CULTURE & LIFE

クリエイティブチームDo it Theater(ドゥイット・シアター)がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。第12回目のテーマは「冬の訪れを感じられる映画」です。

 

Do it Theaterの阪実莉です。この連載はDo it Theater 女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。

第12回目のテーマは「冬の訪れを感じられる映画」ということで、『ストックホルムでワルツを』『人のセックスを笑うな』『シザーハンズ』の3作品をセレクトしました。

空気は一気に秋から冬となり、寒くなってきましたね。来月はからはもう、ホリデーシーズン。楽しみだけれど寒いからお外には出たくない…….そんな時は暖かいお部屋でココアを作ってゆっくり恋愛映画を観るのはいかがでしょう?これから年末まで、時間の流れは恐ろしく早いので落ち着くことも大切にしましょうね。

 

女性が自由に生きる、とは

© StellaNova Filmproduktion AB, AB Svensk Filmindustri, Film i Vast, Sveriges Television AB, Eyeworks Fine & Mellow ApS. All rights reserved.

title:『ストックホルムでワルツを』

【story】
1960年代、スウェーデン、ストックホルム。電話交換手の仕事をしながら、幼い娘を女手一つで育てていたシングルマザーのモニカは、幼い頃からの夢、ジャズシンガーになるために夜な夜なライブハウスで歌手として活動していた。ある日、クリスマスにジャズの本場ニューヨークで歌う機会に恵まれ、反対する父を押し切り、モニカは単身アメリカへ向かう。しかし、ニューヨークの舞台では散々な結果に終わり、モニカは、失意のまま立ち寄ったバーで憧れの歌手フィッツジェラルドに出会う。

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本作は、スウェーデンのジャズ歌手モニカ・ゼタールンド(1937-2005)の伝記映画であり、当時国民的スターであったモニカの成功と自立を描いた作品。電話交換手をしていたモニカは、平日はシングルマザー、週末の夜は深夜バスでストックホルムへ、歌手としての成功を夢見ながら休日はステージに立つ日々。身を削るような努力を続けるが、やっとの事できっかけを掴んだニューヨーク公演でもボロボロになってしまう……。傷ついてもひたむきに頑張り、少し前進する。サクセスストーリーの主人公といえど、人生ってうまくいかないものなんです。目の前の課題をクリアできた!と思ったらすぐ次の課題が出てくる。全てが全能者のようにわかっていたら心も体も楽なのですがね。何も失わず前進することはない、と思う一方で失敗もなくてはならないもの、と感じます。女性のキャリアが見直されているこのご時世。本作のメッセージは今を生きている私たちにも深く刺さるのではないでしょうか。
私は、雪が降った夜、横浜のミニシアターでこの作品を観ました。上映中は終始ドキドキして、これからの自分を勇気付けられ、サントラCDを買った覚えがあります。(その後、そのシアターで働くことに…)当作品では主演のエッダ・マグナソンが劇中の歌を全て歌っています。とっても良いのでぜひ注目してご覧ください!

 

切なさと滑稽さ

©2008「人のセックスを笑うな」製作委員会

title:『人のセックスを笑うな

【story】
とある地方の美大に通う19歳の青年、みるめ。ある朝、仲間のえんちゃんと堂本の運転する軽トラで、靴擦れして歩けなくなった不思議な女性ユリを拾う。後日、校内でユリに再会したみるめは、自分よりも20歳も年上で自由奔放なユリに惹かれていき、2人の距離は次第に近付くも、ユリは結婚していて夫がいるのだった……。

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この作品で描かれているような大学生のゆるいつながりって、独特の空気感ですよね。男女問わずなんとなくグループになって、なんとなく飲み会をして。春夏はワイワイと人がごった返していたのに冬休みが近づくと校舎からみるみる人が減り、学校も自分達だけの場所みたいになってしまう気がします。そんな大学生の冬は、恋愛に熱を入れたくなるものですよね。そして永作博美演じるユリは、大人なのに無邪気で、かつ色気も充分、余裕もあって素敵なんです。つかみどころのないこんな女性に、憧れてしまいます。お休みの日に、大人になってしまった自分の青春期を思い出し、「自分の気持ちに素直に過ごしたい〜!」と思う人はこの映画、かなりおすすめです。ゆっくり1つのことを探求し続ける時間も、たまには必要です。個人的には、誰か1人に感情移入せず、傍観者のように見進めていくのが楽しい映画だと思います。(眠れない夜、お酒を片手にまったり観るのもいいですよ)

 

 

抱きしめることはできない

© 2014 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

title:『シザーハンズ』

【story】
何年も何年も昔。とある山の上にあるお城に、化粧品のセールス・レディのベグが訪ねてくる。そのお城には、手がハサミになっている謎めいた人造人間エドワードが住んでいた。そのお城には天才発明家のおじいさんが住んでいたが、エドワードの手を完成させる前に死んでしまったのだ。一人ぼっちのエドワードを町へ連れて帰ったペグ。植木の刈り込みに天才的な才能を発揮したエドワードは一躍、町の人気者になるが、ひょんなことから誤解を受け、町から追い出されてしまう……。

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誰もが見たことあるかもしれません、ティム・バートン監督の名作『シザーハンズ』。こちらの作品、実は公開から28年も経っているんです。早いですねえ…。今回のテーマ、「冬の訪れ感じることができる」といえばこの作品!と一番に思いつきました。純粋が故に奥手で、自分さえならず相手も傷つけてしまうエドワードを中心に、恋人や家族の心情描写がとても繊細に描かれています。冬って寂しい気持ちになるからこそ、相手との距離感を掴むのが難しいと思いませんか。恋人と手を繋いだり、子供をぎゅっと抱きしめたり、人の体温を感じるようなアクションが増えていきます。近づき過ぎて距離を取られるのも良くないし、かといって奥手だと冬はいつの間に過ぎ去り、新しい出会いの季節がやってきてしまう。作中のエドワードはハンディキャップがありながらも、純粋に自分の気持ちを伝えようと必死にアクションを起こします。その気持ちやアクションは自身と恋人、周囲にも影響を及ぼすほどの力を持ち得るのです。まっさらな気持ちを思い出させてくれるような、そんな映画です。まだ観たことのない方は今冬を楽しみに、是非ご覧になってください。今年も雪の降る夜に、何か素敵な出来事が起こることを願っています。

 

「冬の訪れを感じられる映画」というテーマで、冬のシーンが印象的な3作品をセレクトしてみました。どれも見る人の状況によって、違う捉え方ができるような作品たちです。
冒頭でお外には出たくない…と言っておきながらですが、ネットストリーミングではなく寒空の下、DVDを借りに行き、帰り道にコンビニでビールを買って、暖かい部屋でまったり映画を観るというのもたまにはいいものですよ。気になる相手と距離を近づけられるミニデートのチャンスです・・・!良い冬をお過ごしくださいね。

 

© StellaNova Filmproduktion AB, AB Svensk Filmindustri, Film i Vast, Sveriges Television AB, Eyeworks Fine & Mellow ApS. All rights reserved.  

『ストックホルムでワルツを』

監督:ペール・フライ
出演:エッダ・マグナソン、スベリル・グドナソン、シェル・ベリィクヴィスト
2014年 スウェーデン映画 111分
販売元:東映、発売元:東映ビデオ
DVD¥4700

 

©2008「人のセックスを笑うな」製作委員会

『人のセックスを笑うな』

監督:井口奈己
出演:永作博美、松山ケンイチ、蒼井優、忍成修吾―
2007年 日本映画 137分
発売・販売元:ハピネット
Blu-ray¥3900、DVD¥2267

 


© 2014 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

シザーハンズ

監督・製作・原案:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、ウィノナ・ライダー、ダイアン・ウィースト
1990年  アメリカ映画  104分
発売・販売元:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
Blu-ray¥1905

text : 阪実莉(Do it Theater)

●Do it Theater(ドゥイット・シアター)
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュースチーム。FUDGE主催のイベント「Holiday Circus(ホリデーサーカス)」でも野外シアターを上映!また 累計4万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫とマリンアンドウォークヨコハマの2会場同時開催の「シーサイドシネマ」、 ロックバンドSuchmosとタッグを組んだ「DRIVE IN THEATER Suchmos」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com

 

design_Koinuma Kenichi

Illustration_MARU

edit_Takehara Shizuka

 

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