シアタープロデュースチームDo it Theater（ドゥイット・シアター）がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。第15回目のテーマは「明日への活力になる映画」です。

 

Do it Theaterの阪実莉です。この連載はDo it Theater 女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。第15回目のテーマは「明日への活力になる映画」ということで、『Love Letter』『LIFE!』『ノーマ、世界を変える料理』の３作品をご紹介します。

新たな年、心機一転新しいことに挑戦したり、清々しい気持ちでリスタートを切ってみるのも良いのではないでしょうか。そんな方に刺激となるような作品をセレクトしました。

 

 

文通で初めての恋を知る

title：『Love Letter』

【story】
「拝啓、藤井樹様。お元気ですか？」神戸に住む、亡くなった婚約者を忘れられない博子。ある時博子は、天国の彼、藤井樹に向けて、彼が中学生の頃に住んでいた小樽の住所に手紙を送る。すると、届くはずのない返事が博子の元に届く。返事の主は彼と同姓同名の女性、藤井樹だった…。神戸に住む博子と小樽に住む樹との文通の中で次第に、博子の婚約者であった藤井樹という人物が明らかになっていく。

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「冬、映画」と言ったら真っ先にこの作品を思い出しました。FUDGE.jp読書の方々には、リアルタイムに映画館でご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。眠れない夜に、観たくなる映画ですね。雪景色が美しい作品は、キラー的な存在感を放っている気がします…。無限の美しさとでもいうのでしょうか。作中では中山美穂さんが二役を演じているのですが、それぞれ絶妙な演じ分けをされていて、ふたりの衣装やヘアメイクから岩井俊二監督の細かな演出や時の移ろいを感じられます。暗い物語のプロローグから始まりますが、思い出を昇華して新たに気持ちをしたためる樹と博子を見ていると、もう一度初恋をしたくなりますね。限られた行為しか許されない学生時代のことを思い出します。だからこそ、10代は美しいのですね。文通も、公開された年にはまだ主流だった連絡手段ですが、最近はめっきりしていません。
自分が中学時代にこの映画を観ていたらどんなに影響を受けていたことか…。ストーブが焚かれて結露した部屋でタイピングをして、分厚いカーディガンを肩からかけて。この作品を観た後は、ショートヘアと、ざっくり着れるビッグサイズの洋服に憧れるでしょう。。初恋みたいな恋愛、今年こそはさせてください神様！

 

大切なものを気づかせてくれる。

title：『LIFE!』

【story】
歴史のあるフォトグラフ雑誌「LIFE」誌の編集部で、ネガフィルム管理をしているウォルターは、地味で冴えない日々を送っていた。出版社の再編により、「LIFE」誌は廃刊することとなったが、ウォルターは、その最終号の表紙を飾る写真のネガを探すもどうしても見つけることができず…。ウォルターは、その写真を撮影した、世界のどこにいるのかわからない写真家に会うために、そして同時に自分の冴えない日々を打破するために旅に出る。

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2014年に公開されたこの作品は、まだ記憶に新しい方もいらっしゃるかと思います。かくいう私、おそらく10回以上観ております。心身とも仕事へ捧げ、熱心に仕事へ取り組んでいた主人公ウォルターですが、これまでにない大失敗をしてしまいます。どうにかして自分の力で取り戻さねばと、全てを捨てて、1枚の写真ネガを探し求めて世界中を駆け回ります。この作品を観るたびに、受け身でこなすような仕事ではダメだな…と気付かされます。、”常に能動的に。自分ごとであれ。人に信頼されるべし。”と、心に誓っています。テンポ良く、適度なジョークを交えながら物語は展開し、どんどんやる気がみなぎってくるような作品です。雪国のパブや火山の島、グリーンランドの漁船、雪山まで、出てくる情景全てが美しく、それを観ているだけでも満足できます。少し仕事で疲れたなと思ったり、今年こそ変わるぞ！と思っている方は是非ともご覧になってください。大切なものが何か、きっと気づかせてくれるはずです。

 

前進あるのみ

title：『ノーマ、世界を変える料理』

【story】
デンマーク・コペンハーゲンにある大人気レストラン「noma（ノーマ）」。そのシェフで、革新的な北欧料理を生み出し続けるレネ・レゼピにおよそ4年間密着したドキュメンタリー。美食とは縁遠かった北欧で、革新的な食文化を作り上げた彼の食に対する姿勢や、移民差別を受けた生い立ち、厨房の裏側などに密着する。

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今回は珍しくドキュメンタリー作品をセレクトしてみました！私自身、あまり料理の分野には詳しくないのですが、興味本位で観たこの作品に、グッと心を掴まれました。ただのレストランドキュメントではなかったのです…。レネ・レゼピは仲間と共に、まず、”北欧料理とは何か？”というところから考え、レシピを作成し、レストランをオープンしたそうです。概念から作るということはどんなに大変なことか…。考えるだけで壮絶ですが、レネはそれを苦に思わず、楽しみながら仲間とひたすら前に進んでいきす。少しよそ見をすると置いていかれそうなスピードで。彼を見ていると、常識だとか、努力だとか、そんな言葉がバカみたいに思えてくるのです。作中、この言葉が印象的でした。「新しいものは未知数が高いほど強く批判される。批判されるということは注目を浴びているということ。」新しいものを作るということは、こういうことなんですね。成功すると、それまでの批判が嘘だったかのように全て味方になるのです。もちろん失敗もしますが、しっかり受け止めて信頼を勝ち取るため、今まで以上に仲間と強く団結し、前進する姿には魅了されました。失敗を恐れず、自分を信じてみるのも良いのかな、と背中を押してくれるような作品でした。

 

「明日への活力になる映画」というテーマで、恋愛・仕事・新たな挑戦と別々のジャンルで３作品をセレクトしてみました。新年を迎えて気持ちが切り替わり、抱負も決まった頃かと思います。気になった作品があれば、ぜひご覧になってみてください。明日も頑張ろう！と、きっと前向きな気持ちになれるはずです。社会人の方も学生の方も、４月からまた新たな期が始まるので、この３ヶ月で何か少しでも前進できているような気持ちになっていられると幸いです。パワフルに、感動的に、素敵な新年をお楽しみください。本年も、連載《土曜日のシネマサロン》をよろしくお願いいたします！

 

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