋愛関係にあった。多忙な教授との密会は限られた時間のみだったが、エドと過ごす時間はエイミーにとって至福の時間だった。しばらく会えない時間が続いた後、エイミーは突然教授の訃報を知る。突然訪れた最愛の人の死を受け入れられないエイミーだったが、何故か死後もエドからの手紙やメールが届き続ける。死んだ恋人から届き続ける愛に溢れたメッセージの謎を追って、エイミーはエドの軌跡をたどり始める。
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本作は、映画『ニュー・シネマ・パラダイス』で有名なジュゼッペ・トルナトーレ監督の、年齢が大きく離れた恋人たちを描く大人恋愛映画です。私は恋愛映画ではあまり泣かないほうなのですが、本作では冒頭からラストまで泣きっぱなしでした(笑)。最愛の人が死んでしまうという展開はもちろん号泣必至なのですが、私がグッときてしまったのは、エイミーの”虚な瞳”です。恋人を失った瞬間のエイミーを演じるオルガ・キュリレンコの空っぽになった虚な瞳を見て、猛烈に悲しさが溢れてしまったんです。そんな精神の抜け殻みたいなエイミーを、死してなお優しい瞳で愛し続けるエドの深い愛情にも更に涙を誘われます。
星の光は人間の目に届くまで時差があり、実際に人間が見る星の光は過去の星の光であることがわかっています。その天文学と恋愛を交差させたようなストーリーには心底泣かされました。この二人の恋愛を見ていると、現世と来世でも結ばれ続ける愛は存在するのでは?、と愛という感情の強さを実感します。
また、二人の思い出の地として登場する、湖に浮かぶ小さな島のサン・ジュリオ島は絵本から抜け出たような素敵な場所で、私の「死ぬまでに訪れたい場所リスト」に追加しました!
濃密な三角関係が、五月革命に湧くパリの街に溶けていく。
Illustration_MARU
title:『ドリーマーズ』
【story】
舞台は1968年のパリ。アメリカからの留学生・マシューは映画館で、端正な顔立ちの双子・イザベルとテオに出会う。会った瞬間から美しいイザベルに惹かれるマシュー。双子に誘われ、共同生活を始めた3人だったが、次第に双子の歪んだ関係を目の当たりにするようになる。双子の不思議な魅力にどんどん惹かれていくマシューだったが、イザベルを独占したいという気持ちが芽生え、3人の関係に徐々に不和が生じ始める。
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本作は、冒頭からオシャレ度全開の青春映画。パリのシネマテークで最前列を陣取って映画三昧なカルチャー満載の生活なんて、一度は経験してみたいものです。イザベルとテオの、家族という関係を超えた愛の中に必死で入り込もうとするマシューですが、イザベルは映画の中の女優のように、崇めることはできるけど決して手に入らない存在であることに気付いてしまいます。手の届く場所にいる人が、関係を深めれば深めるほど遠ざかっていくのを感じるマシュー。その気持ちを思うと、とてもやるせない気持ちになるのと同時に、恋愛の複雑さや愛おしさを再認識させられます。
過去の名作映画のシーンが方々に散りばめられた映像的演出も見事で、タイトルのごとくまるで夢をみているような感覚に陥る映画です。イザベル役のエヴァ・グリーンは何を着ても(裸ですらも!)様になっていて、歩く彫刻のような完璧なプロポーションで着こなすパリジェンヌファッションの数々がとっても素敵!グリーンベロアのワンピースに真っ赤なベレー帽を合わせるなど、まるで昔のヨーロッパ映画から飛び出してきたかのような風貌で、ポストカードにして飾りたいくらいかわいいです。
「土曜日のシネマサロン」ではこれまでにもたくさんの恋愛映画を紹介してきました。恋愛映画って観る季節や年齢などで作品に対する印象や感じ方がガラリと変わったりするので、本当に面白いジャンルだと思います。気に入った恋愛映画を季節を変えて鑑賞したり、昔見た作品を大人になってから観なおしたり、はたまた大切なパートナーと一緒に観たりと、シチュエーションを変えて何度も鑑賞するのもいいですよね。好きな作品がさらに好きになったり、昔気に入らなかった作品でも観なおしたら生涯一番の作品になったりするものです。恋愛映画は女の子のバイブルでもあるので、定期的にいろいろな恋愛映画を観て恋に恋する時間も大切にしてもらえたらと思います。
『トゥルー・ロマンス』
『ある天文学者の恋文』
『ドリーマーズ』
text :ユーコン(Do it Theater)
映画会社、映画・海外ドラマの翻訳業など経て現在はリモートワークにて二拠点生活中。最近の趣味は映画をテーマにした料理。
好きなジャンルはマンブルコア、SF、アメリカ80年代モノ。最近はおうちシアターを楽しんでいます。スピーカーをSONOSのサウンドバーにしようと企み中。
●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュースチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」では2年連続で野外シアターを上映!また 累計4万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫とマリンアンドウォークヨコハマの2会場同時開催の「シーサイドシネマ」、 ロックバンドSuchmosとタッグを組んだ「DRIVE IN THEATER Suchmos」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com
design_Koinuma Kenichi
Illustration_MARU
edit_Takehara Shizuka
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